「ヨン?・・・」
そっと足音を忍ばせ
寝室の前に難なくたどり着いた
ウンスがそう呟くと同時に
戸口が「バァ~ン」っと
勢いよく開いたのである。
「ウンスか?ウンスがおるのか?」
こくこくと頷くウンスではあったが
悲しいかなヨンにはその姿は
見えない・・・。
「ウンス!どこにおるのだ?
姿を見せてはくれぬのか?」
そう叫ぶと落胆の色を眼に滲ませ
どかりと寝台の端に腰を落とす。
「び、びっくりした~死者の気配も
感じ取れるなんて…さすが
私の旦那様は高麗一の武将ね
ふふふっ」
そう呟くとウンスは
静かに微笑み、ヨンの頭部に
手を添え・・・。
「んっ?触れれないじゃない!
ヨン?私はここよ!目の前に
いるわ。聴こえないの?ヨン!
ヨンってば!!よ~し
おもいっきり叩くわよ
なんとしても存在を知らせなきゃ」
「バシッボコッバシッバシッ!!」
後頭部を叩き、足元を蹴り
両手に力を込め腹を交互に
叩くウンス。
「質の悪い蚊か・・・」
「もう!失礼しちゃうわね
よし!こうなったらその口塞ぐしか
手はないか・・・」
背を丸め肩を落とすヨンの顔を
覗き込む格好でウンスは唇を
そっと添える。
「!!!」
「ふふふっ…ヨン…気がついた?
ウンスよ私は貴方の目の前に
居るのよ」
眼を見開き震える両手を
もちあげそこにいるであろう
ウンスを抱きしめる仕草を
見せるが・・・かなしいかな
その腕は空を切る。
「・・・ウンス…もう一度口づけを
してくれぬか?」
「やだぁ~恥ずかしい・・・
でも貴方が望むなら・・・」
頬を染めながらウンスは
もう一度唇に触れる。
その甘い香りがヨンの鼻腔から
全身を通り抜け
ヨンの肩の力が抜けるように
見えていた。
「そこにおるのですね?
・・・ウンスが逝き俺は生きては
行けぬのだ。ウンス…お願いだ
俺を連れて行ってくれぬか?」
「駄目よ。貴方にはまだやらねば
ならないことがきっとあるはずよ
だから生きて、お願い・・・
あぁ~聴こえないか~
よしっ!時の神~そこにいるんで
しょう~~出てきてちょうだい~」
「フォ~ホッホ!よんだか?」
「!!!・・・時の神であろう
頼む。ウンスの姿を俺に見せてくれ」
髪の毛をくしゃくしゃにし
しゃがみ込むウンスの前に
もくもく揺らぐ靄の中から
独特の笑い声を奏で
時の神が姿を現す。
「あら、ヨン?私は見えなくても
エロ仙人は見える訳?
なんだか妬けちゃうんですけど」
「久しいのぅ~ちいと白いものか
増えたが、儂が見えて
おるのじゃな…ほれこれを飲むのじゃ
苦いが死人(しびと)が見える
薬もどきじゃ」
「も、もどきってなによ!
ヨン!飲んじゃ駄目よ」
見開いた眼の前に
ほいっと差し出された丸い包みを
じっと見つめ、意を決し
水も含まずごくりっと飲み込んだ
のである。
「あ、あぁ~飲んじゃった
知らないんだから
ちょっとあんた!ヨンは
大丈夫なんでしょうねぇ?
おかしなことになったら
絶対許さないんだから!」
「なんじゃ?フォ~ホッホ
黙って見ておれ・・・
ほれ、眼が開いたぞ」
がくりっと項垂れた頭部が
持ち上がりヨンの眼が開かれたので
ある。
・・・・・
さて、ヨンはウンスの姿を
再びその瞳に映すことができるのか
次回まで待っててね(笑)
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