もうひとつの木春菊 24 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「すんじゃ~~!!」

「そっ~まぁ~ん~~!!えぇ~ん
えぇ~ん~」

そこには暗闇の中、小川の中洲に
一人佇む幼いスンジャの姿が
あった・・・愛しいソマンの姿と
旅立ったあとからも尊敬してやまない
二親の姿を暗闇の中、目に留めると
火がついたように泣き出すので
ある。

「スンジャ!そこで待っておれ!
父が助けに参るゆえ」

「チュンソク様…お頼みします
スンジャをお助けくだされ・・・」

「むろん!」

黄泉の国からは中洲までは
大人のチュンソクであれば
いとも容易く渡ることができる。
腰の辺りまで浸かりながら
チュンソクは中洲まで渡ると
泣きじゃくる愛娘をひょいと抱き上げ
その頭を優しく撫でながら
目尻を緩め言葉をつなぐ。

「スンジャ・・・よう生き抜いた
父は誇りに思うぞ。
戦ばかりで辛かったであろう
さみしい想いをしたで
あろう・・・婿殿と母上が
待っておる故参るぞ・・」

「すんじゃ~~そっまんここよ~」

ぺちゃぺちゃと川縁に脚を踏み入れ
ようといた時ソマンの身体がふわりと
宙に浮く。

「とと?」

「ああ…そうだ、チュンソクが
スンジャをつれて参るそれまで
待っておれ」

ソマンが顔を斜めに傾げヨンの顔を
覗き込んでいると
中洲から黄泉の国の対岸へと
スンジャが脚を地につけていた。
そんなスンジャを
サムが地に膝をつけ
目には涙を溜め愛娘抱き締める。

「・・・ははちゃま~~・・・
えぇ~ん・・・えぇ~ん・・・」

「さみしい想いをしたのね・・・
父上も母もソマン殿もおらず
よう生き抜いたのね…偉かったよ
スンジャ・・・クスン・・・」

こくこくっと頷きその愛らしい
くりくり眼にぷぅ~っと頬を
膨らませたソマンの姿が
目に留まる。

「・・・そっまぁん・・・」

「・・・・・」

一番に抱き締めてたかったに違いない
そんな癖は父であるヨンと何ら
かわりないのだ。
生前二人はこんな想いを口にし
誓いあっていたのだ。
「戦のない黄泉の国に、二人が
いくことが叶い暮らせるならば
互いに幼子に戻り
互いの両親に思い切り甘え
暮らしてみたいものだ」と・・・
国をその肩に背負い名家と言われる
チェ家を護り抜き・・・
かたやスンジャは医仙と称された
ウンスの意志を継ぎ、見事に
女医を幾人も育てあげていたのである。

「ソマン?如何したのだ
会いたいと申しておったであろう」

「そうよソマン?スンジャよ
ほら、照れてないで・・・ふふふ」

「かかちゃま・・・」

「あら、ソマンがちゃまって!
スンジャがサムのことをそう呼んだから
対抗意識が芽生えたかしら
でも嬉しいわ・・・」

「すんじゃ?あっははっ」

「そっまぁん・・・」

照れながらソマンが歩み寄ると
小さなスンジャの手をそっと掴むと
互いに満面の笑みで駆けずり回る。

「ほら、転ぶわよ・・・ふふふ
ねぇ~ヨン?無事にこちらに
来れたんだから天寿を全うしたって
ことよね?」

「ああ、そうであろう
チュンソク?喜ばしいことと思って
よいのであろう?」

「はっ!異論はございませぬ
あのようにソマン殿と仲睦ましい姿を
再び拝見できるなど夢にも思って
おらず・・・戦に巻き込まれ
命をいつ落としてもおかしくは
ない世と思うておりました故・・
こうして天寿を全うし、我々の元に
幼い姿を見せてくれるなど
某は・・・」

チュンソクは涙をぐっと堪えてるのか
押しだまってしまうのであった。
その手をサムが静かに握りしめている。
そんな時・・・「ひひぃ~ん」っと
遠くで馬の嘶きが木霊する。
すぐさまその嘶きに応えるように
チュホンが駆け出しあっと言う間に
皆の前から姿を消す。

「チュホン!貴方?チュホンが
行ってしまうわよ、構わないの?」

「直に戻って来よう
あの嘶きは牝馬、よもやスンでは
あるまいな」

「え?ソマンの愛馬?
チュホンのお嫁さん?」

「ソマンとチュホンが亡きあと
チェ家を見守りスンジャを見送り
こちらへ参ったのであろう
だが迷子になっておったか」

直にチュホンがソマンの愛馬であり
己の嫁であるスンを連れて
戻ってくる。
互いに尻尾を振り
久方ぶりの再会の喜びを
分かちあっている様子である。

「すんっ~~~!」

幼い姿のソマンとスンジャに
一瞬くりくり眼を見開き驚いた
様子であったが・・・
すぐに主と分かった様子を見せ
てくてくっとソマンのそばへ寄ると
嬉しそうに頸を上下に揺らしていた。

「ふふふ・・・スンよ
良かったわね…チュホン」

「ひひ~ん」っと
まるでウンスの問いに応えるように
鼻の頭をひくつかせ喜びを
現せている。

「チュンソク?屋敷へ戻るとするか」

「そうね、もう真っ暗だもの
帰りましょう・・・私達は
チュホンで帰るから
チュンソクさん達はスンに跨がれば
いいわ・・・良いでしょうソマン?」

「あぃ・・」

スンジャを迎えた馬は野に離してやり
チュホン、スンにそれぞれ親子が
跨がり二頭並んで屋敷へと戻って
行った。
尻尾を振りふり、時には長い鼻を
擦りつけまるでヨンとウンスの
ようであった。


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