雪組「39STEPS」初日に行きました。お芝居は1時間、ショーは30分。爽快な楽しさに溢れて良かったです。公演時間の短さには驚きましたが、外箱公演を3組に分けた事で若手にも活躍の場が広がり、この趣向も良いと思いました。


お芝居はミュージックホールを訪れた凪七さんが自宅に戻ると瀕死の男が現れて事件に巻き込まれる…という話。短編ながら軽快な品の良さが天海さん御披露目の「扉のこちら」味を感じました。


ラストで広舞台になれば更に~でしたが、舞台上に生バンドがおられて、広舞台は叶わずでしたが、生演奏は贅沢。聞き応えのある上質な音楽を楽しめるジャズバーな雰囲気もあり、装置も照明も衣装も洗練されていたのも嬉しい喜びでした。


ヒッチコックの映画版は未見ですが、基本的にミュージックホールが舞台なので、特に娘役はショーガールとして歌とダンスに大活躍。酔客の奏乃さんの正体は…まぁバレバレですが、舞台が締まり、軽妙な可笑しさは流石だと思いました。


ヒロインは野々花さん。歌もお芝居もしっとりとした感情が込もって素敵でした。久城さんは舞台監督でガールズを率いて見事な歌とダンスで舞台を温かく盛り上げて頂けました。


怪しい側の叶さんの歌と迫力も見事でした。手下の壮海さんと蒼波さんの下っ端ぶりも巧い。刑事の紗蘭さんとバーテンダーの紀城さんは愛くるしくイケメンですね。娘役ではガールズリーダーの妃華さん、大家さんの莉奈さんの明るい演技も印象的。下級生も細やかな演技や表情をされていて、雪組はチームワークも良く優しい雰囲気なのが何より心地よかったです。



ショーは007の映画のテーマ曲を使い、ここで使うなら宙組公演で使えば良かったのにと思ううちに、パワハラ問題が頭をもたげ、田渕、PAGADで、お前がしっかりしなかったからやとか思ってしまいました。

尤も最も悪いのは集団でイジメを犯したパワハラ宙組メンバー。この時期に宙組絡みの選曲は無神経過ぎ。この曲もカッコよくて大好きだったのですが、今はパワハラ宙組のせいで…。


妖艶なマタハリの凪七さんを久城さんの歌で叶さんと壮海さんが奪いあう場面、ムーラン・ルージュで盟友・望海さんが歌った曲もあり(この日、月大劇場に望海さんが来た…のは本当?)、凪七さんの過去舞台写真の投射もあり、サヨナラが近いのか?とも思いました。


30分の中で、中詰めもあり、コパカバーナは客席降りもあり、盛り上がりました。黒燕尾とカクテルドレスの群舞あり、実力者を揃えた舞台に終幕は感嘆の涙が込み上げました。


パレードはお芝居の衣装に戻り、二幕はお芝居の劇中ショーだったのが分かりました。悪役も含めて全ての人物に愛おしさを感じて、佳い二時間を過ごせました。


そして、凪七さん。小顔脚長の超絶スタイル、歌もダンスも芝居も巧く、何より清潔感に溢れているのが素晴らしい。多面的な凪七さんの魅力が楽しめました。


今回の田渕氏の再起もですが、彼女は困った時の救世主的な印象もありますが、是非とも宙組トップにと思います。学年的には組長かも。(何をやっても真風の)真風を無理やり押し上げた時、あの時に凪七さんだったら、と思いました。


専科には主役を張れるスターが3名もいるので、これからの外箱はこのパターンで良いかもです。リラックスして、明るく楽しい宝塚を味わえるので、是非ともお見逃しなく、です。