鈴蘭  40 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています



若子様が生まれ七日ほど過ぎた頃
世継ぎとして民に御披露目されようと
していた。
王宮大門を開け民に解放し
中庭まで押し寄せる群衆。
警備は万全を期さなければならない
為、禁軍総動員である。

「王様の我儘にも困りものよ。
ざっと見積り百人は居よう
どうするのだ?お前は」

ヨンと幼なじみである禁軍護軍
アンジェが、眉間に皺を寄せ
我も我もと押し寄せる民を見下ろし
ながら吐き捨てていた。
中庭には櫓がありその中には
武器が収められている
櫓のてっぺんに上り目を光らせて
いる格好となっていた。

「禁軍は民を、迂達赤は王様と
お世継ぎ様をと軍議での決め事で
あろう、そうぼやくな」

「されど民に王宮の蔵を解放し
米、麦、粟などを無償で分け与える
と、お達しがなければこのように
民が押し寄せる事は避けれたはず
そうであろう…」

「世継ぎ様の御披露目と
王様とて民に祝って欲しいとの
願いがあるのだろ。
王様のお出ましだ、こちらは
任せる」

そう言い残し
ヨンは櫓の階段を一気に駆け降り
王様の元へと歩を進める。
その腕の中には若子様が眠っている。
王妃様は床上げの許しが
侍医であるウンスからおりず
不在である。
若子様もまだ早すぎますっと
ダメ出しを食らっていたのだが
・・・ほんの僅かな時と約束するっと
王様のごり押しにウンスが折れる
形となったのだ。

「みな!聞くがよい。
世継ぎじゃ、侍医の手助けと
母である王妃の愛情を一身に受け
すくすくと育っておる。
我が息子であり、次王である。
初名を (燾)トウと授けた。
我父である忠粛王の初名を頂いた。
次(じ)高麗を担う若子である。
余はこれより元の配下を止め
高麗を独立国とする、手始めに
胡服弁髪令を下すものとする」

「「「おぉ~~~!!!」」」

割れんばかりの民の叫びが中庭に
木霊する。
その歓声にも我関せずとばかりに
眠る我が子に王様の目尻は
緩み口元は弧を描いている。

その隣には乳母であるミン女官が
意味あり気に微笑むのが気になる
所であるが・・・。

「鰻、ひとり半身を王様から賜って
おる故、欲しいと思う者は
屋台の方へ足を運ぶとよいぞ」

重臣の一人が口にすると
足早に屋台街と言うのか、中庭には
幾つもの屋台が並び、王宮の蔵を
解放した品々が並ぶ屋台もあれば
マンボ姐さんが仕切るクッパの屋台も
ある。猛暑の中でも都の民は
思うとこへ並び笑みを浮かべる。

香ばしく焼き上がる鰻の香りに
民が押し寄せる中、その先頭で
箸と皿をもち並ぶ怪しげな女人…
頭から頭巾をすっぽり被り
口元も隠している。

「・・・まったく…貴女は…」

そう食い意地は人一倍ありながら
高貴な屋敷の正室であり
王宮侍医であるウンスだ。
人の気配には敏感なヨンには
悟られぬようにと変装した
つもりでいたのだが
呆気なく見つかってしまったようだ。

「ば、ばれた?・・・
だって鰻大好きなんだもの。
炭火で焼き上げた鰻は人の食欲を
刺激するんだから。
お産の後も頂いたけど
あの時は疲れが先に出て
私食べながら眠ってしまって
目が覚めたら、鰻が無かったから
ちゃんと食べたいのよ。
王妃様のご様子も安定されているし
ちょっとだけだから~~・・・
それとも貴方もご相伴にあずかり
たいとか?」

「行きますよ。このような人混み
ウンスをひとり遅く訳には
行かぬ。俺のそばに」

「あぁ~~待ってよ~~。
鰻が~~もう焼けるのよ~
お願い!あぁ~~私の鰻~~」

切ない叫び声が木霊する中
ヨンに引きずられながら
ウンスは場を離れていく。
民が、迂達赤が、アンジェが
王様が面白そうにみな笑みを浮かべ
それを見ている。

一方後ろ髪を引かれる思いで
典医寺へと足を踏み入れたウンスは。

「クックッ…ほんに侍医は
面白きお方じゃ、妾の耳にも
届いておりますぞ。
鰻は王様にお頼みするとしましょう
妾にもトウにも恩人ゆえ
褒美を取らせねばならぬのぅ~」

「出産の時は逆子が
治らず大変でしたね…でもいざっと
言う時、私が鼻歌を口ずさんだら
くるりと向きをかえてくれて
きっともっと聴きたいっと
思ってくれたんだと
思っていたんですよ。うふふ」

王妃様が出産された当日は
ウンスは何度も逆子を直す試みを
繰り返したが、腹の中の赤子は
まだ生まれたくないと言わんばかりに
すぐさまくるりっと逆子に戻り
手を焼いていたのだ。
そこでウンスが幼き頃母が
口ずさんでいたサランヘを
お世話でも上手とは言えない声で
聴かせたのだった。
周りの医女や王妃様も失笑する位の
鼻歌ではあったが
その鼻歌のお陰でするりと
頭からこの世に生まれた経緯が
あったのだ。
思うところあまりに下手すぎて
このままでは窒息してしまうと
赤子なりに思ったのではないかと
想像できたのである。


・・・・・
皆様こんにちは。

猛暑ですよ~~💦
あ!もう残暑と言ってもおかしくない
季節になろうとしていますが。
明日から仕事が始まる方々も
いらっしゃるとおもいますが。
(でんべも明日から仕事です)
マスクも手放されず・・・
皆様も手洗い、うがい、水分補給を
忘れずにお過ごしくださいませ。

ポチっとして下されば嬉しいです


にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村