2日目の11時公演を一階最前列で観劇しました。タカラットポイントは年会費更新分だけの最下層ランクなのに最前列が当選し自分でも驚きました。その最高席で見た舞台は幕開けから何度も涙を誘われ、幕間も感動で席を立てず、終演後も、そして今もなお余韻が消えずです。それほど完成度が高く、見応えに満ちた舞台でした。


  初日評で脚本も演出も初演とほぼ同じと聞いて驚いたのですが本当にそのままでした。メリーベル中心に物語が変わると思っていましたが、初演で感動した台詞や場面や名曲の数々が新たなキャストとスタッフに丁寧に受け継がれ、改変による違和感もなく、原作と初演への敬意を保ちながら作品として更に熟成された印象でした。


  新曲もありました。エドガーとメリーベルの二重唱、ポーツネル男爵の銀橋ソロ、メリーベルがエドガーに助けを求める短い独唱、更にアランの♪願わくばにも新たな旋律が加えられていました。一方で場面カットはないので各場面がテンポアップしたのだと思います。最前列ゆえクレーンがほぼ頭上まで迫って心を奪われました。


  初演では「人目の多い街中でエドガーが血を吸うのはあり得ない」や「アランは原作どおり雨の中でメリーベルに会いに行って欲しい」など細かな指摘も目にしましたが、それらは今回も変わらずでした。しかし、それを補って余りあるほど演出や芝居が磨き上げられ、2日目とは思えない深みと説得力ある舞台に感じました。


  朝美さんのエドガーは圧倒的な美しさに目を引かれました。明日海さんが「14歳でありながら100年以上生きてきた存在」を感じさせたのに対し、朝美さんはより可憐で少年らしい印象。しかし次第に永遠を生きる者の神秘性や刹那が立ち上がり、魅力的なエドガーを創り上げていました。音彩さんのメリーベルも清らかで美しく、流石は首席の舞台を造形。二人が並ぶだけで至福の三時間でした。


  瀬央さんのポーツネル男爵は抜群のカッコ良さでした。最前列という事もあり何度も視線を頂き、そのたびに惚れ直しました(釣りの巧さは星組仕込みかな)。エドガーへの厳しさの奥には深い愛情が感じられ、男爵像に厚みを与えていました。美穂さんのブラヴァツキーは役そのものの存在感を一段と大きくし、小桜さんのシーラも歌・芝居ともに絶品でした。


  縣さんのアランは一直線な感情が胸に迫り、華世さんのクリフォードは優等生らしさが役柄にぴったりでした。透真さんの老ハンナも新鮮で迫力もありました。諏訪さんのバイク・ブラウン、華純さんのジェイン、星沢さんのマーゴットなど、下級生までそれぞれの雪組版ならではの役作りも楽しめました。


  今回、初演以上に心を揺さぶられたのはアランがメリーベルに求愛する場面。「大人になったら結婚して欲しい(意訳)」と語るアランに、メリーベルは叶わぬ願いだと告げ、そこへエドガーも加わって真実を明かす。この日、三人とも大粒の涙を流して演じ、痛々しい感情に私も号泣でした。今回の再演は特にメリーベル関係の場面の熱量が高まり、より一層、家族の大切さが胸に迫りました。


  最前列で観られたのだから、これで見納めでも十分と思っていたはずなのに、一晩経つと、もう一度観たいという気持ちが募りました。それほど何度でも味わいたくなる力強い舞台でした。残念なのは手元にチケットがない事だけです。開幕したばかりで、更にこれからの熟成も楽しみです。