鈴蘭  27 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「父上様、母上様、ご無沙汰
しております。お迎えに参りました
夜が明けましたなら
婚儀の運びとなりますれば
今宵はひとつ屋根の下にて
お過ごし下さりますよう
お願い申し上げます」

「うん、うん、この一月(ひとつき)
どれだけ待っていたことか・・・
こっちとは昼夜逆転しているのよね
ヨンさんの世では、いまは
夜半って事かしら?ウンスは
どうしてるの、早く花嫁姿が
みたいわ~~。
ヨンさんも元気そうで良かったわ」

ウンスの世では残暑と言われる初秋
の頃であり、こうして畑のど真ん中に
たっているだけでも
じっとり汗をかくほどなのである。

そんな日差しにも臆することもなく
ウンスの母親は、ウンスを思わせる
ようなよく回る口が止むことは
なかったのだが。

「母さんもう行こうじゃないか
荷物に不備はないな?
これだけでいいんだな?」

「えぇ、忘れ物はないわよ。
ヨンさん幾日かお世話に
なりますよ」

「喜んで。では、参ります。
以前同様ウンスのもとへと
強く願ってくださいますか
某から離れることなく
お願い申し上げます」

両手いっぱい荷物を抱える
父親とキャリーバックを片手に
持ち、ヨンの衣も裾をしっかりと
にぎりしめる母親。

そして天門を潜り抜け
たどり着い先は暗闇が覆う
高麗の地であり、チェ家中庭で
あった。

「ふぅ~、ウンスが眠って
おりますれば、父上様、母上様には
奥の間をご用意致して
おります故、某が呼びに
参りますまでゆるりとお過ごし
下さりますようお願い申し上げます」

「分かったわ。サプライズ成功
させなきゃね。お父さん静かによ
静かに・・・」

ウンスの母親は片目をつむり
口元に人差し指をあて
おどけて見せている。
その仕草に、ヨンの口角が
自然にあがっている。
それから荷を受け取り
屋敷中へと足を踏み入れる。
ウンスが眠るであろう屋敷内
直ぐにでも叩き起こし再会を
果たしたい。そんな
はやる気持ちをなんとか封じ込め
ウンス両親は奥の間へと
案内される。

「あと一刻半ほどで夜が明けます
故に、後程参ります」

通された奥の間は
板の間ではあるが、母親は
ヨンを見送ったのち
真っ暗闇の壁をまさぐる。

「お父さん、電気はどこかしら?
真っ暗で何も見えないんだけど」

「・・・母さん…落ち着きなさい
ここに電気はないと
本で読んだだろう・・・まったく。
どこかに蝋燭があるはずだ
目が慣れるまで座っていなさい」

「あ、そうだったわね
私ったら・・・でも一刻半って
確か三時間くらいでしょう?
眠れそうにないわね、うふふ」

音も出さぬよう気を配り
ウンス両親は、静かに夜が明けるのを
待つのであった。


・・・・・
「ウンス?支度をせぬば
ならぬ故、はよう目を開けよ」

「・・・う~ん・・・」

あ!そんな顔をさせウンスは
瞳を大きく見開き寝台より
飛び起きる。そしてその瞳に
映ったのは、衝立に掛けてある
ウンスの花嫁衣装である。
薄い空色の地に、襟元や袖口と
チマの裾には小さな花が
色も鮮やかに刺繍がされている
チマチョゴリである。

「わぁ~綺麗・・・これって
私の花嫁衣装なの?」

「気に召しましたか、奥方?
叔母上が支度をしてくれたのだ
刺繍も叔母上がしてくださった」

「そうなの?
ありがたいわ、こんな私の為に」

うっとりとした眼差しを
向ける最中、ドタバタと掛けてくる
足音が響くのであった。


・・・・・

皆様おはようございます。

今日でんべは還暦を迎えました。
とうとうです(笑)
記事を綴り四年、コロナにも
インフルエンザにもかからず
無事に過ごすことができています。
仕事場も自粛にはならず
毎日出勤してできています。
あ~~~、なんだか感慨深いですよ。


ボチっとして下されば嬉しいです


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