天門の試練  2 | シンイ二次小説でんべのブログ

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天門の試練 2

「待ちな!」

そう声をあらげたのは
派手に着飾った女人だ。


「うちの新入りに手を出したら
只じゃすまないよ」


「はぁ?新入り?
嘘つくなよ!あんたの所が
こんな年増を入れる訳ないだろうが
どうみても三十路じゃないか?」


「はんっ?年増??
失礼しちゃうわ、・・・あながち
間違ってはいないけど
あんたね?女を馬鹿にするんじゃ
ないわよ!あんたもね!女から
産まれてるんだから!
それともあんたわ?男から産まれ
たのかしら?ふんっだ」


ごろつきはぐうの音もでないようで
苦虫を噛み潰したような顔を
させ、ウンスを離すと
「ババァが!」と捨て台詞を
残し、走り去って行った。


ドキドキバクバクの
ウンスではあったが拘束されて
いた腕を離された事により
尻餅をつく形で座り込んでしまう。


「ふふふっ、立派な啖呵を切った
もんだよ。大丈夫かい?ほら」

手を差しのべウンスに立つよう
促す。


「あ、ありがとうございます。
本当は恐ろしいほど
震えていたんですよ、でも舐められ
たらおしまいと頑張りました」


「そうなのかい?
あんた?面白いね、行く所あんのかい?
なかったらうちに来な!
下働きで良ければ雇うよ」


ウンスは一旦黙り込み
何かを思案しているように見える。


「あ、あのこの辺りは
そう言う街なんですよね
私にはできませんけど
・・・でも、私、医者でして
その分野でなら、住み込みで
雇って貰えたら有難いんですが
ちょっと訳ありで都まで行く
旅費を貯めて、都で確かめなきゃ
ならないことがありまして
どうでしょうか?」


「何を言ってるのか?さっぱり
分からないが・・・都へ行く
旅銭が欲しいと言ってるのは
どうにか伝わったから
話は決まりだね。行くよ、
付いてきな」



『まこと、あの方がお戻り下されたのか
あの方が消えた天門近くで俺は
気を探りずっとお待ちしていたが
お戻りはなかったはず、否、俺は
あの方の気を忘れるなどあるのか?
否、あり得ぬ。
なれど、すでに王様の許しを得
正室と叔母上からの文には
そう認められていた筈だが
まこと、イムジャなら喜ばしいが』

大護軍チェ・ヨンは愛馬に
股がりそんな事を思い、都へと
想いを馳せる


チェヨンが天門の地から高麗軍と
共に帰還したのが
七日の時が過ぎた頃であった。

夕刻には、王様に帰還の報告
と、彼の地の現状を伝える為
拝謁をしなければならないが
一刻の時を惜しむように
チェヨンは叔母を掴まえ
鬼の形相で詰問していた。


「叔母上!真にあの方が
お戻り下されたのか?
今、何処においでになる?
ユ・ウンスに間違いないのだな?」


「ま、待て!落ち着け!
あの折りに比べるなら
少し年を重ねたようには
見えるが、あれはウンスじゃ
間違いないぞ、なんでも
王宮の裏山に通り道ができ
たとの事じゃ。今は
王妃様とお過ごしになっておる。
屋敷へとおもっがお前も不在で
あった故、どうしたものかと
思案にくれておったら
王妃様が助け舟を出して下され
坤成寺の空き部屋を仮の住まいと
して頂いたのだ。
なれどの、ウンスが医員ではないのだ
ん?っと思うのだが、容姿は
間違いなく、ウンスじゃ。
お前が会えば分かるのではないか
どれ、連れて来よう」


「相分かった。待っておる」

落ち着きのない様子でチェ・ヨンは
坤成寺の中庭にて叔母の後ろ姿を
見送るのである。
中庭には春を待ちわびる木々が
風に揺れ、まるで運命の再会を
喜んでいるようにも
みえていたのであった。


・・・・・

こんにちは。

さてさて再会はどうなるのか?
ウンスなのか?
それとも偽物か?
次回をお待ち下さいませね。