生きる意味 35(模索) | シンイ二次小説でんべのブログ

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暑すぎた季節も終わりを告げ
いよいよ出兵その朝を迎える。

「い、行ってらっしゃい」

「ウンス…泣くな・・・」

泣くまいと心に決めていたのだが
頬を伝う涙を拭うこともせず
ウンスはヨンを見つめていたのである。

「スリバンと叔母上がそばにおるはず
なれど、・・・」

「い、言わなくてもわかって
いるわ…「おとなしくしていろ」で
しょう?貴方が出向くんだから
きっと大丈夫だろうけど
倭寇がうろうろすることも考え
られるから、ちゃんとおとなしく
しているわよ…その代わり無事に
戻ってきてね・・・ま、待ってる」

「ああ、約束は違(た)えぬぞ」

ヨンはその大きな掌(たなごころ)
で、そっと包むと零れ落ちる涙を
拭きその額に(チュ)っと音がするほど
唇を落とす。

チェ家の使用人やテマンも慣れた
もので、すっと顔を背け
肩が揺れていたのである。

「もっとぎっゅとして・・・」

「鎧ゆえウンスに柔肌に傷がつく」

麒麟の紋様入りの鎧を纏う
ヨンとテマン…その姿も凛々しく思え
ウンスは武運を祈らずには
いられなかったのである。
その懐深く自ら潜り込み
胸の内で『貴方は大丈夫。きっと
前世の記憶がやくに立つから』
そう思い、いつかのように
鎧の上からではあったがその胸を
ポンッと叩き笑みを浮かべる。

「いつかのようだな…あの折から
俺のここを鷲掴みしていた・・・」

「ふふっ…さあ~行って
チュンソクさんやトクマンくんらが
待っているわよ」

「ああ…テマン?参るぞ!」

心の臓をおさえるヨンもまた
笑みを浮かべ愛馬に跨がり
王宮へ向け出立するのであった。

いつまでもいつまでもウンスは
その背が視界から消えても
見送るのである。

「クスン…」

「奥方様…お部屋へお戻りを」

「あ、うんっ・・・行ってしまったわ
でも大丈夫よ…旦那様は後世に名を
残す凄い人なんだから・・・あれ?
なんでそんな事思うのかしら…」

「はいっ?後世に名を…で、
ございますか?奥方様は実に
面白い事を言いなさいますこと。
さあ、朝夕はお寒うございます
中へ参りましょう」

「ありがとう…そうするわ」

ウンスが屋敷の中へと
向かう頃…ヨンとテマンは
王宮まであと僅かと言う所で
チュホンがピタリと脚を止めたので
ある。

「こら!チュホン、どうしたんだ?」

まえを歩き手綱をもつ
テマンが振り向きそう声を掛ける。
その時「シッュ」っと風を切る音が
二人の横を掠める。ふと見上げれば
屋根の上からシホとジウルとマンボ
姉弟が大きく手を振っているのが
目に止まる。

「留守は任せときな!あんたの大事な
家族は守ってやるよ~~!」

「・・・」

マンボ姉の言葉に
無言のまま鬼剣を持つ手を天高く
突き上げ応えるのである。

その後王宮へ出仕すると
王様の御言葉を受け
ヨン、チュンソク、トクマン、
テマンらは出陣して行ったのである。
此度留守を預かるのはチュソクや
トルベとチョモであり、ヨンより
ひそかに激を受け王様を初めとする
王宮全体を命をかけ守って
みせると胸を張り出陣する皆を
見送るのであった。


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一週間も空いてしまいました。
すみません。

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