愛しき薫りを求め (動きだす時) 8 | シンイ二次小説でんべのブログ

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半日以上の刻を費やした。
ウンスはよろよろになりながら
どうにか手術を終えることができた。

辺りはすでに真っ暗闇春の風が
頬を掠め心地いい。

「ヨン・・・お腹空いた~~」

こてっと、ヨンの懐に飛び込み
ウンスは呟いていた。

「ご苦労であった、よくやれたぞ」

「うん!ありがとう・・ヨンも
良くついてきてくれたわ、流石よね」

「クックッ…俺をあまく見ておるのか
一度目にしたものは忘れぬ
ましてや、天界であのような医術を
目の当たりにしたのだからな
俺は生涯手順を忘れぬやも知れぬ
ウンスの助手は俺がつとめる」

 「あ、あの奥様・・・」

余韻にしたる間もなく侍医が
恐る恐る声を掛ける。

「あ、はい・・崔沆さん熱があがると
思うの、だから良く診ていてあげて
一応私も経過観察をしないと
いけないから泊まりたいんだけど
お部屋借りれるかしら?」

「はい、すぐに用意させます
夕餉をお召し上がりますか?」

「ええ…お願いできるかしら
この人の分もお願いしますね
それとこの人の愛馬にも新鮮な
野菜をお願いしますね」

「心得ております…王様より
丁重にもてなすようにとお言葉を
賜っております、膳も賜って
ございますればどうぞこちらへ」

二人は侍医に案ないされ
診療棟の一室に通される。
卓の上には、ところ狭しと贅の限りを
尽くしたご馳走が並び
ウンスは歓喜の声をあげる。

「わぁ~すごっいご馳走ね
これほんとうに王様からの賜り膳?」

「旦那様のご活躍にも、王様も
いたく感銘されておりますご様子
ですからご遠慮なさらず。
では崔沆殿に異変があれば
呼びに参ります、それまでご寛ぎ
下さいませ」

「ええ…お願いしますね」

侍医の姿が消えるとヨンは
口を開く。

「ウンス・・・あの医術を目の当たりに
したのだ、諸手あげてよろこんでは
いられまい・・・俺も内功を武官に
見られておる、騒動にならねば
よいが・・・」

「でも重病人を見過ごすことは
出来ないわ…そう思わない?」

くるくると変わるウンスの顔を
見遣れば、いまは不安を煽るのは
やめにしようと口を閉ざした。

「ねぇ~ヨン?肉よ!にく!
はやく頂きましょう」

こんがりときつね色に焼き目がつき
香ばしい匂いが部屋中に漂い
ウンスの食欲をそそり
「ぐぅ~」っと腹の虫が盛大になる。

「恥ずかしい・・・ごめん」

「よい…今日は遠慮なく頂けば
よいであろう、それに見合うだけの
働きはしておるゆえ」

「うん!頑張ったもの・・・ヨン
座りましょう」

そう呟くとウンスはヨンの手を引き
椅子に腰掛ける。
きらきらと瞳を輝かせ鶏肉を頬張る

「ウンス・・ゆるりと食べよ
肉は逃げはせぬぞ・・クックッ」

「だって・・・久しぶりなんだもの
モグモグ・・お酒も欲しいけど
今日はやめとくわ、いつ呼び出されるか
分からないもの」

両頬を目一杯膨らませ
その姿はまるで栗鼠のようだと
ヨンの眼には映っていた。
その愛らしい姿にヨンの目尻も緩む。


一方こちらでは・・・

「恐れながら王様…あの御仁是非とも
この地に留め置き、先の世に返しては
なりませぬ。あの者の力があれば
蒙古の言いなりになることなく
こちらから戦を仕掛け必ずや
勝利に導きましょうぞ
許嫁殿もこの世のものとは思えぬ
医術で腹を裂き、されど崔沆殿は
生きております
許嫁殿の力も戦ばかりのこの地には
欠かせないものとなりましょうぞ」

「先の世に戻ると申しておったが
それを留め置くのは可能であるか?」

「その天門とやらを壊せば
戻ることは叶いますまい、如何で
ございましょう?」

「天門とやらは伝説の医員が通った
される門、言わば神が宿る門を
壊し罰があたるのではないか?」

「王様、戯言はお止め下され
神など存在するはずがありせぬ
王命をお出し下されば、よいので
ございます。この地の神は王様に
ございますれば・・・」

「されど…あの者は余の命には
従わぬ、そう申しておったが」

「王様・・・」

崔沆の部下である一人の武官に
進言に、高宗王はどうしたものかと
頭を悩ますのである。
この武官の言うように
この地に留め置くことが可能ならば
これほど喜ばしいことはない。

『ん?あの者がおらぬでも
高麗は存続しておるのだ…そう申して
おった筈・・・なれどあの者の力は
ほしい…そして許嫁殿の医術も』


そんな騒動になっているとも知らず
ウンスはヨンの胸に顔を埋め
すでに夢の中にいる。

「疲れたであろう・・・」

そう呟くとウンスの髪を優しく撫で
額に唇をそっとあてる。
「すぅ~、すぅ~」っと
愛らしい寝息がヨンの耳に届く
それが子守唄のように
ヨンを心地よく眠りに誘うのであった


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