鈴蘭  49 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「この騒ぎは・・・」

王宮中庭には都の民で溢れ返り
足の踏み場もないのである。
その身ひとつで王宮に駆け込み
地べたに腰を降ろし、家族と
抱き合う者も入れば
我が子とはぐれたのであろうか
その名を叫びながら探し回る
母親の姿も見える。
迂達赤と禁軍兵士が整理しては
いるがとても追い付かない有り様
であるといえる。

「大護軍~!!お戻りをお待ちして
いました。どう整理すれば
良いのか俺には手に負えないです」

「トクマン!王様のおそばを離れ
万が一あらばどうするつもりか!」

「はっ!プ、ブジャンがおります
プジャンが民の整理に回れと
申され頑張っていますが
どうにも手に負えません。
もう日も暮れ顔の識別すらできない
んです」

「・・・松明の支度をしろ。
灯りを増やさねばならぬ
何処に紅巾が潜んでいるやも
知れぬものを・・・まったく…」

己の腹心であり
頼れるチュンソクが王様のお側に
控えておるなら案ずる事は
ないと思うヨンではあった。
そんな時、気配を消し
忍び足で人だかりを横切る複数の
人影を捉えたヨン。

「トクマン!!民を整理し
名と、住居を書き記せ。
むやみに王宮内を行き来させては
ならぬ」

「へっ?」

兵舎へ連行され厳しい鍛練か
尻を蹴らりあげられるかと覚悟して
いたトクマンであったが
目の前を眉を吊り上げながら
駆け出したヨンに、鈍いトクマン
でも何かを感じ取ったのか
厳しい顔つきに戻り
松明を準備するよう激を飛ばす。

「庭に灯りを絶やすな!
民衆をひと頃に集めるぞ」

トクマンはそう声を張り上げると
民を整理し始める。
長卓を並べ松明を増やし
名と住居の確認し、食糧を渡す。

「ふぅ~~・・・こりゃ~
夜が明けちまうなぁ・・・。
チョモ!手を貸してくれよ
俺一人じゃさばききれやしない」

「おれだって忙しいんだよ!
王宮内に散らばった民を
探さなきゃならないんだからな」

「もぅ~なんだよ~・・・
俺一人じゃ…そうだ!テマン、
テマンはどこだ?」

「大護軍と一緒だろう…。
見掛けてないんだから、違うのか?」

王命が下され、取り急ぎ
市井の民を避難させる事には
成功したが、迂達赤や禁軍が闇夜に
駆けずり回り事なきを得ようと
していたのである。
なれど、こちらはそう容易くは
いかないようである。


王宮の隅々まで知り尽くすヨン
叔母であるチェ・尚宮には
及ばないが、民に扮し忍び込んだ
紅巾の道を塞ぐことは造作もない事
である。
互いに気配を消していたが
突然現れ道を塞がれ眼を見開く。

「あ、こ、ここは俺は迷子に
なったんでしょうか・・・」

「迷子とな…ならば何故気配を消す
そなた元の農民ではなかろう。
この騒動を利用し、王宮に忍び込み
目的は…言わずとも察しは付くが」

「目的などあるはずがないです。
王宮を解放して下さり
感謝しているものを」

悪びれる様子などまったく見せず
ペコリっと頭をさげ懐に己の手を
忍び込ませ、小さな筒を取りだすと
地面に叩きつけたのである。
と、同時に白い煙がもくもくと湧き
辺り一面に広がり始める。

「んっ、これが煙幕と言うものか
俺を惑わすつもりならばちいと
浅はかであったな」

人の気配に敏感なヨンの事
どんな状況であろうと
気を集中させ視界を遮る煙幕の中でも
紅巾の動きは手に取るように
分かるのである。

気配を消し駆け出す紅巾を
これまた気配を消し追うヨンと
もうひとつの人影。

「大護軍!こっちです!」

「あぁ…分かっておる。
ご苦労であったな、テマン」

「はい、さっきの白い煙は
なんなんですか。
おれ、戦でも見た事ないです」

「煙幕と言うものであろうな
急ぐぞ。この先は典医寺だ
あやつの狙いはウンスだ」

「えっ大変だ!!」

ヨンは元からの刺客が紅巾に扮し
紛れ込んだと確信していた。
刺客が一人と言うことはない
そう思うと駆け出す脚が加速を
増し、軽功を使わずとも
テマンでも追い付かない有り様で
あった。


一方典医寺の中庭には・・・
負傷者に紛れ胸を張り長髪の男が
白衣を纏い、髪をひとつにまとめ
てきぱきと指示を出すウンスを
じっと見つめていたのであった。


・・・・・


皆様おはようございます。

ずいぶん更新の間隔あき
ごめんなさい。
遠くの現場に三ヶ月半ぶりに
復帰し、仕事内容を思い出すのに
あたふたしています😅
年を取ると大変ですね。
宝くじでも当たらないと隠居も
出来ないし・・・困ったものです(笑)

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