長い間ほったらかしにしていた遅子建の《偽滿洲国》ですが、満を持して三冊本の二冊目の途中から読書を再開しました。
第二巻(中)は、第六章 一九三七年(民国二十六年、昭和十二年、康徳四年)、つまり日中戦争(盧溝橋事件)の年から、第十章 一九四一年(民国三十年、昭和十六年、康徳八年)、つまり太平洋戦争の開始までが、描かれています。
その割には、日中戦争や太平洋戦争は描かれておらず、満州帝国内の様々な出来事や日本人の生活が淡々と描かれています。
そこには一つの事件を追って小説的にストーリーを展開していくというというよりは、植民地時代の東北部を壮大なパノラマとして小説に描ききろうとする作者の意図が垣間見られます。
小説の中では、市井の人々(商人や農業従事者)、満州皇帝溥儀や李香蘭、日本軍士官から兵士まで描かれています。そうそう少数民族のオロチョン(鄂伦春)族まで出てきます。
日本人は悪い人から良い人まで、あるいは中間人物まで描かれています。作者の思いからか、多種多様な人物が描かれ、壮大なパノラマを形作るチップの一つ一つとして嵌め込まれています。
ちょっと気になったのは、当時日本人が使用していた兵隊中国語です。
- “你的、坏的、不去?”
- “我的、这里、坏了坏了的有!”
- “狡猾、狡猾的有!”
- “八路的,良心大大的坏!”
外国語として文法から勉強していない中国語なのが丸解りです。長文は話せないため、短文しか出てきません。これでは十分なコミュニケーションを取るのは難しいですよね。
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書 籍 名: 《伪满洲国》 中
著 者 名: 迟子建
出版社名: 人民文学出版社
出 版 日: 2004年5月 北京第1版
2014年1月 第1次印刷
自己評価: ★★★★
文 字 数: 200(仮)千字/計42,549千字
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