生きる意味(動きだす時)59 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「えっ?私を娘って?
元の両親はそんな老人ではないわ
おかしいわね・・・ま、とにかく
急ぎましょう。ヨン?お願い」

「相分かった。なれど俺より
三歩離れてはならぬ。
約束できるな?」

「わかってるってば!」

高麗の地、いや元でも口にしない
ため口である。いまのウンスは
前世よりの流れで天界の血が
うわまっているのかも知れない。
チュホンを走らせ先を急ぎ
屋敷街が見え始めチュホンの手綱を
緩めると押し問答を繰り返す
老夫婦と使用人の姿が
見え始める。

「あっ・・・あ~~んあ~ん、ゲホ
ゲホ・・・アボジ、オモニ…」

まるで幼子のように
嗚咽を繰り返しウンスは
馬上から泣き叫ぶ。
その声が届いたのであろうか
老夫婦は驚いた顔で振り返り
しわしわの眼を見開きながら
おぼつかない足取りで
こちらに一歩、一歩っと確実に
向かってくる。

「ヨ、ヨン 降ろして・・・
あんなに老齢してるなんて
アボジ、オモニがかわいそう」

「・・・」

「ヨン?お願い!」

「あ、ああ…」

華奢な背を預けるヨンを見上げ
ウンスがほろほろっと涙をながし
懇願の眼差しを向ける。
そんなウンスの望みを叶えるべく
ヨンは愛馬チュホンから颯爽と
飛び降り、ウンスを降ろし
ともに手を取り駆け出すのである。

「やっぱり・・・アボジとオモニだ
この時代に生まれ変わっていたの?
戦ばかりで大変だったでしょう
よく無事でいてくれたわ。
会いたかった・・・あ~んあ~ん」

「ウンス…私達の娘・・・
こんなにやつれてしまって
・・・貴女が姿が見えなくなって
私達は何度も何度も貴女が消えたと
されていたあの石段に脚を
運んだのよ…でね
その時に、お願いしたの
本当に輪廻転生が叶うなら
ウンスが亡くなった時代に
生まれますようにって
・・・リスクがあると言うなら
私達の娘じゃなくても
構わないから、一目会って
抱きしめたいっていくたびに
手を合わせていたのよ
そしたらリスクがあったみたいで
・・・でもねウンス?
私達の娘は貴女一人なのよ
今は子はいないんだもの
これもリスクだったのかも
知れないわね。
でもこうして会えたわ
・・・貴方?何か言わなきゃ
記憶が甦りずっと探していた
ウンスよ・・・」

横で顔をごしごし擦り
男泣きする父親に母親はそう促す。

「・・・ウンス・・・探した。
前世からずっと探していたんだ
探しても見つかる訳もない訳だ
ウンスが高麗時代に生存して
いたんだものな、我らが同士
チェ・ヨン将軍の奥方になって
いたとは驚きだ・・・ウンス?
こちらがチェ・ヨン将軍の若かりし
頃なのか?」

父親が片時も離れず
ウンスのそばに付き添うヨンを
見上げそう呟く。

「そ、そうよ
あの時、もちろんアボジやオモニ
には、ごめんなさいと何度も
謝り、再び天門を潜ったの
この人のそばが私の生きる道だと
思ったから・・・今は
こうして三度巡り会って
お嫁さんになれたの・・・」

事の仔細をすべて把握したヨンは
直ぐ様片膝をつき深く頭を垂れ
しばらくしてから、漸く顔を上げ
黒曜石のような澄んだ瞳を両親に
向け口を開く。

「父上様、母上様
お二人が大切にお育て下さった
ウンス…いや、娘御をこの地に
拐い、お二人にお返しすることなく
月日が流れ、いまに至ったこと
お詫び申し上げます。
なれど、娘御と某の縁が切れる
ことは決してございませぬ。
某の唯一無二の女人は
娘御ただひとり。魂が呼び会い
どれほど離れていようと必ず
探しだす所存にてお許し頂き
ますようお願い申し上げます」

「将軍。お顔を上げてくださいまし
私達は前世ではお怨みしたのですが
ある日ふと図書館に脚を運び
将軍がウンスとともに
・・・入水自殺したのでは
ないかとの記事を目にしたのです。
驚きました。柳(ユ)夫人とは
この子の事ですよね?
深く愛しあいそれでも
何かの事情がありウンスとともに
・・・・」

「母上様!いま暫く、その話は
口にされませぬよう願います
ウンスが、すべてを思い出すまで」

「えっ!どういう事?ヨンが
入水自殺?あれ?チェ・ヨン将軍
って・・・確か・・・う~ん…
思い出せない」

「よい…思い出せずとも
俺が生涯そばにおる故
まずは父上様、母上様中へ
お二人の話も聞かねばなりませぬ故」

端切れを繋ぎ合わせたような
衣や素足に足袋姿や髪も延び放題
見るからに忍びない姿の二人を
ヨンは案じたのであろう
前世の詫びの意味を込め屋敷へと
招き入れたのであった。


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