時の雫 2 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「ヨン?・・・」

そっと足音を忍ばせ
寝室の前に難なくたどり着いた
ウンスがそう呟くと同時に
戸口が「バァ~ン」っと
勢いよく開いたのである。

「ウンスか?ウンスがおるのか?」

こくこくと頷くウンスではあったが
悲しいかなヨンにはその姿は
見えない・・・。

「ウンス!どこにおるのだ?
姿を見せてはくれぬのか?」

そう叫ぶと落胆の色を眼に滲ませ
どかりと寝台の端に腰を落とす。

「び、びっくりした~死者の気配も
感じ取れるなんて…さすが
私の旦那様は高麗一の武将ね
ふふふっ」

そう呟くとウンスは
静かに微笑み、ヨンの頭部に
手を添え・・・。

「んっ?触れれないじゃない!
ヨン?私はここよ!目の前に
いるわ。聴こえないの?ヨン!
ヨンってば!!よ~し
おもいっきり叩くわよ
なんとしても存在を知らせなきゃ」

「バシッボコッバシッバシッ!!」

後頭部を叩き、足元を蹴り
両手に力を込め腹を交互に
叩くウンス。

「質の悪い蚊か・・・」

「もう!失礼しちゃうわね
よし!こうなったらその口塞ぐしか
手はないか・・・」

背を丸め肩を落とすヨンの顔を
覗き込む格好でウンスは唇を
そっと添える。

「!!!」

「ふふふっ…ヨン…気がついた?
ウンスよ私は貴方の目の前に
居るのよ」

眼を見開き震える両手を
もちあげそこにいるであろう
ウンスを抱きしめる仕草を
見せるが・・・かなしいかな
その腕は空を切る。

「・・・ウンス…もう一度口づけを
してくれぬか?」

「やだぁ~恥ずかしい・・・
でも貴方が望むなら・・・」

頬を染めながらウンスは
もう一度唇に触れる。

その甘い香りがヨンの鼻腔から
全身を通り抜け
ヨンの肩の力が抜けるように
見えていた。

「そこにおるのですね?
・・・ウンスが逝き俺は生きては
行けぬのだ。ウンス…お願いだ
俺を連れて行ってくれぬか?」

「駄目よ。貴方にはまだやらねば
ならないことがきっとあるはずよ
だから生きて、お願い・・・
あぁ~聴こえないか~
よしっ!時の神~そこにいるんで
しょう~~出てきてちょうだい~」

「フォ~ホッホ!よんだか?」

「!!!・・・時の神であろう
頼む。ウンスの姿を俺に見せてくれ」

髪の毛をくしゃくしゃにし
しゃがみ込むウンスの前に
もくもく揺らぐ靄の中から
独特の笑い声を奏で
時の神が姿を現す。

「あら、ヨン?私は見えなくても
エロ仙人は見える訳?
なんだか妬けちゃうんですけど」

「久しいのぅ~ちいと白いものか
増えたが、儂が見えて
おるのじゃな…ほれこれを飲むのじゃ
苦いが死人(しびと)が見える
薬もどきじゃ」

「も、もどきってなによ!
ヨン!飲んじゃ駄目よ」

見開いた眼の前に
ほいっと差し出された丸い包みを
じっと見つめ、意を決し
水も含まずごくりっと飲み込んだ
のである。

「あ、あぁ~飲んじゃった
知らないんだから
ちょっとあんた!ヨンは
大丈夫なんでしょうねぇ?
おかしなことになったら
絶対許さないんだから!」

「なんじゃ?フォ~ホッホ
黙って見ておれ・・・
ほれ、眼が開いたぞ」

がくりっと項垂れた頭部が
持ち上がりヨンの眼が開かれたので
ある。


・・・・・

さて、ヨンはウンスの姿を
再びその瞳に映すことができるのか
次回まで待っててね(笑)

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