愛しき薫りを求めて(再会) 3 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

「ウンス…手綱を頼めるか?」

「え?良いわよ、前に乗ったもの
覚えてると思う」

ヨンの世で江華島に向かう事があった
慶昌君に会いにいくときである
それはヨンにとってもウンスにとっても
悲しく辛い思い出のひとつ。

「チュホン!頼んだぞこのまま
天門まで突っ走れ!ウンス?
背を低く矢が飛んでくるゆえ」

ヨンは四方八方から殺気をいち早く
感じとり剣を抜く。
「ピュ~ン」っと風をつんざく
音が聴こえると、右に左に飛んでくる
矢を難なく払い落とす。

天門まであとわずかな道のり
邪魔をされる訳にはいかないのだ。
ウンスは顔を強ばらせながらも
ヨンに言われたようになるべく
背を屈めしっかり手綱を握る。
ウンスの計算では今日開く筈である。
日はすでに天高くのぼり秋の心地よい
風がウンスの頬を掠める。

「ヒヒーン」っとチュホンが嘶くと
がらの悪そうな男らがその行く手を
阻もうと立ち塞がる。

「チュホン!構わぬ!
そのまま蹴散らせ。ウンス!しっかり
手綱を握っていろ!」

ただただこくこくと頷くウンス
怖くないと言えば嘘になる
ましてや医者であるウンスが
怪我人が出るやも知れぬ「蹴散らせ」
には、身体が頑なに拒絶する。
されど、無事にヨンの世へ戻る
ために、ウンスは瞳をぎゅっと瞑り
チュホンに舵を委ねることにした。

ある意味正面突破である。
チュホンが行く手を阻む男らの
ど真ん中を突き進む。
ヨンは、それでもチュホンに一太刀
浴びせようと剣を振り上げる
男らを馬上から斬り捨てる。

辺りが静かになった
ウンスは恐る恐る片目をあける

「大事ないか?」

「ヨン…」

暖かい懐に抱かれウンスは
胸を撫でおろす。

「怪我はない?」

「俺を誰と思うておる」

「あ~良かった・・・
蹴散らせなんて言うから
誰かをひいたりしないか心配して
いたのよ」

「ふぅ…敵を案じて如何する・・・
されど医員としては
あたりまえなのだな…俺がウンスに
惹かれてやまぬところなのだと思う」

「医員としてはあたりまえよ
敵も味方も関係ないし、王様であって
も民であっても関係ないわ・・・
話は変わるけどあの人らは
キムの手下かしら?」

「そうであろうな…この先に
気配を感じるしかも相当な数・・」

「・・・すんなり通してくれそうに
ないのね・・」

「ウンス…よく聴いてくれぬか
一度俺はチュホンを降りねばならぬ
だがすぐに追いかけるゆえ
ウンスはこのままチュホンとともに
天門に向かっ・・・」

「いやよ!!ひとりじゃ通らないわ
どこの出口にでるかもわからない
のよ!もう二度と会えかも
知れないのになんでそんなことを
言うの?」

ウンスはヨンのことばを遮り
声を震わながら呟いていた。
天門の悪戯か、一人潜ったウンスが
百年前に飛ばされたのは
紛れもない事実であり
再び一人潜ればと…それを考えると
身体の震えが止まらないのである。

「ウンス」

そんなウンスをヨンは
ぎゅっと引き寄せ抱き締める。
『何があろうとも必ず追い付く
もう一人にはせぬ・・・改めて
ここに誓う…俺も一人では
息もできぬ・・・』

そう胸に秘め駆けるチュホンから
颯爽と飛び降りる。
そして「頼む」との
想いを込めてチュホンの尻を叩く。

「いや~~~ヨ---ン!」

ヨンの目の前には、キム・スンギョ
率いる蒙古兵が百名から待ち構えて
いる。そのど真ん中をチュホンが
突き進む。天門は「ごぉ~ごぉ~」
っと、枯れ葉を巻き上げ開いていた。

ウンスは振り落とされぬように
手綱にしがみつく。

「チュホン…お願い止めてあの人を
待っていたいの・・・チュホンも
もう離れるのはいやでしょう?」

「ぶるる…」

ウンスの言葉の意味を理解したのか
チュホンは小さく嘶くとその脚を
止める。

「降りるわ、チュホンどこか
足場になりそうな岩はないかしら」

きょろきょろと辺りを見回すが
岩は見当たらない・・・
次の瞬間「ドカンッ」っと轟音
ウンスの耳に届く。

ポチっとして下されば嬉しいです






にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村