もうひとつの木春菊 19 | シンイ二次小説でんべのブログ

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屋敷に戻ると日が暮れかけていたが
皆が揃い出迎えてくれていた。
ヨンは元直らにウンスの両親が
ヒヨンの敵を討ってくれた
ことを伝え、それで命を落とし
黄泉の国へと導かれることに
なってしまったのだと
事の成り行きを語って聴かせて
いた・・・。

「父上殿、母上殿・・・ヨンが父
元直と妻にございますれば
ご挨拶申し上げる。
孫ヒヨンの
無念を晴らして下さり
御礼申し上げる、されどそのせいで
・・・・なんと申せば・・・」

「ゴッホン・・・難しい言葉では
言葉を繋げることはできませんが
ご丁寧なご挨拶ありがとう
ございます。娘、ユ・ウンスが
大層世話になったようでして
こちらこそありがとうございました
これも何らかの縁ではないかと
思いますのでこれから
こちらで皆様と末永く肩を寄せ合い
暮らしていけたらと思います
よろしくお願い致します」

珍しくどたばた音をたてながら
叔母が顔を見せるとすぐさま中庭に
降り正座をし深く頭を垂れ言葉を
繋ぐ。

「親御殿・・・大事な娘御を天界に
お戻しせず高麗へと留め置きこと
どうか許して下され・・・」

「叔母上…その話は・・・」

「黙らぬか、私がご挨拶申し上げ
ておるのじゃ真実をお伝えし
許しを得ねば私の気がすまぬ…
兄上や姉上は事の経緯を知らぬで
あろう…お前は口下手ゆえのぅ
ウンスは惚れた弱味じゃ
うまく伝えることができぬ筈
違うか?」

「「・・・」」

「図星と言うことじゃな
まったくお前達は!」

ヨンとウンスは苦笑いを浮かべ互いに
顔を見合せると、下界のそれと
まったく変わりなく叔母は小言を
連ねるのである。
客観的に事をとらえ的確に
当時の様子を叔母は語りだす。
王妃様が賊に襲撃され
高麗の地ではなすすべもなく
あとは死を待つばかりであった事
されど元の姫を死なせたとなれば
高麗にとっては死活問題であり
戦は免れぬ所であり・・・・
その昔華佗が降り立った門と伝え聞く
天門を潜り天の医員をお連れせよと
王命が下され当時迂達赤隊長であった
甥が、ウンスを
拐ってきてしまったのだと
仔細を詳しくしみじみ呟いていた。

「ウンス?このお方はヨンさんの
叔母にあたる方なのかしら?」

「そうよ」

「そう…おばさまどうぞお立ちに
なってください・・・正直言えば
ウンスの姿が見えなくなり
夜も眠れず、生きた心地はしません
でした・・・でもこの子は
愛する旦那とこんな愛らしい息子らに
囲まれきっと幸せな人生を過ごした
のだと思いますよ…親である
私達が一番望むところですから
出会いは最悪だったかもしれませんが
それでも縁が二人を離さなかった
のでしょう…ですからおばさま
お気になさらず…」

「・・・」

「余は・・・」

李成桂が皆からかまって貰えず
痺れを切らし蚊の泣くような
小声で呟いていたのだが。

「「「・・・」」」

一斉に声の方角を不思議そうな顔で
眺めている。

「なんか変な声が聴こえたような
・・・気のせいかしら」

「いや…俺にも聴こえたぞ」

「そうよね~お化けでもいるのかしら
あまり非科学的なことは
信用しないんだけど・・・」

ひかがくてきとは?誰もがそう
思い首を傾げている中
李成桂の身体は消え始めていたので
ある。
「輪廻転生」こちらにきて
まださほど時は流れていないのだが
黄泉の国の主により
不適合と判断されたのか
李成桂の姿は跡形もなく消えて
しまっていた。
おかしなことに、皆の李成桂
に対する記憶もぷっつり
途切れたのであった。

「誰かいたような気がするのよね…
誰だったかしら・・・」

「・・・ウンスの気のせいで
あろう」

「そうかしら・・・ならいいんだけど」

朝鮮王朝の事を語ることもできず
李成桂は姿を消した。
黄泉の国の主の粋な計らいなのか
切ない現実を知るものは
ウンス、ソマン、ヒヨンだけである。
三人がそれに対して口を開くことは
決してないのであった。



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