生きる意味32(模索) | シンイ二次小説でんべのブログ

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「出来ぬと申したか?」

「はい…チェ尚宮様、縁組みのお相手が
今は亡きお方では族譜から除籍されて
おりますもので、あ!すみませぬ」

「そこをなんとかならぬのか?
この通り頭を下げよう…」

テマンを養子にと言う話から
数日が過ぎたある日、チェ尚宮は
チェ家本願である鉄原にひとり
姿を見せていたのである。

鉄原を統括するのはチェ家ではあるが
族譜を管轄するのは別にあるので
あった。

「お止めくだされ、チェ家長殿が
容易く頭など下げてはなりませぬ
・・・う~ん・・・お、おぉ~
長殿の養子になされては
如何でしょう…チェ家主であり
鉄原を統括されるヨン様には
いずれ跡継ぎが生まれますこと
でしょうが、おのこでなければ
長殿の御養子様が、チェ家を
継ぐ事も可能でございます
よい策ではございませぬか?」

「なれどのぅ~この婆の養子になど
なりたがるのか…ちいと不安じゃが」

「大丈夫でございましょう
文を頂いた折、その者の身元を
調べさせて頂きましたが
戦にて、二親、兄弟を亡くし
その者も他界しておるとばかり
思っておりましたが、よく生き延び
ておられたものだと…まことよう
ございました。
己に降りかかる窮地を切り抜ける
お強い心根をお持ちになるお方故
しかと前を見据え己の信念を
貫く信義に厚い
おのこでありましょう」

「そうじゃなテマンはヨンを慕い
常にともにおる・・・生まれ変わった
いまでもじゃ…すぐに戻りあの子に
問うてみよう」

「はあ?なんと!生まれ変わった?」

「気にするな、独り言故・・・
邪魔をしてすまなんだ」

チェ尚宮は口の端をあげると
鉄原の役場と思われる場を
あとにするのである。

馬を何頭も乗り換え鉄原から
王宮に着いたのは
それから五日後早朝の事であった。

「王妃様・・・お暇を頂き
御礼申し上げます」

「よいのじゃ頭をあげよ、チェ尚宮
して無事に用はすんだのか?」

「はい…それが・・・・・」

チェ尚宮は鉄原での仔細を
王妃様に伝えていた。

「そうであったか
チェ尚宮にも子が出来るとよいのぅ」

「はい、あやつの望みを叶えて
やりたく・・・あとはテマンの意思に
添いたく、そう思うております」

「そうじゃ、無理強いは出来ぬで
あろうのぅ…」

王妃様はちいと困り顔を見せながらも
チェ尚宮を
じっと見つめていたのである。
生涯その身を王宮に捧げ
代替わりする度、王妃のそばに
寄り添い、丁度よい距離を保ちながらも
時にはその身を投げ出し守って
きたのだろうと…この者にも
幸多かれと祈らずにはいられなかった
のかもしれない。

それからチェ尚宮は出仕する甥と
テマンを王宮大門前にて待って
いたのである。

心がざわつくのか…
いつもの凛とした出で立ちも
影を潜め右に左に脚を進め
門番などはどう声をかければよいのか
戸惑うほどであった。


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