東京のみとなった星組「RRR」新公。休日夜は家族を置いての宝塚視聴は難しいのですが、偶然、家族が外出したので視聴できました。2500円は良心的で節約中なので助かりました。


 主役は研5の大希颯。抜擢に応えた熱演。台詞、芝居、表情、所作の一つ一つに心が込められ、私はたーたんの新公忠臣蔵(※1)を彷彿した巧さに引き込まれました。正に大希は大器という表現がピッタリ。本当に驚きました。


 芝居の巧さに加えて、ダンスも見事。冒頭のナンバーで足先が頭より上がり圧巻。見せ場のナートゥもひざの位置が高くてダイナミック。歌も巧い。実は大谷(※2)ダルビッシュ戦の中継とどちらを見るか迷ったのですが新公を見て良かったです。


※1)香寿さん主演の「忠臣蔵」の新公。絶品でした。

※2)水原氏解雇に驚愕。なぜ出国できてるのだろう。


 新公の長は研7の瑠璃花夏(本役は小桜)。憎まれ役を徹底的に演じきり、特に主役が拷問されるのを笑顔で見るのが凄絶に美しくてお見事。総督は研6の世晴あさ(輝咲)。迫力があるのに妻に屈服している感じも面白く、彼女も巧演でした。


 ヒロインは研4の乙華菜乃。本役とは違うおっとりとしたお嬢様な感じが楽しめました。このヒロインは舞空なくしては脇役キャラに過ぎず、谷脚色の宝塚化の弱さを再実感しました。


 本公演で活躍中の研5の詩ちずるはSINGER(都)。研7の羽玲有華(美稀)と見事な歌を披露し二人の喉の強さに何度も聞き惚れました。詩は今回のような前に出る役が似合いますね。


 暁の役は研6の御剣海。小顔でスタイルも良く数ある見せ場を的確に演じてました。相手役は同期の綾音美蘭。目鼻立ちの良い美人で芝居も感情豊か。彼女のヒロインも見たいです。


 極美の役は研5の稀惺かずと。お笑いキャラにせず真摯な青年。芝居の好感度の高さは流石。研7の紘希柚葉(ひろ香)、研5の彩紋ねお(大輝)の男前ぶりにも惹き付けられました。


 群舞が多い作品なのでプログラム(無料配信💕)を読むと研1に至るまで全員の出番が多く、例えば、研7の侑蘭粋と星咲希は持ち役のユクタ(七星)とネハ(白妙)以外に様々な役で大半の場面に出演。大劇場での新公は中止、東京も休演の危機を乗り越えた一回限りのプレッシャーの中、無事に努め挙げた終幕時の全員の達成感と充実感に満ちた笑顔にも感動しました。


 瑠璃と大希の終演挨拶は感情に流されず周囲への感謝や休演への陳謝を述べて好印象。礼儀正しい言葉には上級生達の心ある指導の良さも感じられて、やはり、パワハラ組の極悪非道な上級生らとは天と地の差があると感じました。


 演出は竹田悠一郎。イギリス人の高圧的な描写が本公演よりも激しく社会的背景が強く感じられたのが巧かったです。こちらも有愛さんに仕事を丸投げした「PAGAD」の田渕大輔、生駒怜子、谷垣開とは仕事の質も違うのだろうと思いました。