もう少しお待ち下され 3 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています



「父上様・・・ビジャは
正室以外はいやにございます
父上様のお力ですべての側室を
排除してくださいますよう
お願い申し上げます」

「そうであろう、そうであろう。
分かるがビジャよ?
ものは考えようじゃ
ビジャが正室となり幾人も妾や
側室を従わせたらよいだけの話
今、両手でも足りない位と
申しておったであろう?
我が愛しき殿方に女人が群がるのは
鼻が高いと言うもの
殿方となるチェ殿を誇りに
思えばいいのじゃ。
違うかの」

「ですが父上様・・・」

「チェ尚宮殿?お聴き頂けましたか
殿方に女人が群がるのは
美丈夫ゆえである証、儂は
鼻が高いぞ」

「・・・そればかりではありませぬ。
チェ家当主の恥ゆえ話さずに
おりましたが、甥は寝言や歯ぎしり
所構わず屁をする有り様でして
何故この甥が女人にちやほやされるのか
理解しかねます」

「叔母上!口は災いの元
俺は正面突破が心情故回りくどい
やり方は好まぬ。ゆえに
俺のやり方で構わぬであろうか?」

「・・・策があるのか?
手強いとみたぞ」

王様のお出ましが未だない中
既に四半刻が過ぎようとしている。
嘘も方便と言うことで
ヨンのだらしなさや
ぐうたらな事を口にしてはみたが
どうにも効き目がないようで
当の本人が痺れを切らしたようで
あった。

「キム殿、王命が下されるのを
待っておられるご様子にて
はっきり申し上げます。
万が一王命が下されたなら
某は職を辞するつもりでおります。
そしてユ・ウンスとともに
野に下り、質素な暮らしをする
つもりでおります。
菜っぱを育て、釣りにて
腹を満たしていく所存にて
娘御には耐えられぬ暮らしかと
思われますが・・・」

「な、何を申すのじゃ。
戦になりし折り、そなたがおらぬば
この地はどうなる?
敵国のやりたい放題ではないのか?
死人も山のように出よう。
それでもよいと申すのか?」

「いかにも。某は恋慕うウンスだけを
守り生きていく覚悟にて
他のことは預り知らぬこと故
某は頼りになりませぬ」

「なんと・・・」

キムは絶句したまま言葉を
繋げる事ができないでいた。
末娘であるビジャも苦々しい
顔をさせ、父の言葉を待っていた。
そんな時ようやく王様が顔を
お見せになった。
王妃様やチェ尚宮やウンスの姿も
見える。

「それまでじゃ。
護軍の考えは重々承知しておるぞ。
キム殿?余の友を困らせるでないぞ
この者が、四年もの月日を経て
ウンス殿を待ち、その願いが
叶い、晴れて夫婦になろうとして
おるのじゃ、それにのう、
ウンス殿の世では正室は一人と
決まっておるそうじゃ。
これからこの地で暮らしていく
二人を暖かく見守って行こうでは
ないか?
余はキム殿が余の右腕ならば
護軍は余の左腕と思うておるのじゃ
他国に言動に右往左往するのではなく
基盤をしっかり固め、内から
強ようし、民の笑みが絶えない
国作りをしようと思うておる。
どうじゃキム殿?
余はどちらも失いたくはないのじゃ
此度の縁談はなかった事にして
くれぬか?
キム殿の娘御ならば
よき縁に恵まれようぞ」

王様の本音であろう。
右腕、左腕となる二人を
どちらも失いたくないと
言う想いが言葉の端々に感じ
取れる御言葉であった。

「王様・・・。
親謁ながら王様、ビジャの縁は
チェ家ではないと?」

「そうじゃ。
キム家との縁は、チェ家ではない。
今から娘御は王族となるのじゃ
余の従兄弟がビジャ殿に
心を持っていかれたようじゃ
入りなさい?」

王様の御言葉に戸口が開けられ
そろそろと姿を見せた住職姿の
従兄弟。

「余の母方の従兄弟じゃ
余が王となりし折
出家せねば生きられぬと
諭され、住職になっておったが
余が連れ戻したのじゃ。
名を徳将(とくし)、余のよき
相談相手となろうぞ」

目をやればなかなかの美丈夫
鼻筋はすっと通り二重瞼のせいか
くりくり眼に見つめられれば
心の臓を鷲巣かみにされたように
キュンとなるおなごは多々おると
思われる。
住職と言う職柄坊主頭ではあるが
袈裟姿も凛としていた。

『王様が急遽お呼びなされたお方は
このお方であったか・・・
遠い昔耳にはしておったが
いやはや、法を作らなければ
なるまい。王様も甥の為に
・・・」

チェ尚宮が胸の奥でそう思うと
この縁談話がでた折
王様の日々が一変された事が
思い起こされていた。

ウンスの世では当たり前にある
家電話や携帯電話などなく
連絡を取るには文のやり取り
しかないのだ。
どれ程ご苦労をなされたかと
おもい胸が苦しくなっていた。
だが、出家の身分と言えど
優男の割には目付きが鋭く
一抹の不安を隠しきれないのも
確かであった。


・・・・・

皆様おはようございます。
まだおわりそうにないです。
そんなに長くはないのですが
完に向け頑張ります。

徳の名前がつく人・・・
善人か悪かお付き合いくださいませ。

今日でんべは63才になりました~笑
病もなく過ごしてこれたのも
丈夫に生んでくれた亡き両親に
対し、感謝の気持ちを忘れず
また一年、年を重ねて行きたいです。