天門の試練  28 | シンイ二次小説でんべのブログ

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28

「ねえユリ?
私達は幸せ者と思わない?
奥方様は可愛がって下さるし
旦那様は名前を呼んで下さるし
チェ家にご奉公出来て
こんな夢みたいなお屋敷は他には
ないと思わない?」


「そうよね、所で旦那様は、今日は

遅くなるのかしら?こんな夜は
私達が気を張らないと油断大敵よ」


珍しくヨンはいまだ王宮に留まり
王様や重臣らと軍儀を重ねていたのだ。
いつもなら典医寺に迎えにいき
ともに家路についているが
役職が上位なるに連れ
役目に忙しい折りはテマンが
ウンスの護衛につき先に
戻らせる日々が続くのである。

夕餉を済ませ湯に浸かり
床に入りはしたがウンスも
なかなか寝付けずにいる。
すでに日付が変わる頃
暑さのせいもあるのかも知れないが
ある意味虫の知らせがあったやも
知れないが・・・。


そんな折、固く閉められた門扉を
飛び越える者が現れた。


「医仙殿を亡きものにし
我が妹を正室に据える段取りを
忘れてはならぬぞ。
今宵は大護軍も遅くなる筈と
仲間より連絡が参っておる。
おなごばかりと耳にしておるゆえ
容易いであろうな」


小声で話す青年とその仲間と思われる
人々。その中には女人の姿も見える。
名家に嫁いだウンスの試練である
のか、縁組みの話は後を絶たない
のが現実であった。
なれど此度ばかりは主であるヨンが
留守を狙った不届き者もしくは
己の私利私欲を満たすが為の者かは
主が戻るまでウンスらは知るよしも
ないのだが。

最悪な事にいつも警護に付いてる筈の
テマンの姿も今宵はない。
マンボの私兵の姿もないのだ。


小石が引き積められた庭を
駆け出すと音で住人に知らせを
する仕組みをヨンは考え実行して
いた。愛する人を守る為
愛する人が万が一、一人でも
いち早く逃げ出す為の手助けと
なればと苦肉の策であったが。


「ね、小石が鳴ってない?」


「ボッコも気づいた?
鳴ってるわね、ユリ?木刀持って。
奥方様をお守りしなきゃ、鳩を飛ばして」


二人は暗闇もお手のもの
母屋の奥から若い二人は駆け出す。


「ユリは奥方様をお守りして!
私は庭に出るから!」


「分かった!一人で大丈夫?
任せて良いのね?」


「任せて!」


ユリは閨の前に立ち
ウンスに声を掛ける。


「奥方様!!開けます」

ウンスはまだ夢の中にいたようで
ん?と眠たい眼をこすりながら
寝台から上体を起こし「どうしたの?」
と問う。


「刺客と思われます。
私とボッコがお守りしますから
そばを離れないで下さい」


「えっ?刺客?
旦那様はまだ帰ってないのよね?
怪我はしないで、無理しないで
なんなら私が表にでるわよ。
目的は私なんだろうから
大丈夫よ、今、支度するわ。
貴女達に怪我でもされたら親子さんに
申し訳ないもの」


「ダメです!必ずお守りしますし
それでもダメなら奥方様を担ぎ上げ
逃げます。約束しますから」


「今日はテマン君もいないのよね?
王宮で大事な用があるからって
言ってたわ。旦那様に知らせをしたい
けど、方法あるかしら?」


「すでに鳩は飛ばしましたから
直に、王宮に着くはずです」


ウンスはそんな中でも畳んで
閉まった衣を出し
寝衣から着替え、閨からユリと
共に、裏門へと駆け出して行った
のである。


ボッコは刺客と向きあっていた。


「王様、軍儀最中申し訳ございませぬ
開けても宜しいでございますか?」


「どうしたのだ?護軍」


「はっ!大護軍に火急の用件にて
お屋敷から鳩が飛んで参りました由
文を渡したくま借り越した次第にて
お許を」


チュンソクは戸口の外で声を掛けて
いた。


「なに?」


ヨンは王様に一礼すると
戸口を開け文に目を通す。


「・・・!!、王様
しばし、空けても宜しいで
ございますか?」


「如何したのだ?」


ヨンは説明する。
「奇襲」との一文字があり
屋敷に戻ることを願い出ていた。
今日はテマンとシウルが
港街まで偵察に出ていて誰も屋敷に
いないのだと。

「相分かった。すぐに戻りなさい
はやく!」


「はっ!」

 ヨンは厩舎へ駆け出して行く。

「頼む、間に合ってくれ」と
腹の内で願いながら。


王様もすぐにウダルチ、禁軍に命じ
刺客を捕らえて参れと沙汰を
下していた。


・・・・・

皆様こんばんは。

何の前触れもなく刺客が
屋敷を襲撃してしまいました。
どうするヨン?間に合うのか!
チュホン?飛んで行って~~。