花組「アルカンシェル」、東京公演も折り返しに入り、柚香さんのご卒業まで残り25日。何だか信じられないですね(涙)。

特に東京公演のチケットは全敗したので大千秋楽の配信が待ちきれずですが、勿論、その日が来て欲しくもなくです(涙)。

実は大劇場公演時に某作家がこの作品のナチスの描写に苦言を呈していて、私もこの問題を自分なりに考えてきました。

その作家の主張は下記の通りです。誤解なきよう、全文を転載させて頂きます。勝手な転載で申し訳ありません。



結論を先に言うと、私もこの作品のナチスの描写は甘くて、宝塚とは言え、もっと残虐非道な集団として描かかねば、と思いました。

この作品を溺愛している身として、如何にこの作家に反論するか色々と探ったのですが、残念ながら、ダメでした。


言うまでもなく、世の中に悪は無数に存在します。悪とは言え、一面だけ捉えて偏重描写する事には私は反対で、多面的に公平に描くのも必要だとは思っております。

しかしナチスは別。少しでも良い面を臭わす事も許されるべきではないが私の結論です(今更な結論で申し訳ありません)。

勿論、小池先生を擁護できる美点もあります。家族連れも多い宝塚なので残酷な場面ばかり描くわけにも行かず、楽しめるエンタメにする努力も必要。

それなら宝塚でナチスを扱わなければ良いとも思いますが、それでも敢えて扱う事で、ナチスを無関心なものとせず、関心を持たせる意義もありますし、

今回は特にドイツとフランスの間に「対立」だけではなく「協力」という全く相反する動きもあったという、これまであまり日本で描かれる事の無かった視点の史実を描いた点は評価されるべきとも思っています。

そう言う意味では小池先生は勉強不足だと酷評した上記の作家は少々言い過ぎなようにも思います。

宝塚は「お花畑集団」と誤解されがちなので、これからも果敢に社会問題も扱って欲しいと思っています。

この作品の公演期間中に過去の宝塚でナチスを扱った作品も幾つか再見しました。見た作品は下記の通りです(再見感想はおいおいと…)。

リラの壁の囚人たち(1988年月組、小原先生、涼風さん)
ロマノフの宝石(1989年花組、正塚先生、大浦さん)
螺旋のオルフェ(1999年月組、荻田先生、真琴さん)
凱旋門(2000/2018年雪組、柴田先生、轟さん)
カサブランカ(2009年宙組、小池先生、大空さん)
ジェシャンテ(2010年宙組、原田先生、凪七さん)
ベルリン、わが愛(2017年星組、原田先生、紅さん)
Love and all that jazz (2021年、谷先生、風間さん)

これらの作品と比較しても「アルカンシェル」のナチスの描き方や緊張感が少し手緩いと思いました。ただ、これも小池先生を擁護するわけではないのですが、

今の宙組の問題を考慮して、残虐非道な場面を重ね過ぎる事にためらいがあったのかも思っています。宙組問題がなければこの作品の描写も少し変わっていたのではとも思っています。

「アルカンシェル」は大劇場時から賛否両論ですが、私はそれでも初見時から胸がえぐられるほど感動した大好きな作品(主題曲を聴くだけで涙が込み上げる)。大千秋楽までのラストスパートを頑張って頂ければと思います。