鈴蘭  76 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「素敵!」

ヨンジュンのマンションの入口には
ロボットがお出迎えをしてくれて
いた。
ウンスは思わず歓喜の声をあげる
まるで高級ホテルのような
広々としたロビーに、吹き抜けの
天井。その上空高くに描かれた
二枚の絵画には 恭愍王夫妻の肖像と
今世にも名の知らぬ者がいないと
言われるチェ・ヨン夫婦の肖像画
その傍らにハングル文字で
高麗32代王チェ・ヨンっと
綴られていたのだが幸いにも
誰の目にも触れる事はなかった。

「エレベーターで行きますが
皆さん初体験なのでちょっと心配
ですが…85階ですから
階段では無理がありますから」

「は、85階?・・・凄い高いのね
途中で止まってしまわないかしら
ちょっと心配なんですけど・・・」

ウンスだけは慣れ親しんだ
エレベーターではあったが85階
などと言う高層ビルは初体験である。

「箱に乗らねばならぬのか
・・・王妃?大事ないとは
思うが・・・」

王様は人知れず手を差しのべる。
照れたように頬を染めそれに
応えその手を握る王妃・・・。
皆がエレベーターに乗り85階へ
音もなく進み始めると現代人で
あるウンスでさえ眼を見開く。
余りの早さに…。

「す、すごい早さね。
勿論コンピューター制御なんだろう
けど、事故なんてないのかしら?」

「大丈夫ですよ。
ここは。メンテナンスが
徹底してますから。たまには
故障もしているみたいですが
おれは遭遇することは
なかったので」

そんな会話の中でもヨンはウンスを
王様は王妃を引き寄せ
踏ん張る姿が滑稽ではあったが
ふと見ると王様の額からは玉の
ような汗が流れていた。

「着きました。こちらです」

ヨンジュンに誘導され大理石の床を
行列が進む。超が付くほどの億ション
なのだろうとウンスは思うのである。

顔認証で玄関が開くと
こちらもまたロボットが出迎えて
いた。

「オカエリナサイ」

「これもロボットなの?
すごい技術が発達した世界なのね
驚いちゃった!!」

「はい。メイド型ロボットです
でも不審者とロボットが認識すれば
内臓されたエアーガンが発射され
攻撃するんですよ。気を付けて
くださいね」

人形ロボットにウンスは
目を丸くし問う。
ヨンと言えばウンスの腕を取り
背に囲う始末である。

「わっ…大丈夫だってば
ロボットよ。機械よ。
不審者じゃないんだから
攻撃して来ないわよ」

高麗では体験することのない
エレベーターやロボットに遭遇し
ウンス以外は、ほぼ戦意消失と
言っても過言ではないほど
ただただ呆然とするだけであった。

広いリビングに通され腰掛け
ヨンジュンが分厚い書物を
テーブルの上に置く。

「この史実書には
恭愍王の次はチェ・ヨンと
記載されております。
これは現実なんですよ
叔母さんの悩みも
十分理解できますが、おれは
現実を受け入れるべきでは
ないかと思うんです」

「・・・なれど・・・
私は甥が王となるは間違っておる
のではないかと思うのじゃ。
王様は退位されたとしよう…
ならば次の王となるべきなのは
トウ君様ではあるまいか?
それが受け継がれし王家の習わし
であり民が望む事だと信じて
おるのだが…違うか」

「チェ尚宮…長きに渡り
代々王妃を守り尽くしてきた事
礼を申すぞ。
なれどの余は後の世の為にとは
建前じゃが、倅トウに同じ
思いはさせとうないのじゃ。
元からの圧力は無くなったが
意に添わぬ重臣らを時には束ね
時にははね除け、戦に赴く兵士を
見送り…二度と会えぬやも知れぬ
兵士にどんな言葉を掛ければ
よい?国の為、その命を
投げ出し国を護れと言えばよい
のか・・・侍医が常々口にする
余の命も民の命もその重さは
平等だと…それを考えたのじゃ
言われて見ればその通りじゃ。
故に余は開かれた王室作りをしよう
これを成し遂げた暁には
王位を退き王妃やトウと共に
静かに暮らして行こうとな」

「王様、ご立派です…。
命に身分の差はないんです。
現に、この世界には身分なんて
ありませんから」

「なれどウンス?
甥が王となれば王妃はどうする
のじゃ・・・ウンスでは大人しゅう
してはおるまい?」

「私の役目は医者と思っています
から、叔母様が仰る通り
静かに暮らす事はできませんが
・・・かと言って、私以外の
女の人がこの人の側にいるのは
耐えれません…その時が来れば
考えたいと思います」

「そうか。
私は甥の嫁に支えねばならぬのか」

「叔母様はあくまで武閣氏の長で
なんです。おるべき場所は
高麗ですよ。現代人のお姿も
粋で良くお似合いですが
私らと一瞬に戻りましょう・・・
この人も寂しい想いをしていた
んですよ。ひとり夜中に起きて
何度も月を眺めてはため息を
吐いて、その繰り返しでした。
ですから叔母様?」

「そうじゃ、侍医の申す通りじゃ
チェ尚宮…選挙とやらをして
見ようと思うのじゃ。
民が重臣や王や妃を決める仕組みじゃ
余は妙案と思うぞ」

皆の話を耳にしヨンは最後に
口を開く。

「叔母上…俺は叔母上を母と思うて
おる。その母が忽然と姿を消し
俺は二度母をなくしたのだと
諦め掛けた折、ウンスが仲間が
俺の背を押してくれたのだ。
叔母上は気晴らしに行ってるだけで
必ずや王宮にお戻り下さると…
それを信じ俺はヨンジュンを訪ね
共に姿を消したのだと確信したのだ。
叔母上お戻り下され。
俺からの願いだ」

ヨンはソファーから腰をあげ
叔母が腰掛ける背に周り
その肩に手を置く。

「・・・戻る・・・」

叔母の一言に皆がほっと一息付くと
気の変わらぬうちにと
ヨンは直ぐ様眼を瞑り天門を
開いたのであった。
ゴウゴウっと渦巻く天門へ一歩を
踏み出し、その姿はあっと言うまに
飲み込まれヨンジュンがひとり
残される形となったのである。


・・・・・

皆様おはようございます。

二週間もほったらかしの本編を
描いてみました。
叔母様も無事に高麗へ戻り
選挙となるのか?
ヨンは?ウンスは?王と王妃に
なるのか?引き続きお付き合い
下さいませ。


関西方面のコロナ感染者が
すごい事になっております。
旦那の実家が大阪なので
心配しています。
義母も83歳と高齢の為尚更です。
皆様もマスク、手洗い、消毒
徹底してくださいませ。
ワクチン接種までは乗り越え
たいものです。

ポチっとして下されば嬉しいです




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