Side S




ジリジリと肌を照り付ける



真夏の太陽を浴びて…






ボロボロになった

ランドセルと一緒に


デッカな荷物を抱えて歩く帰り道





…ついッ………ぁ…つ…い……






あまりの暑さに


もう…我慢の限界…









あっついッ!!
 暑すぎんだよッ!!!!
智さんはどこにいんだよぉ〜〜〜!!!!!








暑さと共に…


頭の中を大きく占領するのは







智さん…



智さんッ///





智さん








あの日起こったことは…

夢だったのか…?






…もしかしたら…智さんって…












 *°・*。天使ぃ?。*・°*









…なぁ〜んて……///


幻想を抱いてしまうほど…




あの日以降、

全く出逢うことのない気になる存在に




なんだか自分だけが


会えなくて…淋しいって…//…


思っているのかと…考えを巡らせると…





初めて解く数式みたいに、

気になって気になって……


答えが見つかるまで

必死になって探してしまうような…




常に頭から離れない存在になっていた





数式なら答えが必ず見つかるのに…

智さんとのことは…



好きあうって…

どういうことで… 
どこに答えが載ってるのか


さっぱりわからない…//…





「…ゔぅ会いたいよぉ〜…





解けない答えに


…悔しさが増してきて…//…








智さんッ!智さんッ!智さ〜ん!!早く会いたいんですけどぉ〜〜〜〜〜!!!!!






ありったけの文句を、



もう一度…

堂々と居座り続ける


憎っくき太陽に向かって叫んだ







 ゴンッ //

いってぇ〜〜〜ッ!?


煩〜い!!
  煩い煩い煩い煩〜い!!
  アンタが叫んだら余計暑くなるでしょ〜!



若葉ッ//…お前こそ煩せーよッ//





一学期最終日



机下の引き出しと共に

沢山の荷物を抱えて猛暑の中の帰宅なんて



辛すぎるだろッ⁈



あ〜んもう!!荷物重すぎッ!!
 あ、翔持ってぇ〜♡



しかも…

高学年になって気がついた…



ドシッ ///

ゔをぉッ!?//




何故、引き出しを持ち帰るのか…

…と言う謎を…



若葉ッ!!ずるいぞー!!
 自分の荷物くらい自分で持てよッ!!!



長期休みに入る時…

何故かコイツの
荷物持ちをする事になってるし…




あぁ〜楽ぅ〜♪
  あ、明日から宿題教えてよね〜
  あなた頼みなんだから♪


ゔげぇ〜//やだよぉ〜…
 お前、何度も同じ事聞いてくるから
 教えるの面倒なんだよなぁ〜!!




まぁ…
こんな文句を垂れても…

結局は毎回断りきれず、

他、数人のクラスの奴ら引き連れて
勉強会なんてのは名ばかりの
女子会が始まるんだもんな…//…


自分家なのに居心地の悪さったら……









ふゎぁ






この町の小・中学校は

道を挟んで隣り合わせに建てられている





「…………」





その通りの先の先から…

今…確かに…



鼻を掠めたよく知る香りに





[…翔?…行くよ〜?





間違いない…


今日は来てたんだ…//…




若葉悪いッ!
 …後は任せたッ//



ドスッ ///

ゔぇッ//ちょッちょっと!翔!?



俺の引き出しの上に重ねて置かれた

若葉の引き出しだけを

悠長に外して返してる場合じゃないッ//




細いくせに…

俺よりも身長が高くて、
実家のラーメン屋の手伝いを
毎日やってるとかで…

自慢の上腕二頭筋を
いつも見せられてるからな…


若葉なら大丈夫だろうと一瞬で判断し


コイツの両手へ

2人分の荷物が入った引き出しを

そのまま強引に預けて走り出した…





今度、取り行くからッ!

[…は!?えッ!?
 私が翔の持って帰れってのッ!?

悪い!助かった♪じゃッ!!


ょっとなさいよッ!翔〜…




若葉が納得いかず

文句を言ってるのは分かってる




でもッ…//…

自分の勘が正しいなら…



絶対に会えるチャンス
なんだって…





はぁあ//はぁはぁ//
 あちぃ//…今日こそは…ハァ…絶対ッ





たった3つの差



なのに…

属する場所が違うだけで
こうも会えないものなのかと……



あの雨の日以降、

毎日探し回っても辿り着けなかった



∴⁂ 甘く優しい香りに ⁂∴








俺の脳が

全力走れ_
命令してる






はぁあッ…ッ…いたぁああッ///




やっぱり…ブカブカのまま…



可愛くて綺麗な容姿には

どこか不釣り合いな

男子用の制服に着せられて……



ふわふわの毛先を靡かせた後ろ姿に









智さん!!






ん?…ぁ♡…しょッ…ええ!?///




…あッ//ヤバいッ…//…

止まんないッ!?





とっ飛び込みますッ!!!!!


(…へッ!?…もぉ〜♡//





咄嗟の声かけに

なんとか一瞬で察知してくれて…




ぼふ//ふゎん♡




広げられた両手に向かって

飛び込んだ…






智さん

グリッ ///   
んぁああッ⁈///






ドサッ ///






やっぱり…


この人以上の人なんて

現れるわけないんだ…





ゔぅぅッ……!?しょお!?
 怪我は!?怪我はない?





5年間使ったランドセルを

初めて頼もしい存在に感じた…





やっと会えたねッ///智さんッ♡

(…は?…ねぇ!怪我は!?





俺の頭を守るように

後頭部には…
智さんの手を添えてくれて

ランドセルをクッション代わりに

2人して地面へ倒れ込んだ



ずっと探してたんだよッ!!どこに居たの?お家にも誰も居なくて……心配してッ…

それよりも怪我は!?痛むところはないの⁈
お願い…ちゃんと答えてッ//





俺の声を掻き消すように

眉間に皺寄せて…
とても必死そうな顔して


瞳を覗き込まれて…///







こんな時でも……

初めて見る表情に…嬉しくなって…//






……綺麗ッ  ///  


(…はッ!?……しょお?


怒った顔…凄く綺麗!!





今の状況とか…

周りのことなんか

全部、頭からすっぽ抜けて…


素直な感想が口から滑り出た






(…ッ///……こらッ!!!


ゴンッ ///

いでッ!?
  ひッ…酷いよ智さんッ//





可愛い顔には不釣り合いな程の

強烈な衝撃に…


思わず涙が出そうになった…//




危ないこと…
 するからでしょッ!!
 怪我したらどうするの!?



めちゃくちゃ…
心配させちゃったのかな…//


よく見たら目が潤んでいて…






…ぁ………ごめん……なさ…い///




 

俺の上から退いて

起こすのを手伝ってくれる智さんを



殴られた頭を摩りながら…盗み見た…






……ふふッ……んふふふッ//

……智さん?…あのッ//…俺ッ…





真剣な顔から…

だんだん…
眉や唇が うにうに と震えだして




ふにゃり♡
あははははははッ///
 相変わらずいつも真っ直ぐだねぇ〜♪


「……/////」





いつもの優しい

智さんに戻ってくれて…




太陽とは違う…

体の中から熱くなる何かを感じた











この夏がきっと終わる頃には…






照り付ける陽射しによって生まれる


汗の匂いに混じり…






智さんの甘く優しい香りが…


鼻の奥まで浸透して…









香りの記憶として…





ずっとずっと…


…いつまでも……残るといいな…//













つづく⭐︎⭐︎⭐︎