時の雫 1 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「あぁ~また寝てる~~
もう一月(ひとつき)立つのに~
あの人ったら、まったく・・・」

雲の上から仁王立ちし
下界をチェ家を覗き込むウンス。

一月前の暑い夏の夜更けに
愛するヨンと子らに見守られ
ながら、ウンスは老衰の為
静かに旅立ったのである。
幸せな人生だったと言えよう
貴族の殿方は、第二夫人や側室を
持ち、まるで己の力を誇示するような
贅沢三昧で生活する中
高麗でも、十の指に入る名家チェ家の
主であるチェ・ヨンは違った。
亡き父の教えを守り
質素な生活ぶりは勿論の事
正室をこよなく慈しみ
愛し、その最期を見送ったのである
だが・・・正室ウンスが逝き
ヨンの生活は一変してしまった。
面倒臭そうに出仕し
お役目はこなしているのだが
屋敷に戻れば飯も食わず
ただただ眠り続け、時には
出仕さえ拒否する有り様である。

『はよう迎えに来い』

そんなふうに望んでいるのかも
知れないのだが。
その髪にも白い物が混じり
幾分皺も刻まれ、積み重ねた
年月の長さを感じられる。

『私が逝っても寝太郎に
ならないで・・・ちゃんと食べて
生が尽きるまでちゃんと生きて』

そんな遺言も忘れているかに
見えていた・・・。

「もぅ~約束忘れたのかしら
…武士の約束は命がけなんじゃ
なかったかしら、そうだわ!
こんな時にはあのエロ仙人に
頼むしかないのよね・・・
おぉ~い!!時の神~~?
出てきてちょうだい!」

ウンスは雲の上から
両手を口のそばにそえ大声で
叫びエロ仙人こと、時の神を
呼びだしたのである。

「フォ~~ホッホ・・・儂を呼んだか
乳でも揉ましてくれるのか?
・・・バシッボコッ・・・痛っ!」

「馬鹿なことは言わないでよ!
相変わらず、エロじい様なんだから
まったく!・・・」

時の神が降り立つと同時に
その眼がウンスの胸の辺りを
凝視し、不敵な笑みを浮かべた
ときウンスの鉄拳が飛んだのである。

「痛いではないか・・・
これでも神であるぞ…まったくもって
無礼千万じゃのぅ~」

「お願いがあるのよ
ほら見てあの人がこのままじゃ
死んじゃうから、ちょっとだけで
良いから私をあの人のそばに
連れて行って欲しいのよ
神様ならそのくらい朝飯前でしょ?
・・・あら、その顔・・・
あ、ああ~出来ないんだ~
そうなんだ~~」

後頭部を擦りすりし
呆れ顔の時の神をウンスはわざと
煽っている様子である。

「儂に出来んことが
あるはずなかろう?まったく
じゃがその褒美はいかがする?
時を司る儂を動かすのじゃ」

「・・・あ!そうだ!
あの人が許すなら、チラ見くらい
させてあげるわよ
この豊満な胸を。どう?」

「フォ~ホッホ・・・契約成立じゃのぅ
善はいそげじゃ…そなたの気が
変わらぬうちに参るぞ
そこら辺を掴むのじゃ」

ウンスには策があった
あの人が許す訳がないと・・・。
時の神は、時の神で是が非でも
覗き、隙あらばその両手に余るで
あろう豊満な胸を揉みもみし
堪能してみたいと。

すっと差し出された袖口の端を
ウンスは掴み二人は下界へ
飛び降りたのである。

「はや!もう着いたのね」

「このくらい朝飯前じゃ。
じゃがのぅ~刻限に限りがある
まる一日じゃ、それを破れば
・・・二度と下界を覗くことも
出来ぬし、その眼を開くことも
許されぬのじゃ・・・
意味が分かるか?魂が尽きることは
ないのだからして
暗闇をさ迷い続けることに
なるのじゃ…分かったの?
・・・ほらゆけ・・・
時は待たぬぞ…はんっ?
もうおらぬわ!・・・」

チェ家屋敷前に降り立つとほぼ
同時にウンスは、かって知ったる
なんとやらで寝室目掛け駆けて
行ったのである。
時の神の話を聴いていたのかは
定かではない・・・。


・・・・・

皆様こんにちは

いつもお寄り下さり
誠にありがとうございます。

このお話は
てんてんmamaさんを忍び
時の神をお借りし、皆様に
お届け出来たらと思い
全五話くらいで描きたいと
思っています。
(画伯から許可をもらっております)

お付き合い頂ければ幸いです。


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