もうひとつの木春菊 18 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「ウンス~~~・・・」

母親の悲鳴にも似た声が耳に届く。
ふと声の方角を顔を向けると
ウンスの両親が手を取り合い懸命に
掛けてくるではないか・・・。
そんな様子を見つめるウンスの瞳から
ぼろぼろと零れだす大粒の涙・・・
一歩二歩とよろけながら
前へ進みその場に踞るウンス・・・。

「・・・アボジ~、オモニ・・・」

「ウンス!ウンスなのね
貴女に会えるなんて夢を見ている
気分よ…もう死んでしまったって
聴いていたから私らより若い貴女が
おかしいと思っていたのよ
生きていたのね・・・お父さん?
ウンスよ!ウンスに会えたわよ
さぁ…ウンスたちなさい
長い間どこにいたの?
心配したのよ・・・」

「オモニ・・・違うの・・・
ここは黄泉の国・・・要するに
死者の国なの・・・だからね
ここはいる人はみんな死んでいるの」

「うそっ・・・」

母親は絶句したまま訳が
わからぬ様子であった。
それもそうであろう
ウンスの姿は誘拐された当時のまま
であり赤い髪を靡かせている
戸惑うのも理解できるのである。

「母さんしっかりしなさい
わしらは死んでしまったようだ
それを受け入れなければならん
のだろうな・・・
ところでウンス?そちらの若者は
どなたなんだい」

「アボジ・・・この人は・・・」

ウンスは涙ぐみながら
あれからの経緯をすべて話して
聞かせていた・・・帰れる機会はあった
だが…ヨンのそばに戻りたい
それだけを一心に願い再び天門を
潜り、無事にたどり着き添い遂げる
ことができたのだと・・・。
戦ばかりの世ではあったが
生涯自身だけを愛し
子まで授けてくれてたこと
高麗屈しの名家でありとても
幸せな人生だったと・・・。

「そうか…我が娘を拐い
わしら親の気持ちなど考えも
しなかったと言うことか?」

「・・・お父上様・・・
お怒りはごもっともにございますれば
・・・某、どんな制裁も受ける
所存…いかようにもお父上様のお気が
すむようになされてくだされば・・・」

「アボジ!この人が悪いんじゃないの
確かにはじめは誘拐されたけど
私が私の意思でここに戻ってきたのよ
この人との縁が切れなかった・・・
アボジ、オモニには悲しく辛い想いを
させるとはわかっていたの・・・
でもこの人じゃないと生きて
行けないとわかったから・・・クスン」

「お父さん…今さら怒っても
仕方がないじゃない?
私達みんなあの世に来ているんでしょう
そうなんでしょう、ウンス?」

「オモニ・・・そうよ」

「そう…やっと理解できたわ
私達死んだ意識がなかったのね…
へんてこなところに迷いこんで
しまって・・・あ!お父さん!
私らの孫?それと李成桂!」

「そうだ!」

二人は思い出した・・・。
そして朝鮮王朝に迷い込み
孫と言われるヒヨンが処刑される所に
出くわしたこと・・・首謀者である
李成桂の心臓を貫きそこで
意識が途切れてしまったことを母親は
身振り手振りを交えウンスに聞かせて
いたのだ。

「・・・二人が天門を潜って
いたなんて、それでヒヨンを助けようと
李成桂を・・・辛い想いをさせて
しまったのね・・・本当に親不孝な
娘でごめんなさい・・・
韓国にいたならもっと長生きできた
はずだったのに…許して・・・
許して・・・」

ウンスは膝をつき泣き崩れて
しまうのである・・・。
その傍らでヨンもまた
ウンスの真似事ではあったが
両膝をつきウンスの肩を抱き深く
頭を垂れる。

「いいのよ…ウンス・・・こうして
貴女に会えたんだから…それに
私達も二人でこちらに来れたんだし
なんの問題もないわ…泣かないで
ウンス・・・それにヨンさんも」

「・・・でも・・・クスン」

「母さんの言う通りだ。
父さんも母さんも悔いはない
おっ!この二人がウンスの子か?
目元がウンスと似ているぞ
それと、ゴッホン…ヨン君先ほどは
きつくあたりすまなかった・・・
だがな…親としてはあたり前の文句
だと思うのはわかってくれ」

「お父上様…まことにありがたき
お言葉痛み入ります・・・
改めてご挨拶させて頂きたく
お願い申し上げます。
某、チェ・ヨン…生のある折
高麗武人でございますれば
この方には寂しい想いもさせた筈
されど某のそばに何時如何なる折も
寄り添い某を照らし導いてくださり
こうして黄泉の国でも某を
暖かく迎えてくださりまして
ございます。辛い想いをさせて
しまったこと・・・次男ヒヨンの
敵を討ってくだされたこと
まことにありがたく御礼申し上げます」

こそこそとウンスに何かを
尋ねていたソマンとヒヨンが
ヨンの傍らで
高麗武人を彷彿させるいでたち
片膝をつく。

「ハラボジ、ハラモニ・・・
お初にお目にかかります。
某チェ家嫡男ソマン…こちらは
次男ヒヨンにございますれば
弟の敵を討ってくだされたこと
父上や俺には叶わない願いで
ございました…まことにありがたく
ですが、そのせいでお二人の生が
終えたこと・・・なんと申せば
よいものかと・・・」

「まぁ~、私達をそう呼んで
くれるの?みんな立って頂戴
すべて水に流しましょう…良いわよね
お父さん?」

「勿論だ!」

「二人ともヨンさんもハグしても
良いかしら?ふふ・・・まずは
ウンス?貴女からよ」

「・・・オモニ・・・」
 
久々に母の懐すっぽり収まるウンス
むろんヨンの眉毛がぴくりと
上下するのである。

両親は生前の時と同じ
そのままの姿であった。
生を終えた自覚がなかったせいで
ヒヨンとの時差がうまれて
しまったようである。

ソマン、ヒヨンとハグを交わすと
最後はヨンである。

「ヨンさん?ウンスと添い遂げて
くれてありがとう・・・この子の
お守りは大変だったでしょう・・・
誰に似たのか…こう思ったら
突っ走る子だから・・・ふふ」

「お母上様…はぁ・・・如何にも」

「母さんとウンスはよく似ているからな
わしも大変だった…あっはは」

「もぅ~アボジったら」

ウンスはそう呟くと
ぷっ~っと頬を膨らませ
父親を睨らむ真似事をしていた。

それから暫くして屋敷へ戻ることに
なったのだが…まったく存在を
忘れられていた李成桂もそこに
加わっていた。


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皆様こんにちは
いつもお寄り下さり誠にありがとう
ございます。

昭和の大女優さんや
でんべの青春ど真ん中だった
秀樹さんが逝ってしまい残念です。
皆様のご冥福をお祈り申し上げます。


でんべ


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