天門の試練  24 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています


日のあるうちに屋敷に
戻る事ができたのは7日程後の事。
チェ家門前にはマンボ姉弟が
待ち構えていた。


「お帰りよ。鳩が飛んで来て
知らせを受けたから、慌てて
きたって訳さ」


「すまないね。急がせて。
で、その子らかい?」


「あぁ、そうだよ。
身元はしっかりしてるから
間違いないさ。
おかっぱ頭の子はユリ、そして
お下げ髪の子がボッコ、二人とも
十六だ。田舎から出て来て
うちにいたから腕は立つし、
屋敷の事もすべて仕込んであるから
恙無くこなしてくれる筈だよ。
さ、挨拶してごらん」


「はい、マンボ姉さん。
チェ尚宮様、旦那様、奥方様
まだまだ未熟者ですが
精一杯ご奉仕させて頂きます。
ボッコとお呼び下さい」


「私はユリと言います。
今日からは奥方様の手となり
足となり、お務めさせて
頂きます。どうぞ宜しくお願いします」


「マンボ姉さん?若いのに
ちゃんと挨拶できるなんて
すごいわぁ~」


「ウンス!、誰が仕込んだと
思っているのさ。申し分ない二人だよ」


「マンボ、ご苦労であった。
ユリとボッコと言ったか
この方を宜しく頼む。
昼は役目がある故、屋敷の事に精を
だしてくれ。先ずは今宵の夕餉
の支度と、湯殿の支度を頼めぬか?
マンボ?通いなのか?」


「いやさ、住み込みは駄目かい?
一日も早く覚えたいと言って
住み込みを希望しているって訳さね」


「ウンス?構わぬか?
屋敷の奥向きの事はウンスが仕切る
事になる故、意見を聞かせて
くれぬか?」


「えっ?・・・それなら
夜遅く帰ったりしたら危ないし
住み込みでお願いしようかしら?
ヨン?離れをきれいにしても
構わないかしら?
今のままじゃ気の毒だから」


チェ家には主夫妻が住まう
本宅と使用人が住まう離れがある。
だが使う者もおらず、今は
かなり荒れているのが現実である。


「直さねばとは思うておったが
・・・」


「じゃぁ、マンボ姉さん?
丁寧で仕事が早い大工さん紹介
して欲しいんですが
お願いできますか?あ、代金も
手頃な大工さんで」


「ウンスには敵わないねぇ~
しっかりしているよ。
女主になるんだからチェ家の家訓に
添わないとだね。分かったよ
任せなさいな」


「離れができるまで屋敷の奥の部屋が
空いてるから、そこを使って貰います
ね、二人で一部屋だけど構わない
かしら?」


白い歯を見せ微笑むウンスに
ユリとボッコは心を持っていかれた。
まるで御光がさして見えていた。
ウンスの腰に手を回しヨンもまた
口の端を上げていた。

荷物などもさほどない二人は
ウンスに案内され、屋敷に
脚を踏み入れると「わぁ~」と
歓喜の声を上げる。

真新しい物はないが
月日を重ねたんだろうと思われる
卓に椅子、そして書籍が並ぶ
重厚な本棚など客間には
派手さはないが、落ち着ける
雰囲気を醸し出していた。

廊下の端に何部屋か空き部屋が
ある。


「ここを使ってちょうだいね。
私達も閨は反対側にあるし
廁は厩舎小屋の隣で、厨房と湯殿は
庭の端にあるわ」


火の元を隣接する辺りは
祖父の代から効率よく使われて
いたのだろうか。以前はたくさんの
使用人が出入りしていたのか。
今のウンスではわかる筈もない。


「ウンスや、私はそろそろ王宮へ
戻るとしよう。よろしく頼むぞ。
二人は明日から出仕であろう?
ゆるりと骨休めせよ」


そう言うと叔母は王宮へと帰って行った。


「旦那様、奥方様?私達は荷物を
置かせて頂いて早速夕餉の支度と
湯殿の支度に取りかからせて
頂きます。旦那様と奥方様は
ゆるりとお過ごし下さいませ」


そう言って駆け出すユリとボッコ。
あどけなさが残る二人ではあるが
早く馴染もうとする姿が
垣間見れウンスの心はあたたかく
なる。


「うふふっ、かわいいんだから。
マンボ姉さん?あの子の生い立ちを
さらっと聞かせて欲しいんですよ。
同じ屋根の下で暮らすのに
何も分からないのはちょっと
・・・」


客間に腰掛け
マンボは話はじめた。


「あの二人は同じ里の出なんだが
貧しい家なんだけど兄弟が
ユリは八人、ボッコは五人で仕送りを
しなきゃいけないんだよ。
それで身元ははっきりしてるし
働き者しさ、それでもって
腕も立つからウンスの警護兼
使用人と言う話をチェ尚宮から
もらった時、打ってつけって
思ったんだよ」


「ご両親はご健在なのよね?
ほら、私は身分なんてない時代から
来たから人を人とも思わない
制度には反対だし、使用人なんて
言葉は嫌いだけど頑張って
働いてもらってお給料?じゃない
給金を出してあげたい。
これから長い人生が待ってるし
結婚だってしたいに決まってる
し、ヨン?お願いね」


「あぁ、任せろ」



・・・・・


酔いが回り千鳥足もままならない
ウンスは店の客とウォルに支え
られながら、夜道を歩いていた。


「ユ先生の家は?
私は知らないしどうしようかしら」


「そこのビルの美容室のオーナーじゃ
ないのかい?美容室に
お連れしようか?」


「ほんとうにすみません。
ご迷惑おかけして、それしか
手立てはないですよね。
お願いできますか?」


ソウル最大の繁華街明洞の街を
美容室へと戻っていく。
ウォルは美容室の客に過ぎない為
ヨンとウンスの自宅など知るよしもない。


「先生!!先生ってば!
ちょっと鞄を触らせて頂だきますよ。
鍵?えっ?もしかしたらセキュリティで
鍵だけでは入れないかも・・・。
入れなかったら私の部屋へ案内するしか
ないの?」


「おい?なんなら俺のマンションが
すぐそこだから少し休ませたら
酔いが覚めるかも知れないぞ。
もちろんあんたも来たらいいさ」


ウォルの住まいは明洞から
タクシーで一時間は掛かる距離だ
先生と二人なら大丈夫だろうと
安易な考えをしていたのであった。



・・・・・

皆様こんにちは。

土日は旦那がいるため更新できず
ごめんなさい🙇

天界のウンス!ピンチ😵💦