今週は、月曜から金曜まで5日連続でクマオに会えた。
こんなことは、2年ぶりぐらいだ。
女が耳鼻科に行くと言っていたのが、先週の火曜日。
先週の日曜日に、「水分取ってね」とクマオがラインを送っているのを横目で盗み見。
つまりほぼ2週間にわたって、女は体調不良だったようだ。
先週、私はクマオに言った。
「クマオさん、テレビでやってたけど、今年の夏は、大人の間で「手足口病」が
大流行なんだって。感染力が半端なく強いし、特効薬もないらしい。
気をつけようね」。
「え?そうなん!」。
クマオは、「え!」と、心当たりがある表情で、さっそくスマホで調べ始める。
いつになく反応が大きい。 やっぱり・・・。
「でも、それって手や足にブツブツできるやつやろ?」
「うん、そうかもしれない。
でも咽頭炎や扁桃炎みたいな症状で、お医者さんもなかなか特定できないらしいよ。
ただの咽頭炎だと思ってたら、あっという間に家族中に感染してしまうらしい。
O157みたいにアルコール消毒も効かないらしいよ。
あと、ヘルパンギーナも同じウィルスらしい」。
「・・・・そうなん・・・」。
この表情は明らかに女の症状を思い浮かべている。
そう確信した私は、さらに追い打ちをかける。
「そのウイルスね、胃の中に入っても生き続けて、1か月ぐらいは便から出続ける
らしいよ。絶対ヤバイよね。人に移しまくるやつ~、怖いよ」。
「え~、ヤバイな、それ」。
クマオの表情がはっきり曇った。
「クマオさん、もしかして、今、喉痛いとか?」
私はクマオの顔を覗き込む。
「大丈夫。僕は全然大丈夫」。
「よかった~。今なったら、北海道行けなくなるかもやん。
クマオさん、お互いに体調管理しようね」。
「うん」。
そんなやりとり。
これは、ある種の私の作戦だ。
クマオとのやり取りで、女は咽頭炎のような症状だろうと薄々わかった。
熱が下がれば、会えるし、エッチもできると、二人は思っていたのかもしれないが、
もし、このウィルスに感染していたら、クマオは必ず感染する。
女に会うのは今は控えようと、クマオがそう思ってくれたらこの作戦は成功だった。
昨夜、知らないフリしてクマオに尋ねた。
「クマオさん、今日彼女とデートしなかったの、何で?」
「・・うん・・・」
「そう言えば水曜日も。彼女、忙しいの?それとも体調悪いとか?」
「・・・・うん、まあそんなとこ・・」。
作戦、成功したかも。