愛しき薫りを求めて(動きだす時) 3 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

「ヨン!計算できたわよ」

真新しい衣が昨日邸に届いたばかり。

ウンスは淡い桃色のチマチョゴリに
身に纏い、ヨンはこの色が一番似合う
であろう濃紺の真新しい衣を
身につけている。雪解けももうすぐで
あろうこの季節心地よい風が
与えられた執務室を通り過ぎる。

「まことか?して、ウンス天門が開く
のはいつなのだ?」

ヨンは城壁の着工が時期に始まるで
あろうと様々な仕掛けを考えいたのだ
奇襲は必ずある。幼き頃書物で
読んだ事案を思いだし策を練っていた
その手を止めウンスに歩みよる。

「この秋よ、秋には開くわ」

「今は三月…十月頃には開くのか」

「ううん…九月の二十九日よ
その日を外したら多分…と言うか
生きているうちには戻れないわ
次に天門が開くのは百二十年後よ」

「ならばなんとしても戻らねば
ならぬ」

「そうね、今からどきどきよ~
あのとき私が私に伝えたメッセージ
には、『強い想いが縁を結ぶ』だったの
ヨン・・・忘れないでいてね
その時がきたらまた伝えるけど
天門は貴方の記憶をなくしたり
何か起きてもおかしくないと思うの
だから」

「記憶がなくなったのは
俺の身体が弱っていたからだと
思うておる」

「そうかも知れないわね・・・
時空を歪めるだけの力があるんだから
何が起きてもおかしくないわね
でもチュホンが潜れたのよ、そして
貴方のそばに居たのが不思議」

「チュホンが俺の
あとをなんの障害もなく潜れたのは
俺との縁を強く感じていたからで
あろう・・・チュホンには
頭があがらぬな」

執務室の窓から厩舎をちらりと
見遣ればチュホンがこちらを向き
頭を上下に振っている
まるで話がまる聞こえのように。

「うふふふ…チュホンは多分聴いて
いたのよ・・・
あたりまえと言っているようだわ」

「馬はもともと耳がいいのだ
俺の声が届いたのであろうな」


「邪魔をするぞ」

不意に訪ねてきた崔沆。
その顔は厳しく笑みを浮かべる
余裕すら見当たらない。

「崔沆殿、如何された?」

「そなたの許嫁を暫しわしに預けて
欲しいと思ってな」

「馬鹿げたことを申すでない!断る」

ヨンは然り気無くウンスを背に隠す

「話を聴いてくれ
モンケの使者が明日にはこちらに着く
あの二人じゃ・・・酌をさせるだけ
なのだ。むろんわしも同行するゆえ
間違っても手は触れさせぬ
約束するゆえ」

「この方に妓生の真似事をせよとな!
尚更断る!」

「・・・」

ヨンは語尾を強めきりりと睨み付ける
その席に例え同席を許されたとて
到底受け入れ難い話である。

いまはただの客人ゆえにそうなるのだ
と、ヨンは強い決意を固め
言葉を繋いだ。

「王様にお会いしたい」

ヨンの凄まじい気迫におされ
崔沆は高宗王のもとへと、二人を
案ないする。


「如何されたヨン殿」

「王様…この方を
誠にモンケの使者の席で酌をさせる
おつもりでございましょうか?」

「いかにもと申したら如何する
尚且つ王命と申したならば従うか?」

「お断り致す!!某が仕える王様は
ただお一人ゆえ…」

「どちらの王じゃ?申してみよ」

「・・・」

二人は身の上をいまだ明かしてはいない
高宗王の問いに、ヨンは暫し考え込み
そしてウンスと目線を絡めこくりと
頷く。

「某は三十一代高麗王、恭愍王に
仕える護軍チェ・ヨン。この方を追い
天門を潜りこちらの世に迷い込んだ
だけのこと、ゆえに某が仕える王は
恭愍王のみそれは揺らぎないこと」

「天門とな?その昔伝説の医員が
通ったと言われておる天門のことか?」

「それは伝説に過ぎませぬが
天門は確かに存在致します。某らが
その証人ゆえ」

「高麗は続くのだな・・・それは安堵
致した・・・ならば蒙古など臆するに
値せぬと言うことなのだな
崔沆!明日の拝謁とりやめじゃ
こちらから仕掛けるすぐに
支度を致せ。護軍チェ・ヨン殿
力を貸してくれぬか?」

「・・・」




ポチっとして下されば嬉しいです






にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村