茶番は簡単に崩れた。
その後どんな流れになったのか、思い出せるようで思い出せない。
いろんな言葉が飛び交った。
彼女のことは女として好き。と言ったり、
彼女のことは清算する。とも言っていた。
彼女、頭悪そう。せめてディスらせてよ。と言ったし、
性欲さえなかったら。とそんな言葉も出た。
どうせ、オレの言う事なんて信じないんやろ。
そうやってずっとオレを問い詰めるから・・・・。 という言葉に、
もう何度も聞いたよ、それ。の返し言葉。
ジグソーパズルのように、言葉のピースがあふれていたのに、
ほとんどのピースは完成しなかった。
そんなふわふわとした、耳に聞き馴染んだ言葉の応酬の中で、
すさまじく心に突き刺さったやりとり。
「普通の男女なら、ここでして(セックスを)、仲直りできるのに。
クマオさんたちみたいにね。
でも、私には、それがないから、だから、言葉が増える。
言いたくない言葉も、必要ない嫌味も、口から出て行く。」
「・・・・・・」
「ちゃんと答えて」
「何を」
「私とはもうできない?(セックス)」
「・・・・・・できない」。
クマオはきっぱりと言った。
「それは何で?」
「・・・・・わからない」
「私がおばあちゃんすぎて?」
「・・・それもある」。
そうか・・・。私は力なく言った。
その様子にクマオはまた何度目かの言葉を言う。
「りこを傷つけることになるだけなら、もう会わない方がいい」。
クマオは出ていった。
時計を見ると深夜1時35分だった。