木春菊  [託す] 54 | シンイ二次小説でんべのブログ

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口に出すのも憚れるが
いきおくれた公主様を案じた
恭愍王と魯国大長公主様が
白羽の矢を立てたのは
ヒヨンだった・・・。
名家であるチェ家ならば
嫡男であらずとも、降嫁させるには
相応しい。そう策を練ったに違いない
重臣らの異議は想定内
それを恭愍王は猿芝居を打った。
魯国大長公主と手を取りあい
泣き崩れる大芝居

「余の公主は嫁にはいけぬのか
人並みの幸を掴むこともならぬと
そなたらは申すつもりか?」

「そ、そうとは申しませぬが・・・」

「ならば…チェ家ヒヨン殿に輿入れ
それでよいな!」

「「・・・」」

「案ずるでない…ヒヨン殿ならば
公主は幸を掴むであろう。
父であるチェ・ヨン殿。嫡男であり
兄であるソマン殿。二人の主が
一人の女人を恋い慕い
添い遂げておる。ヒヨン殿も
必ずやそうなろう。」

こんな茶番劇があったのは
半年ほど前の話であった。


「美味しい・・・。鉄原では
魚や菜っ葉類が主食だから
やっぱり肉も食べたいのよね」

「ウンス…」

「叔母様が生きていらしたら
きっと複雑だった筈・・・でも
孫と思って可愛いがって
下されたんだから・・・よろこんで
くださるわよね」

「ああ…叔母上のことだ
腹の底で大喜びしておるはず・・
口では小言を言うのを忘れぬがな」

ヨンはぽつりと呟く・・・。

目の前ではほくそ笑む恭愍王

「チェ・ヨン殿、いやこれからは
親族となるのだ。ヨン殿と呼ばせて
もらう。余の一番の友となり
民となってくれたそなたと
余は望みであった親族となれた。
ヨン殿。ウンス殿…ともに先は
長くはないとは心得ておるが
これより頻度に通い合うことに
なろう・・・。」

「そうでございます。義姉様・・
これで妾と義姉様はようやっと
親戚筋になれました。口では
義姉様と慕って参りましたが
真の姉妹となれた気がしております」

「王妃様・・・光栄に存じます
私なんかにそんなこと言って下さって
ですが、都に住まうつもりは
私らはもうありません。構いませんか
鉄原に骨をうずめるつもりで
います。それにこれからは
足腰が衰え、都へと赴く回数も
徐々に減ると思うんです
それでも構いませんか?」

「義姉様…そんな寂しい事を言って
くださいますな・・妾らが参ります
王様の基盤が整えば、恭愍王の役目も
終わりを告げ、穏やかに過ごす
事が叶いますゆえ・・・」

「ふふふ・・じゃあ甘えておきます
また…鉄原でお会いできる日を
楽しみにしておりますね。」

ウンスは笑みを浮かべそう呟くと
チュンソク始め仲間に声を掛ける。

「さぁ~。ヒヨンのめでたい日よ
祝ってあげて…遠慮しないで
ヒヨンはわたしに似て賑やかな性格
なんだから、しんみりなんて嫌いよ
食べて…ほらみんな」

ウンスに促されみなは、卓を囲み
鉄原では、皆無と言っていいほどの
贅を尽くしたご馳走を頬張る。

『なるようになるわ・・・。』

逆境を逆手に取り、数々の試練を
乗り越え、自ら策を練り挑んできた
ウンス。ヒヨンのことも腹を据えた

「義母様・・ヒヨンは義弟ですが
義妹が出来たのは嬉しいのでしが
お相手が公主様なんでございますよ
はぁ~。どう接すればよいか
私は分かりかねます・・・」

「そうよね~。私も娘が二人になって
とっても嬉しいけど・・・でもね
スンジャ…気を回し過ぎたら
身体によくないわ。医員の貴女なら
分かるわよね?」

「はい。」

「普段のスンジャのまま接すれば
良いんじゃないからしら」

「普段のわたしのまま・・?」

「ええ…ヒヨンの嫁には変わらないし
私はソマンやヒヨンには
小さい頃からいい聴かせてきた
事があるの…人にしてあげたことは
忘れても構わないけど、人にして
貰ったことは決して忘れては
駄目よって…だからね
ヒヨンもスンジャがソマンの嫁になり
チェ家に輿入れしてから
貴女の恩を忘れてはいないと
思うのよ。あの子は決して高飛車な
態度には出ないと思うし、あの子が
普段通りなら、嫁になる公主様も
それに倣うはず…違うかな」

「育てたウンスがそう申しておる
スンジャ…あまり案ずるな
子らが案ずるであろう・・」

そばで遊び回る脚を止め不安気に
母であるスンジャを見つめる
ソマンの子らをふと見つめるヨン

一刻ほど談義を交わし
無事に御披露目は終わりを告げ
ヨンらは屋敷へ戻って行った。
ヒヨンと公主様は真新しい邸へと
向かい新婚初日を迎えたのであった。



「いや~驚かされましたよ
ヒヨン殿が公主様とだなんて・・
もう俺なんか手の届かないところに
行ってしまいましたよ。」

都の屋敷に約二年ぶりに戻ってきた
二人・・・なにも変わらない
ヨンの父である元直の時代から
そこに佇む重厚な屋敷
周りの屋敷に比べれば古いだけの
屋敷ではあるが、ヨンとウンスを
暖かく迎え、ソマンやヒヨンを
見守り続けた屋敷・・・

「手直ししていないのね」

「はい。母上・・祖父の教えを
守っております。みなはそれぞれ
客間で休んでください。
父上と母上の閨はいついらしても
よいようにそのままにしてあります」

「まぁ~嬉しいわ…貴方?荷を
置いてきましょう。見てみたいから」

「ああ…そうしょうソマン・・
雪が降りだす前には、鉄原へ
もどらねばならぬゆえ長居はせぬが
暫し厄介になるぞ」

「父上。厄介などと・・・ここは
父上と母上あってこその屋敷です
春までいてください
大きい声では言えませんが
イルムとサンミの飯が懐かしく
エギョン仕込みの味が・・・」

「まぁ~ソマン・・・そんなこと
言ってはだめじゃない…ふふふ」

「若様…おらたち幸せものだ
なぁ~サンミ・・」

「そうね…では滞在している間
使用人の方に伝授いたしますよ
これがチェ家の味というものを。」

「まっサンミまで・・・」

胸を張り答えるサンミに向かい
ウンスは、悪戯な笑みを浮かべ
その顔を覗き見るのであった。



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