愛しき薫りを求めて(最終話) | シンイ二次小説でんべのブログ

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暑い夏も終わりを告げ
心地よい風が辺りを包む頃
待ち望んだ知らせが都中を駆け巡る。

ウンスが懐妊したのである。

王宮の侍医であり
民もその名が知れ渡る
大護軍チェ・ヨンの正室である
ウンスが懐妊したと王様、王妃様始め
民も盛大に喜び王宮では重臣、女官ら
望む者すべてに餅が振る舞われ
ともに喜びを分かちあった。
市井の飯屋などは酒が椀飯振舞し
まさに国を上げての慶事であると
錯覚を起こす程であった。

「なんだか・・・恥ずかしい
今はまだ悪阻もないし自覚が
ほとんどないから・・・」

「侍医殿何をおっしゃいます
大護軍殿と天人であらせられる
侍医殿のお子ができるのでございます
それはそれはみなさんお喜びで
ございましょう」

「うふふ…グァンス医員?
あの人ったらね・・・」

≫≫≫≫≫
昨日の事・・・
ウンスは典医寺医員グァンスや
ヨン姉妹それぞれに懐妊の有無を
確認してもらったのが昼下がり頃
滑脈・・玉がころころ転がる脈
ウンスもともにグァンス医員に
教えを乞うていたのである。

「ウンス?今一度頼む・・・」

「だから…あのね~赤ちゃんが
出来たのよ・・・」

「まことか?まことに赤子を授かった
と?・・・」

「そうなの・・・もちろん生むつもり
だけど構わないかしら?
もういい年齢だし、これが最後に
なる可能性も十分考えられるから
・・・女として生まれた以上
一度は我が子を抱いてみたいの・・・」

「このような乱戦の世でも生んで
くれるか?この俺が我が子を
この胸に抱く日が来ようとは…
ウンス・・・典医寺を辞し
邸で過ごすことはできぬであろうか
それならば・・・」

「ヨン!!妊娠は病じゃないのよ
無理は絶対しない、約束する。
それに適度の運動は必要なの
分かってほしい・・・」

一度口に出せば頑として
譲ることはないとヨンは知っている
ぷぅ~っと頬を膨らませ
ウンスはヨンの言葉を遮る形で
言葉を繋いでいた。

盛大にため息を吐くと
ウンスの私室の窓を眺めおもむろに
口を開く。

「ウンス?俺がやらねばならぬ事を
言ってくれぬか?」

「やらねばって・・特別にはないけど
・・・営みを安定期に入るまで控える
こととお腹が大きくなるにつれ
重い物は持てないことくらいかしら」

「相分かった・・・されど
閨を別にするのは勘弁してくれ
ウンスをこの胸に抱かねば眠れぬ故」

「それは私も同じ。一人眠るなんて
出来ないもの・・・だから
一緒に眠ってちょうだい」

漆黒の瞳がウンスをじっと見据え
ウンスのまたそれに応えるように
その胸に飛び込む。

「きっと文武両道のIQがすごい子が
生まれるわよ、あ!気にしないで
頭のいい子ってことだから」

「ウンスに似て愛らしいおなごなら
俺は嫁には出さぬ・・・おのこで
あらば剣を教え恋慕うおなごを
護るすべを教えねばならぬ・・・」

「まだ生まれてもしてないのよ
もう~親馬鹿なんだから・・うふふ」

「ウンス?このまま窓を見ておれ
動くでないぞ、直に戻る故」

ヨンはそう呟くと軽功を身に纏い
あっと言うまに姿を消す。

「え?どう言うこと?
置いていかれた・・・」

喜んでいてくれてるかと思っていた
・・・されど置いていかれた事に
対しウンスは一抹の不安を覚える。
だが次の瞬間!
「ドッカン!」っと、地響きとともに
王宮裏山から縦横無尽に閃光が
交差する。

「きゃぁぁぁ~~~!・・ちょ、
ちょっと待って・・・今のは・・・
ヨンよね?雲行きなんて
ちっとも怪しくないもの・・・」

ウンスはまん丸眼がよりまん丸に
見開いたものであったのだ。

≫≫≫≫≫≫

「我々も驚いたもので
ございました。あの時分は雨も
降っておらず裏山のほうから
あのように閃光が走ったのですから」

「うふふ…そうよね
驚かせてごめんなさい、あの人の
喜びを表す方法が極端すぎるから
・・・」

「ウンス?」

「あ!どうしたの?」

「・・・いや・・様子を見に・・」

「今日これで三回目よまだお昼にも
なってないけど・・・・」

「・・・いや…その・・・なんだ・・」

「過保護・・・うふふ」

そう口には出して見たものの
ウンスは嬉しそうに
その胸にぱふんっと収まる。
されど一刻ほどおきに訪ねてくるのは
ヨンだけではなかった・・・。
互いにその気配を察知すると
「「ちっ」」っと舌打ちが
聴こえるほどである。

「バシッ!・・・まったく
お役目を疎かにしおって・・・
暇か!!」

「っぅぅ~叔母上・・・叩かずとも
よかろう・・俺の体面が・・・」

「ふんっ!人前でウンスを囲うておる
お前に体面などあるものか!
腑抜けが!」

「・・・そう言う叔母上とて
お役目を疎かにしておるではないか」

「馬鹿者!口答えするでないわ!
いつまで引っ付いておるつもりじゃ
退かぬか!」

眼をつり上げ叔母はヨンとウンスを
引き離す。そして・・・ウンスの手を
とり、目元を緩めぽんぽんとウンスの
手を押さえ言葉を紡ぐ。

「ウンス?身体は大事ないか?
おお~そうであった・・・
王妃様から菓子を頂いたのじゃ
食べぬか?甘うてうまいと
仰うせであった故」

がさごそと懐から
包みを取り出すとウンスの手のひらに
ぽんっとのせる。

その様子を診療室に居合わせた
医員見習いである四姉妹ナナミ
イルム、オル、ソウ・・・
戸口で警護をする武閣氏である
サンミ、トイ、メイ
典医寺向かい建屋から人知れず
警護をするスリバン、キチ、チグ
チャミ、ウンスの身の回りの世話を
担当するお付きの女官である
ネネ、マル、オモらはみな思ったに
違いない・・・。
「血筋は争えぬ」と。

だがそれを口に出来る筈もなく
みなは苦笑いを浮かべるだけであった

それとは対照的に王宮大門まえでは
邸使用人であるサム、アル
ディジーがウンスの懐妊を知らせてから何時なんどき体調不良を
起こすかもしれないと、胸をはらはら
させながら毎日詰め寄る姿が目撃されて
いるのである。

「もぅ~~、二人とも・・・過保護
過ぎます…うふふ・・・でもすごい
満ち足りているわ…ありがとう
ございます」






≫≫≫≫≫≫≫

皆様こんにちは

いつもお寄り下さりありがとう
ございます。

愛しき薫りを求めて完話致しました
少し日にちが空いた事お許し下さいませ


ご参加頂きました皆様

senasaya-0211様・・・・メイ
alcchi様・・・・・・・・アル
pandoria3様・・・・・・サム
あみい様・・・・・・・・サンミ
マコ様・・・・・・・・・ネネ
ソウタリアンmama様・・ソウ
てんてんmama様・・・・ナナミ
弥生様・・・・・・・・・オル
ともち様・・・・・・・・チグ
ツマ吉様・・・・・・・・キチ
韓流大好き主婦様・・・・チャミ
irumu2様・・・・・・・・イルム
20986k4591t様・・・・・ディジ―
toitoitoi147様・・・・・・トイ
momomama様・・・・・オモ
maruchan様・・・・・・マル

そして一度きりでしたが
お京姉さん様
lapis様
hiromin様
ほんとうにありがとうございました。

このあと夕方にでも後書きを
投稿致します。
でんべこの一年8ヶ月の締めくくりと
して・・・・(笑)。





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