「なぜ往年の正統派ペン表前陣速攻型の選手は裏面打ちをしないのか?」 | ペン表卓球への道

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大阪市在住のサラリーマンです。趣味は、卓球、読書などです。大学時代までやっていた卓球を再開しました。現在、卓球練習を週1回2時間、試合を月2回のペースでやってます。

 「なぜ、往年の正統派ペン表前陣速攻型の選手は、裏面打ちをしないのか?(裏面にラバーを貼らないのか?)」



 (出所:「卓球王国Web」(江嘉良選手))



 往年の正統派ペンホルダー表ソフト前陣速攻型(ペン表)の選手が、なぜ裏面打法を取り入れなかったのか、あるいは裏面にラバーを貼らなかったのか。


 これには、当時の技術体系、用具の進化、そして「速攻」というプレースタイル特有の合理的な理由がいくつか重なり合っています。


 主な理由は以下の4点に集約されます。



1. 重量バランスとスイングスピードの維持


 前陣速攻において最も重要なのは、「戻りの速さ」と「スイングの鋭さ」です。


・軽量化のメリット

 片面にのみラバーを貼ることで、ラケット全体の重量を軽く抑えられます。これにより、台に近い位置での素早い切り返しや、コンパクトなスイングでピッチの速い攻撃が可能になります。


・操作性の低下

 裏面にラバーを貼ると重心が先端寄りになり、手首の自由度が制限されます。繊細な角度打ちや台上処理を武器にするペン表にとって、わずかな重量増も操作性を損なう要因となりました。



2. 「角度打ち」という独自の技術体系


 正統派ペン表の真骨頂は、相手の回転を無視して弾き飛ばす「角度打ち」にあります。


・打法の完成度

 往年の名手たちは、バックハンドにおいても裏面を使わず、ショート(プッシュ)と「裏面を使わないバックハンド強打」で十分に得点できる技術を完成させていました。


・ナックルの質

 片面ペン表のバックショートは、特有の「ナックル(無回転)」になりやすく、これが相手を惑わす武器でした。裏面でドライブをかけることは、自らその「球質の癖」を消してしまうことにも繋がりかねませんでした。



3. グリップ(握り)の構造的違い


 伝統的な日本のペンホルダーグリップ(特に日本式ペン)は、裏面打法を想定した形状ではありませんでした。


・指の配置

 正統派の選手は、裏側の指を伸ばして支えることで面を安定させます。この指の配置では裏面の打球ポイントを確保しづらく、無理に裏面を使おうとすると、フォアハンドの握りに影響が出てしまうリスクがありました。


・反転の概念

 守備的なカット主戦型を除き、攻撃選手が試合中にラケットを反転させて裏面を使うという発想自体が、当時は一般的ではありませんでした。



4. 時代の戦術とルールの変遷


 裏面打法が普及したのは、中国の王皓(ワン・ハオ)選手らの登場以降ですが、それ以前は「ペンはバックが弱点」という前提で戦術が組み立てられていました。


・フットワーク重視

 「バックに来たら回り込んでフォアで打つ」というフットワーク主体の戦術が王道であり、裏面で補うよりも、足を使ってフォアで仕留める方が当時のトップレベルでは合理的と考えられていました。


・接着剤の影響

 かつてはスピードグルーの使用が可能だったため、片面でも十分なスピードと威力を出せたという背景もあります。



 現代では「裏面を貼るのが当たり前」という感覚がありますが、往年のスタイルは「削ぎ落としたシンプルさ」が生む圧倒的なピッチと変化を追求した、一つの完成形だったと言えます。