タントーカン。

赤や金を多用した他の店の門構えとは違い、堂々たる象牙色の古色騒然たる落ち着いた雰囲気がいい。

暫く店の外観を眺めるが、何しろここまで歩いてきただけでも汗が止まらない上に路地の屋根も切れた場所だから暑くてたまらない。

そそくさと汗を拭って店内に入る。






「金を買いに来たのですが、店の中の写真を撮ってもいいですか?」

と恐る恐る聞くと、笑顔で了承してくれた。

前国王のラーマ9世が崩御されてまだ服喪期間だからか、店員のシャツも店内の壁も黒いのが印象的である。

ショーケースや壁には一面にネックレスやブレスレット、指輪やインゴットが所狭しと陳列してある。

タイでの金のアクセサリーの純度は96.5%のいわゆる23金が主流。

もっと純度の高い製品もあるのだが、それだと加工の際に柔らさか仇となったり、留め金部分の強度に問題が出るのだと言う。

そして金の重さを表す単位は通貨と同じバート(バーツ)となり、いささかややこしくなりそうなのでここでは通貨のバーツの方を「THB」と記載し、金の単位はバートと記載させて戴く。

金1バートは約15.2g。今日のレートは1バートの金が21,687THB(日本円で約73,000円)で購入が可能。

以前購入した際は1バートが8,000THBぐらいだったから10数年で約3倍に届くところまで跳ね上がっている。

この価格は日々変動するので、時間があれば安い時期に購入するべきなのだろうが、私には時間が無いのでレートなどはどうでもいい。

手持ちに余裕があれば2バーツぐらいの金製品が欲しと思っていたのだが、あいにく今日の持ち合わせでは2バーツに僅かに届かなかったのが少々恥ずかしい。

前に購入したのはブレスレットだったので1バートのブレスレットを見せてもらったが、どれも私には短すぎて合うものが無く、店員が申し訳なさそうに苦笑する。






結局、無難なデザインのネックレスを購入。

購入した金製品は赤いプラスチックの容器に入れて更にビロードのような巾着に入れて渡されるのだが、私はその場で身につけて帰りたかったので

「このまま身につけたいのですが」

と言い、首に回すジェスチャーをすると、

「その前に重さの確認をお願いします」

と言われ一旦店員に預けると、その場で計量を始めた。






ブレブレの画像で申し訳ないが、確かに1バートである。

支払いを済ませると、

「領収書は要りますか?」

と聞かれたので記念に頂戴しておく。






上から順に…。

店名や所在地

純度96.5%のネックレス1つ 21,800THB

今日の金の1バートの売値 21,678THB93サルン

(サルンはTHBの下の単位。日本の「銭」と同様)

今日の金の1バートの買値 20,087THB

差額 1,600THB 93サルン

税金7% 112THB 07サルン

合計 21,800THB

と書いてあるらしい…。

1バートの金の売値と今回の支払いに差額があるのは、ネックレスを作成する際の「加工賃」が上乗せされているからである。

最後に店員に保証書等の有無を聞くと、

「当店では保証書は有りません。何故ならば全てのお客様が当店で購入された金製品には当社の微細な刻印が入っております。これは誰にも真似は出来ませんし、純度ならびに刻印の真贋の見分けも私達にとっては非常に容易な事です。しかも当社の刻印が入った製品なら、どこの金行でも問題なく買い取ってくれる事でしょう」

と胸を張って答えてくれた。






相変わらず酷暑の時間帯だが、清々しい気分で店を出て歩いていたら、「ソイ ワニット」の青い看板がやっと出てきた!

これじゃあ誰にも見えないよなぁと思ったが、地元の人々にとってはここはソイ ワニットに決まっているのであろう…。






そしてメインストリートの「タノン ヤワラー」に出てタクシーを捕まえる。

金行の看板がひしめき、中華系レストランや旅社が立ち並ぶエネルギッシュな一帯は、街を漂う匂いさえも一種独特であり気分が高揚する。

さあ今夜はまたここに来て、美味しい海鮮料理でも食べるとしよう…。