愛しき薫りを求め (旅立ち) 1 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

イムジャ・・・そうだ・・
彼奴に引き摺られるように天門へと
向かったはず…

温かい雨が頬を濡らし
重い瞼が開き意識が浮上したヨン。
動かぬ身体は諦め黒曜石の瞳を
ぎょろりと動かす。

小菊??
彼奴の氷功に倒れた折りには
そんな物はなかった筈

かたっと指先に何かが触れた
動かぬ腕で腹の上にどうにか
のせる事ができた

これは・・・あの折イムジャが
俺に授けてくだされた天界の薬入れ
まて…これは相当古いもの蘚(こけ)が
張り付いておる。
されど…イムジャ以外このような物は
持っておらぬ筈・・・

ヨンの目尻から止めどなく流れる
雫石・・・ヨンは結論を導き出した
ウンスは天界に一度戻り
俺を助けるが為、再び
この地に戻ろうとしたが
迷子になっているのだと・・。

イムジャ・・俺から三歩
離れては護れぬと何度も申して
おろう。迎えに参ります。
うまく貴女の元へ行けるか
定かではありませぬが…俺は
貴女を女人一人を、見知らぬ地に
放ってはおけませぬ・・・。
やっと見つけたのです。アボジ・・
俺の心を預けるイムジャを・・・。

鉛のように重い身体を起こし
顔の横に突き刺さる鬼剣抜き
鞘に収め杖代わりに天門へ向かう。


天門の脇でキ・チョルが
かちこちに凍っている…

己の内功で殺られたか・・。
ならばイムジャは
一人天門をくぐられたのか

ヨンは苦痛に顔を歪め
一人天門を潜ったのであった。
決して己の痛みではなかった筈
自身を求めさ迷うウンスを
案じ「泣いてはいまいか」
「他のおのこに言い寄られては
いまいか」と・・・。

主の後を追うように一頭の馬が
遅れて天門を潜っていた。


ビルの巨大なモニターから
映し出される
太陽の黒点が爆発した映像
それを尻目にウンスはひたすら
駆け続けた。
勤めていた病院の自動ドアを
潜り、手術道具やアスピリンの薬瓶
思い付く限りの医療道具を
鞄に詰め込み自身のデスクの上から
プロジェクターと両親から
送られてきたバースデープレゼントの
ネックレスもともに詰める。

それを持ち再び天門目指して
ウンスは駆ける。
ちらりと目の端に映る
両親が住む方角へと心の中で
手を合わせ詫びていた・・・。

『アボジ、オモニ・・今はあの人を
助けたいの…許して・・・ウンスは
元気よ。心配しないで』

巨大な石仏の足元にたどり着く。

はぁ~良かった・・まだ開いていたわ

王命とは言え自身を拐い
高麗へと無理やり連れてきた
あの人・・・これが淡い恋心なのだと
薄々感づいていたウンス。
でもその心は、今は心のおく深く
封じこめる事にした。

『だって歴史に名を残す程の偉人よ
私の恋が実るはずないじゃない・・
それに今はあの人を助けたい
あのまま命を落とすなんてあり得ない
そうでしょう…ウンス』

ウンスはそう自身に言い聞かせ
枯れ葉が舞う天門へと脚を踏み入れた

『強い思いが縁を結ぶ』

私が私に伝えた言葉それを信じて。

はぁ~ ここは・・・。

天門を出、行き着いた先は
確かにあの場所・・・されどどんなに
探してもあの人は見つからず
目の前に広がる景色もあの大樹も
違和感を感じる。

天門を潜ったのはまだ日があった
筈よね…でももう日が暮れる
夕焼けが大樹の向こうに広がるなんて
おかしい!
しまった…時代が違うかも知れない
戻らなきゃ・・・。

ウンスは一人事を呟き再び
鞄を抱え
再び天門へと向かうのであった。





皆様こんにちは

新章の始まりです。
二人はめぐり会う事ができるのか
何が有ってもおかしくはない天門
お楽しみ頂けたらうれしいですおねがい

なんだかプレビューで記事を
確認すると行間が開きすぎのようです
この頃ずっとそうです・・・。
いつものように、一行だけ
開けているんですが・・・。
見苦しいところがあればすみませんショボーン


ポチっとして下されば嬉しいです