久々の投稿です。実は3泊4日で訪韓してました。目的はミュージカル観劇で、3作品・4ステージを観てきました。『デスノート』を役替わりで2パターン、そしてバレエをやりたい高齢男性の人生を描く『ナビレラ』、更にプレスギュルヴィックの『ロミオとジュリエット』。どの作品も見応えがあり、充実の休日になりました。


『デスノート』は日本と韓国の初演を観て以来の15年ぶり。名前を書かれた人間が死ぬデスノートを手にした天才少年・夜神月と、彼を追い詰める同じく天才少年・Lとの頭脳戦を描くアニメ原作ミュージカル。ホリプロ製作、作曲はフランク・ワイルドホーン、演出は日韓共に栗山民也さんでしたが、韓国版は演出が韓国人に変わり、後述しますが異次元映像が駆使されて雰囲気が激変してました。


今回どうしても観たかった理由は主演2役に各4人ずつ配役されている中、キム・ジュンスさんとキュヒョンさんの共演があったから。かつて同じ事務所出身ながら様々な事情で競演がなかった二人が同じ舞台に立つと発表されてチケットは超激戦となり、開演前から劇場全体が歴史的瞬間を見届けようと特別な空気に満ちていました。


実際の舞台も圧巻でした。ジュンスさんのLは登場した瞬間に空気を支配するような異質な存在感があり、難事件に挑む鋭い視線だけで舞台の温度を変えてしまう凄みがありました。自分の名前がデスノートに書かれて死を悟りつつ、敵を追い詰めるクライマックスの20分は全身を震わせて涙を流しての大熱演で、流石は韓国版オリジナルキャストの迫力にグイグイ引き込まれ歌も絶品で痺れました。


一方のキュヒョンさんは最初から感情を爆発させて知性と狂気を漂わせた夜神月。独善的な価値観で人を殺していくエリート層の冷徹さも感じさせ、何より彼は今ではすっかりミュージカル俳優で、ジュンスさんと共に彼が登場するだけでミュージカル度がグッと上がるのが心地よく、二人のデュエットは凄絶な攻防戦の緊張感に満ちて、一瞬たりとも気が抜けず、本当に手に汗握ってしまいました。


物語は少し古さを感じ、特にLが世界に溢れる情報を収集分析する技術が今では誰でも使える生成AIが瞬時に処理してくれるので初演時ほどの驚きはなかったです。しかしそれを補って余りあったのが韓国版の独自演出で舞台の四方八方と天井にも張り巡らされたLEDパネルが映し出す異次元な幻想空間が映像の魅力とは言え余りに美しく、迫力ある機知に富んだ使い方に見惚れて陶然となりました。


終景も日本版は真っ白な照明の中に出演者全員が立ち、自分の価値観で人を殺傷する過ち、つまり、栗山さんらしい戦争への警鐘を感じさせて少々説教臭さを感じたのですが、韓国版はデスノートの元々の持ち主の死神に自身の名前を書かれて絶命した夜神月の死体を白日に晒して、犯罪者には天罰が下るというようなストレートな終わり方で幕を閉じて、私は韓国版のほうが好きだと思いました。


この日は日曜日の昼公演で、夜は別作品を見たかったのですが、この作品しか公演がなくて、結局、マチソワでデスノートを連チャンしました。主演2人は各々4人目の若手俳優同士の組み合わせでしたが、スターの煌めきが少なかった代わりに演技を純粋に楽しめて良かったです。また、そちらの感想も書きたいと思います。