月曜から金曜まで連続で、クマオと夕飯をとれたことは、嬉しかったのだが、
やはり、この年齢、身体が悲鳴をあげている。
今週は特に、お弁当も作ったので、睡眠不足に拍車がかかった。
昨日の土曜日。11時にヘアサロンの予約があり、出かけて帰宅すると、
猛暑のせいもあってかぐったりしてしまった。
夜には、時々遊ぶグループの飲み会が予定されていたのだが、
もうこれは無理だと、これに参加するとさすがにヤバいことになると、
不本意ながらもドタキャンした。
予定がなくなると、ホッとした反面、急に寂しくなってくる。
クマオは、女と久々のデートを楽しんでいるのだろう。
女の病気が移ることはないのだろうか。
私のことが大好きだと言いながら、女とも甘い時間を過ごすクマオ。
そんなことを考えていると、なぜかクマオのことが、憎くてたまらなくなる。
そう言えばと、ここ最近の何気ない会話が頭の中を駆け巡る。
ストーカーまがいをしていた40代男性に、自分が話をつけると言うクマオに、
「あなたはりこさんとどういう関係ですか?」と聞かれたらどう答えるの?と
クマオに尋ねた。 その時クマオは躊躇なく、言った。
「元カレですって言うよ」と。
「元カレ」。 あまりにもさらっと出たその言葉。
こんなにいっしょにいても、旅行の計画までしても、逆に言うなら私は、「元カノ」。
当然のことなのに、わかっていることなのに、やはり、やるせない気持ちになってしまった。
「今カノ」の存在の大きさをひしひし感じる。
クマオにとって、「オレの彼女」と呼べる恋人の存在があるからこそ、
こんなに余裕で、私のことも大好きだと言えるだ。
こんなことを考えていると、モヤモヤしてくる。
「りこちゃん、ここだけは行っておきたいと思うところ、考えといてな」。
北海道旅行の計画をあれこれ立てた金曜日、クマオが帰る前に言った言葉が蘇る。
そうだ。私には楽しみがある。大きな大きな楽しみ。
人生で最後になるかもしれないと思うほどの楽しみ。
クマオが女を欺き、私のために時間を取ってくれる3泊4日。
さぁ、いろいろ調べよう。 ネガティブな事ばかり考えるのはよそう。
パソコンの前に座る。
いくつかピックアップして、リンクだけをクマオにラインした。
「ここ、行きたいと思ってた」と返信がある。
それには答えず、別のリンクも送信。
「そんなに距離ないから、ここはも行けそう」と返信。
これ以上、邪魔するのはやめよう。
私は一切言葉をつけずに、リンクのみを送信すると、早々と寝る準備をして眠った。
目が覚めると、午前2時過ぎ。
スマホを見る。そう言えばいつも送る「おやすみ」ラインもしなかった。
クマオからも当然ないだろうな。
そう思って開くと、クマオからスタンプが送られてきている。
男の子と女の子が長いマフラーをいっしょに巻き付けているラインオリジナルのスタンプ。
クマオは私との関係を言う時、いつもこのスタンプを使う。
ハートもラブもないが、ただ仲良しが強調されているスタンプ。
何だか癒された気持ちになって、また眠りについた。