昨日のエリザガラコン初日の感想記事を探しているのですが、なかなか辿り着けず、結局これまでの宝塚版や東宝版『エリザベート』の過去映像、そして今回の東宝版アーカイブを繰り返し見ています。関西公演の時は在阪の新聞社が比較的しっかり記事を書いてくれる印象がありますが、関東のマスコミは宝塚関連となると少し静かですよね。
今回の東宝版の演出は基本的に前回踏襲ですが、長年この作品に向き合い続けてきた小池修一郎先生の集大成とも言える重みを強く感じました。自信や自負、蓄積された知識やこだわりが隅々まで詰め込まれていて、思わず背筋を伸ばして見入ってしまう瞬間が何度もあります。
特に印象に残ったのは「闇が広がる」の直前。宝塚版ではフランツとルドルフの短い衝突として描かれる場面が、東宝版では二人の間に大勢のドイツ人が割って入り、「ウィーンもドイツが支配する」というデモへと発展します。やがて将来ナチスの象徴となる鉤十字の巨大な旗が広がる—前回と同じ演出ながら、作品の持つ政治的背景がより鮮烈に、力強く突きつけられ、改めて圧倒されました。
そして今回の見応えは、やはり出演者の力によるところが大きいと思います。今日はエリザベート役のお二人に絞りますが、明日海りおさんと望海風斗さんの熱演は想像を超えるもので、来年発売予定のDVDがすでに欲しくなっています。39,000円のフルセットは正直高いので単品販売を切に願いつつ😀、それでも手元に置きたいと思わせる力がありました。
視聴前は、夢見がちなエリザベートは明日海さんだろうと勝手に想像していたのですが、実際には望海さんのほうがより夢見がちな文系タイプ、明日海さんのほうが活発な体育会系タイプという印象で、まずそこに大きな驚きがありました。
望海さんのエリザベートは、少女の頃からすでに「死」が見えているようで、本当にトートと会話しているのではと思わせるほど繊細です。外見は強く見えても内面は脆く、常に周囲に気を遣い続ける女性。その分、過酷な人生を背負わされていく姿があまりに痛ましく、見ていて可哀想でたまりませんでした。
後半、心身ともに削られ、ルドルフから助命嘆願を受ける頃には廃人同然になっていく——その変化の演技が凄絶で、ただただ見惚れてしまいました。まさに渾身のエリザベートだと感じます。
一方の明日海さんは、退団後の舞台挨拶で見せる“ふわっとした不思議ちゃん”な印象から、どこか地に足のつかない夢見がちな女性像を想像していましたが、実際は真逆でした。しっかり者で活発、無邪気な少女が宮廷入りを機に自由を奪われ、愛する息子さえも取り上げられ、次々と不幸に見舞われながらも必死に抗う姿は、日本の『エリザベート』が培ってきた正統派のエリザベート像そのものだと思いました。
小顔で美しく、明日海さんの宝塚現役時のリアルな芝居の巧さが甦り、経験値の高さを感じさせる好演だと思いました。
どちらが良い、どちらが上という話ではなく、好みの問題だとは思います。ただ、望海さんと明日海さん、それぞれのエリザベートが互いの魅力を引き立て合い、二人の競演そのものを味わえたことが、この公演の何よりの収穫でした。やはり『エリザベート』は語り尽くせない魅力に溢れた作品。まだまだ、折に触れて感想を綴りたくなりそうです。
