生きる意味 29(甦れ) | シンイ二次小説でんべのブログ

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「王様…すべて終わりまして
ございますれば、これよりは
王様のご意志のままに政を
なされば宜しいかと思われます」

「隊長?大義であった…余の意志と
申したな・・・ドチ?読み上げよ」

「畏まりましてございます。
では、迂達赤隊長チェ・ヨン殿
本日いまより正四品護軍に地位を
与えるものとする」

徳成府院君キ・チョルが、己の内功に
蝕められこの世を去り、その翌日
早朝の事であった。
突如言い渡された護軍への昇進である。

「・・・某などが・・・」

「護軍?聞かぬぞ、余の為とは
言わぬが、国を、高麗を、民を
護りこの地を誰もが羨む豊かな地へと
導いて欲しいと思うておるのだ
むろん余も尽力を尽くすつもりで
おるぞ、民の笑みが余の支えに
なるのだ…王妃の受け売りでは
あるがな・・・」

「王妃様がでございますか・・・」

「そ、そうじゃ…ならぬか?」

「いえ、そのようなことは
ございませぬ」

照れたように顔を背けになる王様で
あった・・・そのご様子と
微笑みをお浮かべなり頭をつんつん
っとかく仕草からは連想される事…
それは己らの身を案じながらも
仲睦まじい一夜をお過ごしに
なられたのであろうとヨンは腹の底で
思い、口の端を微かにあげていたので
あった。

 「王命しかと承りました」っと
一礼し、康安殿から一歩踏み出せば
朝日が燦々とふり注ぐ一日の始まり
であろうと思われ
雲ひとつない東の空から朝焼けが
朱色に染まり始め日が顔を覗かせて
いたのであった。

「聴こえてました!護軍!」

「ん?…テマン聴いていたのか」

「盗み聞きなんてしてません
内官の声が外に漏れていましたから
お、俺、嬉しくて屋根から
落ちるところでしたから、へっへっ」

幾世時が流れようと常にそばにおり
私兵として、その身を捧げ
戦場では命の危機にも関わらず
ヨンとともに敵を蹴散らし
逃げ出すこともないのである。

その記憶には大人となったテマンが
己に後方から泣き叫ぶ…そんな
つらく切ない場が甦ったのである。

「テマン、養子にならぬか?」

「へっ・・・」



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