愛しき薫りを求めて(過程) 30 | シンイ二次小説でんべのブログ

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婚儀翌日暇を賜り、その翌日
ヨンは朝の拝謁を済ませ王様の
執務室兼私室に顔を出していた。

「王様…此度王様、王妃様の心遣い
骨身に染みましてございます」

「よいのじゃ大護軍
風灯の一件はすまなかったのぅ
風の向きが変わるとはおもわなんだ」

「王様…それは某ではなく某の私兵で
あるテマンがいち早く気付きまして
ございます」

「なんと?大護軍ではなかったのか
そなたの私兵とな・・その者をこれへ
呼び寄せよ。都中が大火と成りうる
危ういところを機転がまわる者じゃ
褒美を取らせぬばならぬ、ドチはよう
呼びに参れ」

「はい…王様」



「王様、テマン殿を連れて
参りましてございます」

「入れ」

かちこちに緊張しまくるテマンが
執務室に困り顔をさせ姿を見せ
王様の前でぺこりと頭をさげ
ヨンの背後に佇む。

「大護軍~、お、俺なにかしましたか」

「大護軍の私兵テマン!望みを
申してみよ、風灯の一件で褒美を
取らす」

「ほ、褒美ですか・・・俺が・・・
それなら生涯大護軍の私兵でいたい
です。それが望みです」

「ふっ~、大護軍に似て欲のない者
じゃのぅ~」

「王様、某から願いの義がございます」

「なんじゃ申してみよ」

「はっ!此度、テマンの機転が
なければ都中火の海に
なっていたやもしれませぬ
テマンは某に忠義を尽くすことを
怠ることは決してありませぬ
そしてそれは王様にも利があるかと」

「ん?なぜじゃ」

「某が忠義を尽くすのは王様、王妃様
のみ故・・某が忠義を尽くすお方を
テマンも必ずや忠義を尽くすことと
なりましょう・・・テマンはそんな
おのこにございますれば
その昔身分を剥奪され今は奴碑と
なりし身分を回復してやりたく・・・
某からの願いの義はそれのみ」

「ドチ!すぐに族譜を調べよ
テマンは都を救った立役者である」

「王様…すでに調べておりますれば
こちらに・・・」

ドチは族譜を記した一冊の書物を
王様の卓の上におく。

はらはらと目を通すとお顔をおあげに
なり開口一番こう口にする。

「百年も前の話であるのぅ~
余は百年前の事案は聴いてはおらぬし
先王よりの書も残っておらぬ
ゆえにオ家、言わばテマンの身分を
回復致す!ドチ?すぐに
認めよ!いや…まて余が文を認める
暫し待て」

王様は紙と筆を用意するとさらさらと
文を認め、ドチに持たせる。

「へっ?お、俺の身分?・・・」

「テマン…あの折話したな
侍医の職を賜るイマンと申すお前の
先祖がおったと・・文と小刀を
お前に渡したであろう」

「は、はい・・・大事にここに
しまってあります」

テマンは己の懐から
文と小刀を取り出しヨンに見せる。

「俺…身分が変われば大護軍と
離れなきゃならないんですか?
そんな事望んでいやしないです!
オ家再興は嬉しいですが・・・
それだけは・・・」

「テマン?・・・案ずることはない
俺からお前を手放すことなど
あるはずがなかろう?お前は俺と
あの方の弟・・そうであろう」

「・・・よき絆じゃ・・・テマン殿?
身分は変われどそなたが大護軍と
離れたくなくばこのままで
よいのではないか・・いずれ嫁を
娶り子が生まれたなら
その折邸を構えオ家を繁栄させれば
よいのじゃ」

「お、王様・・・」

テマンはぽつりと呟くと
深々と頭を垂れ・・・その床にぽたり
ぽたりと滴が零れる。
そんなテマンの頭をヨンはガシガシと
撫で王様に向かい頭を垂れる。

そして兵舎に向かうと
テマンはヨンの周りを愛犬の様に
くるくると周りそばを離れようとは
しない・・・
そんな様子にチュンソクなどは
胸を撫でおろすのである。

「大護軍…テマンの様子を見れば
察しはつきますが・・」

「チュンソク!みな聞け!
テマンの身分が変わった。今より
テマンは貴族となる!されど
俺の私兵にはかわりない・・それが
テマンの望みゆえ・・・」

「「「おお~~」」」

迂達赤の歓声が兵舎をめぐる

「テマン!やったな!!大護軍?
迂達赤に入隊させないんでしょうか」

「トクマン!やめろよ!俺は私兵が
いいんだ…貴族になろうが
俺は生涯大護軍チェ・ヨンの私兵さ」

「テマンは形式や肩書きに縛られ
たくはないそうだ…」

「・・・分かりました・・ちょ
ちょっと来いよテマン・・・」

トクマンはテマンの肘を掴むと
物陰に連れ込みひそひそと声を潜め
なにやら話し込んでいる。

「トクマンの奴・・チュンソク?
あやつらは如何したのだ?」

「さぁ~某にも皆目見当がつきませぬ」

そんな二人が眺める中
テマンとトクマンの会話が
ちらりと耳に届く。

『贈り物したんだろ?反応は
どうだった?』

『知らないよ~確かにトクマンに
言われた店で新婦が纏う寝衣は
買ったさ・・・どれだけ恥ずかしい
思いしたか!・・・』

『そうか!買ったか!きっと二人は
・・・・「痛っ!」』

トクマンは頭に激痛を覚えると
背筋が凍る程の悪寒を覚え振り向く。

だが・・・ガシッとその肩を抱き
ヨンは口の端をあげていたのである。



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