七夕に願いを | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています



あの方はいまどの辺りを
旅してるのか?
風に乗り、あちらこちらへと
気の向くまま飛び回っておるのか?
たまには俺の隣で微笑んでくだされ
・・・。

寂しそうに年老いたヨンは
縁側でボツりと呟く。
明日には捕縛されるであろうと
誰もが思う寝苦しい時節であった。

誰も恨んではおらぬぞ、テマン。

生涯大護軍の私兵で過ごした男
山猿と呼ばれた青年時代から
成年となりぐしゃぐしゃのかみを
ひとつに纏めきりりとして見える。
泣くまいと決めていたテマンの目に
光るものがある。

泣くなテマン、俺はようやく
愛しいウンスに会えると
喜んでおるのだ。
あの方の言い付けを守り
ちゃんと食い、ちゃんと寝
よき人生であったと自負して
おるのだからな。

でも大護軍・・・おれ、この年で
またひとりになるかと思うと
なんだかいろんな意味でさみしい
おれも一緒に・・・。

馬鹿を申すな!!
おまえは先は長いのだ。
よき縁があるやも知れぬぞ
俺とあの方のようにな。
命は無駄にするなよ・・・
約束できるな?

で、でもおれはあの男のやり方が
嫌なんです。
お互い切磋琢磨した友にあの様な
酷い王命を下すなんて、許したくない。

テマンが怒り狂う相手は李成桂で
あった。
いつかウンスが口にしたのを
思い出し、ヨンはこの事かと
妙に納得していた。

高麗時代を潰し朝鮮王朝の
創設者として君臨する初代王様では
あるがヨンを反逆者として
斬首の命を下したのである。

寝ろ、テマン。
明日は忙しくなるやも知れぬ故

そんな時、天よりひとつの道が
延びてくる。
よくよく目を凝らして
観てみると、星のチリが重なり
まるで天の川のようである。

まぶしい~~。

テマンが思わず呟く。

その天の川を時の神に連れられた
ウンスが満面の笑みをたたえ
降りてくる。

ヨン!会いたかったわ。

ウンス!!どうしたのだ?
なぜ?否、会たかった。

ヨンは地上に降りたまさしく天女を
ぎゅっと抱きしめそう呟く。
ウンスが病で逝ってから早
七年の月日が流れていた。
どれ程夢みたことか?
もう一度この胸に抱きしめたいと。

痛っ…相変わらずなんだから
うふふっ、でね?
時の神にお願いして
平和な天界?いや違うわ。
異次元の世界で暮らして行かない
かなって思って迎えにきたの。
実は私もその世界で暮らして
いるのよ、ヨンのご両親も
私の両親も恭愍王も魯国公主も
叔母様も居るわよ。
皆で楽しくやってるわ。
時の神にお願いしたのよ
ヨンの極刑には納得できないから
何とか力になって欲しいと。
そしたらいろんな神様に
掛け合ってくれて
気が熟して今日の日を迎える事が
できたって訳よ

黄泉の国と言う事か?

違うわ。
勿論亡くなった人らもいるけど
魂が生がある人もいるのよ
私の両親もまだ死んでないわ
でも時の神が連れて来てくれたの
難しい事も沢山あったようだけど
こんなんでも一応神様だから?

フォーホッホッ
うるさいわい、こんなんとは
儂を誰と思っておるのじゃ
神ぞ、偉い神ぞ。

ふぅ~~ん・・・偉い神ねぇ~?
エロ爺さんな癖にさ。

え、えろとな?
それは如何なる者を指すのじゃ?

貴方みたいな・・・止めとくわ。
怒らせたくないから
そんな事より、ヨン一緒に行こう?
時間がないわ。

無論参る!

良かった

時の神の問いには曖昧に返し
ヨンが共に参ると言ってくれた事で
ウンスは安堵の表情を浮かべて
いた。

あ、あの・・・おれも行きたいです
ひとり残して行かないで欲しいです。

テマン?よいのだな?
時の神?テマンも構わぬな?

フォーホッホッ
一人も二人も同じじゃ
でわ、参るとするかのぅ
橋を皆でわたるがよいぞ。
ほぅ、忘れておったわ
口を開くな!これを守れなければ
地上に落ちるぞ。

そう呟くと次の瞬間、四人の身体は
まばゆいばかりの橋を渡っていた。

互いに目配せし、黙りを決め込み
渡っていた。
これからの異次元の世で
両親や叔母や恭愍王や魯国公主と
共に暮らせる事を思えば
長い橋など苦でもない。
楽しみでしかないのであった。


終わり。

皆様おはようございます。

七夕の日に上げようとしてましたが
間に合いませんでした。
ごめんなさい。

だって七夕はてんてんmamaさんの
命日ですから。
忘れてませんよ。
もう四年の月日が流れたんですね
・・・早いものです。
そりゃ年取りますわ笑