もうひとつの木春菊 17 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「お尋ねします。いまお話になられて
いらしたユ・ウンスと言う者に
ついてでございますが…天界から
嫁にきたと言われてましたよね?
それは本当の話でございますで
しょうか」

「あ?あんた見慣れぬ者だな
まぁ~いいさ、本当だぞ
そしていま処刑されようとしている
のは、その倅なんだ」

幸いパンツ姿の母親とスーツ姿の
父親だったが険しい山道を下る際
あちらこちらと綻び泥だらけとなって
いたためかさほど違和感を
もたれることもなくその場に
溶け込むことができたようである。

そして高麗末期の大将軍であり
国の為に、全力で戦い続けた
チェ・ヨンと言う男の正妻が愛娘で
あり、生涯正妻ただ一人を愛し慈しみ
その生涯を終えた事を聴かされる。

「「・・・」」」

ただ悲しいかなすでに愛娘も
その生を終えた事を終えていた・・・。

「・・・お父さん・・・」

「ん?泣くな・・・」

ウンスの両親はあとからあとから
溢れ出す涙を拭くこともせず
ただただ肩を揺らすだけであった。

「母さん…しっかりするんだ
わしらの孫があそこにいるんだ
助け出す手立てはないものか?」

「・・・お父さんそんなこと
できるはずが・・・」

「・・・!!あの~すまないが
この地を治める偉いさんはどこに
いますかな?」

「偉いさん?おかしな事を言い出す
んだな…李王様を知らんのか?」

「李・・・チェ・ヨン大将軍
ここは高麗・・いや朝鮮ですか?」

「さっき話しただろうが
高麗は滅亡し、李王様が朝鮮王朝と
名を改め建国したんだ」

韓国の国民であれば
誰もが名前だけは知っている
偉大な将軍と朝鮮王朝創設者・・・
それはウンスの両親も
例外ではなかった。

「李様はどちらに
いらっしゃいますか?」

「はっ?あんた?・・・」

ウンスの父親の問いに
民は怪訝そうな顔をさせ
関わりを持たぬ方が得策とばかりに
逃げ出す始末であった。

「お父さん・・・あそこにいる人
そうじゃないかしら?」

ふとみれば武官、重臣らに囲まれ
苦し気な顔を浮かべる男の姿が
あった。

「行こう母さん!」

孫にあたるヒヨンを助けたいがため
二人は必死に駆け出し
声を張り上げていた。

「すみません~~あの男の人を
助けては貰えませんか~~
私達の孫なんです!お願いします~」

「無礼者!その方ら何奴!!
王様の御前であるぞ!」

「王様?そんなんどうでもいいんです
あの子を助けてあげてください~」

武官らに阻まれ
両親の叫ぶ声が李成桂の耳に
届いたかは定かではないのだが
ちらりと目線をこちらに向けると
処刑場へ目線を戻したのである。

「ちょっと!聴いてるのかしら
孫なんだってば!処刑される
罪を犯したのかしら?
応えなさいよ~~」

時の流れには逆らえないのである・・・
李成桂は重臣らに
急かされチェ・ソマンの斬首の命を
下していた…されど老衰にて
他界したためヒヨンに刃をむけたのだ
高麗屈しの名家であり
生かしておくわけにはいかなかった
朝鮮王朝になろうとも
いまだに民に崇められるチェ・ヨン
そしてその倅二人の存在は
疎ましく思われたのであろう。

その李成桂と思われる男の態度に
日頃寡黙に生きている
ウンスの父親の顔が豹変する。

「退きなさい!!母さん!
この手を離すんじゃないぞ」

「は、はい!」

乱入者を阻止しようと
止めに入る武官の刀を奪い
妻の手を握りウンスの父親は
李成桂目掛けて必死に駆け出す。
テレビドラマの時代劇が好きで
放送される度に食い入るように
見入っていた二人・・・。
その受け売りではあったが
振りかざされる刀を身体を屈め
器用に防ぎ李成桂の前へと
出ることができたのだ。

「孫を解放しろ!!」

「そうよ!あの子を離しなさいよ」

旦那の背からひっこり顔をだし
そんな言葉を吐きまたその背に
隠れる母親の姿は生前のウンスを
思わせるのである。

返答のない李成桂に痺れを切らした
父親は刀をぬいた・・・。
そして…心臓目掛けて
その剣を突き刺したのであった。
「ぐっ」っと声を溢し
李成桂はこときれたのである。

誰一人庇う重臣や武官もおらず
李成桂の最期の顔は、微笑んだように
見えたのは気のせいであろうか・・・

されどその時ウンスの父親の背を
貫く鋭い刃があった。
しっかり手を握っていた母親をも
貫通していたのである。



>>>>>

「李成桂!そなた倅ヒヨンを・・・」

「貴方に憧れていた、それは
紛れもない真実である
されど…時の流れで致し方なかった
のだ、わかって欲しい」

「私…貴方を助けてあげたじゃない?
あの時の恩をわすれたかしら!」

「・・・」

ぐっと押し黙る李成桂であった。
その時・・・・。



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まだまだ謎だらけだと思います
もう少しお付き合いくださいませ。


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