生きる意味 28 | シンイ二次小説でんべのブログ

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そうに違いないと確信をもった
ヨンは・・・。

「トルベ!下がっておれ
お前の手を借りるほど俺は柔では
ないぞ」

「・・・ですが隊長?・・・
まだプジャンが王様の書簡を
持ってきておりません。
いま徳成府院君殿を殺めると
後々隊長に罰をと重臣らが
言い出しかねません、俺なら
牢でも島流しでも行けますから」

「馬鹿を申すでない…誰一人欠ける
ことなく生を全うさせる
それが俺の使命そう心得よ」

その手から溢れでようとする
氷功であったが、やはり片手を
失ったせいであろうか…その威力は
以前のそれとは比べものに
ならないようである。
左手から溢れでる氷功が
己に向かい逆流しているようである。

「ぐっっ~」

「兄じゃ!」

膝をつき踞るキ・チョルに駆け寄る
弟ウォンとヤンサ、笛男ら・・・。

「火を起こせ!兄じゃを薬草風呂に
いれる!おぃっ!はやくしろ!」

誰に向けた激なのかは定かでは
ないがヤンサは声を張り上げる。

「その必要はない…見るがよい」

ヨンが顎をくぃっとあげ
踞るキ・チョルに皆が顔をむけると
ぐるぐる巻きにされた布まで
凍り始め、それが己の心の臓を
止めるには然程時がいらぬと
先を読んだのであろうか。

「ぐっっ寒い・・・こ、凍る・・・
いっそのこと・・・一気に
殺ってくれ・・・」

「我が命より大事である、奥を
拐ったこと断じて許すべきことでは
ない!…なれど徳成府院君殿の
命の灯火はあとわずかと思われる故
某がしかと見届ける…迷わず
冥土にいかれませ」

「ぐっっ…あ、ぐっっ・・・っ」

ヨンと皆が見守る中、キ・チョルは
口からぽっと冷たい息を吐くと
ゆるりと眼が閉じられその生涯を
終えたのであった。

ヨンが手を下すこともなく
口煩い重臣らに詰め寄られることもなく
済んだのであった。

「お前が左手を斬り落とさなければ
兄じゃは死なずに済んだんだ!
えぃ~い!死ね!」

笛男がヨンに向かい声を張り上げ
剣を片手に襲い掛かるが
日々鍛えあげる迂達赤隊長と
方や内功使いと言えどその力の差は
歴然でありその剣を弾き飛ばすと
その腹めがけ鬼剣を突き刺し
チョヌムジャも崩れるように
膝をつき事切れたのであった。

「ふぅ~・・・残りの残党に縄を
打て!」

「はっ!」

隊長の命に、迂達赤が駆け寄り
ひとり残らず縄で縛りあげ
王宮へと連行していったのである。

「ウンス!」

「ヨン、ありがとう・・・
助けてくれて…」

「あたり前ではあるが
あまり無茶はせぬよう心がけて
頂きたいものだな」

苦笑いを浮かべながらも
ウンスを引き寄せぎゅっと
抱き締めるヨンであった。


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