恐らく誰もが歴代最高のエリザベートは花總さんのエリザベートだと思っていると思う。

勿論、私もそう思うし、何の異論もない。

あの美しさ、立ち上るような気品。全てがロイヤルなエリザベート。それは花總さんご自身がロイヤルな人だからこその為せる技。ロイヤルを演じている人間が本物のロイヤルにロイヤル感で敵うわけがない。当たり前。花總さんのロイヤルは演技ではないのだから。

更に初演の研5で演じたエリザベートは当時の花總さん自身の下級生でのトップ娘役としてのプレッシャー、一路さんが退団すること、更にエリザベートという大作ヒロインへの挑戦など、そのギリギリな状態が宮廷での必死な姿にリアルに思えて、例えば「私だけに」も今のようには歌えてなく、毎回、今日は最後の高音が出るかと手に汗握って観劇していたのも懐かしい思い出。

決して演技ではないリアルな姿こそが見事なエリザベートを表出していたと私は思います。


今回、愛希さんのエリザベートを観て、ハッとさせられた場面がありました。冒頭。

鳥のように自由に空を翔け、永遠の蒼の天空にいけるなら、私は喜びのうちに褒め称えよう、自由という名の神を。

この詩を愛希さんほど気持ちを込めて読んだエリザベートはいなかったのではないかと思う。これほど一言一言切実に読んだエリザベートは初めてだと思う。

これは愛希さん自身が長期間ずっと束縛されて心底から自由を求めていたからこその切実な気持ちの表れ、心からの叫びがこの場面になったのではないかと思う。

花總さんのエリザも確かに気持ちがこもった朗読でした。でも、この愛希さんの自由への思いや切実さには遠く及ばなかったように思う。

愛希さんの自由を求める切実な気持ちは病院の場面で頂点に達する。ここの海乃さんのヴィンティッシュ嬢の秀逸なリアルな哀しい姿と相まって、二人が抱き合う姿は演技を超越した本物の姿に思えて、観ている私は涙をこらえきれませんでした。この直後にルキー二に撮影される際のバックの派手な照明の安っぽい作り物感が邪魔に思えてならなかったのは今回が初めての経験。それほどリアルなドラマにドキっとさせられました。宝塚のエリザ史に記録されるに相応しい見事なエリザベートだと思いました。

その他、今回のエリザベートは語りたい事が満載。これほど、ハマるとは自分でも不思議です。また、続きは改めて次の機会へ…です。