木春菊  [託す] 56 | シンイ二次小説でんべのブログ

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バシッバシッと木刀のぶつかる
派手な音が中庭に木霊する
父であるヨンと、嫡男ソマン
顔立ち背丈を含め
ヨンに良くにている
ぶつかる目線も同じようであると
誰もがそう思う。

若さゆえ、力でおすソマンに対し
ヨンは技で圧倒する。
交わる木刀をぐっとおすと
僅かによろけ半歩後退るソマン。
力はこめてはいないが
その隙に、ヨンは木刀をパンパンと
脚と腰に打ち込んだ。

「ソマン…これが剣ならばおまえは
殺られておる。父だからと気を緩める
ことはするな!常に気を張り巡らす
それを怠るでない。次、ヒヨン
こい!」

「父上。宜しくお願いします。」

「ほう~。礼に始まり礼におわる
いかばかりか成長したようであるな」

嫁を娶ると変わるものなのかと
誰もが思い、じっと見守り続ける。

ウンスは、バクンッバクンッと
高鳴りする心の臓を押さえ
その瞳からは、頬を伝う涙が
溢れていた。
だが、それは悲しい涙ではなかった。
子が成長し、親であり鬼神と崇められ
たチェ・ヨン。愛しい旦那と
木刀ではあるが真剣勝負をするまでに
成長してくれた事が嬉しく思え
感謝の涙であった。

ぐっと絡み合う瞳と瞳
互いの眼光の鋭さにみなは
固唾を飲む。

「ヒヨン。成長したな・・・
父は嬉しく思うぞ。されど…まだまだ
おまえらに負ける訳はいかぬ。
母を生涯護らねばならぬゆえ・・」

「ぐぅっ・・・父上・・・」

バンッと、木刀を弾き飛ばすと
ヒヨンの木刀がくるくると回り
地面に転がっていた。

「それまで!!」

チュンソクが勝負ありと
声を張り上げる。

安堵のため息をみなが漏らす。
屋根の上では、サルム姐さんと
久方ぶりの再会を終え、ソウが
どかりと腰をおろし、イルム、サンミ
などは、涙が邪魔をし
二人の成長ぶりをはっきりとは
見えていなかったかも知れない。

「ソマン。ヒヨン…よく鍛えあげた
されど、父とは鍛えかたが違う・・
己の大切なものを護るが為
強くなれると父は思うぞ。
いまのおまえらでは、隠居した
チュンソクやトクマンにも勝てまい
ソマン!己の背を追う迂達赤を育てよ
さすれば自ずと己も強くなれる筈
よいな…」

「はい。父上・・・ヒヨンを筆頭に
育ててみます。先ほどトクマン先輩が
仰っていらしたように、父上が鍛え
義父様が育てあけだような
一枚岩の迂達赤にしてみせます」

「・・・おまえらにあとを託した
父やチュンソクの心根、しかと
受けとめよ」

ヨンは、倅二人の肩に手をおき
その思いを込める。
夜も更に深まり、ヒヨンは急ぎ
公主が待つ邸へと踵を反し
駆け出して行った。




あっと言う間に、三日ほどすぎ
極寒のこの地、雪が降らぬうちにと
ヨンとウンスを始めとする
一向は鉄原へ戻る朝を迎えた。

「父上、母上・・・若くはありません
くれぐれもお身体を大切になさって
ください。こんどは
こちらからみなで向かうことに
します。」

「そうしてくれるとありがたいわ
長旅はほんとうに身体に堪えるのよ
お願いね」

「はい。お約束致します
イルム、サンミお二人をくれぐれも
宜しく頼む。テマン兄様…
あまり無茶するようなら止めて
くだされるとありがたい・・・
義父上様、義母上様
お身体をお労りくだされますよう
願ってやみません。スンジャの事は
案ずることはありません。
おれが必ずやお守り致します」

「ソマン。スンジャと孫をくれぐれも
頼んだぞ…信じておるゆえ」

「ソマン殿。宜しくお願いします」

ヒヨンの婚儀に始まり
孫らに囲まれチュンソクやサム
ヨンとウンス…それぞれ
思い出深い旅となったに違いない。
テマンとヘジンの愛娘である
シウとも会い幸せに暮らしている
様子に、胸を撫で下ろしていた。
トクマンとアルの嫡男ハウンは
迂達赤の中でみなを和ませる役を
親であるトクマンの血筋と
思わせるほど、徹底していた。
トギやポンは西に東にと駆けずり回り
薬草の種や球根を手に入れていた。

イルム、サンミはチェ家の使用人に
エギョンから受け継いだ
チェ家の味を伝授し、大層尊敬されて
いたのだった。
ソウはサルム姐さんから頼まれごと
受け先に鉄原へ向け旅立っていた。
どうやら鉄原の領主に、不穏な空気
が、忍び寄っているようであった。


ひらひらと笑顔で手をふり見送る
孫らの横で、深々と頭を垂れ見送る
ソマンとスンジャ・・・。
そんな中、馬車が四台鉄原へ向け
出立していく。


「ソマン~。ヒヨンによろしく
伝えてね~~。」

馬車の小窓を開けウンスは
手を振り返していたのだった。


今日一日です笑い泣き
よく耐えた・・・えー


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