木春菊  [託す] 55 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ほんとうになにも変わりは
なかった。ヨンがゆったり脚を
伸ばし休めるようにと
特注で誂えた寝台。たまに布団も
干してくれているのであろう
ふかふかのようである。

「ねえ。ありがたいわね」

「ああ…手をつけてはおらぬようだ
賑やかな都の方がよいか?」

「いいえ、貴方と鉄原で暮らすって
決めて都を出たのよ。徐々に寒さは
身体に堪える歳になってきたけど
貴方が暖めてくれるから
寒くないわよ…ふふふ」

「むろんだ!この胸に囲い
毎夜温める」

急ぎ着替え唇を合わすと
居間へと戻る。
そこにはヒヨンも到着していた

「え?ヒヨンどうしたの
まさかもう飛び出して戻ってきたの?」

「違いますよ。母上…公主が
夜遅くでも待っていますから
父上、母上に甘えてらっしゃいと
言ってくださり、鉄原に戻られる
前にお話ができればと急ぎ
駆けて来たしだいです」

「まぁ~公主様も粋なことをなさる
のね。嬉しいわ…こうやって
また家族で卓を囲めるなんて・・
そして仲間もいるし、イルムやサンミ
もいるわ。え?テマンとヘジンの姿が
見えないけど?」

「客間で休んでおります。ヘジンが
疲れたのでしょう。スンジャが
診脈して問題はなかったようです」

「そう。スンジャは優秀な医員だから
見立ても間違いない筈よ。じゃゆったり
休ませてあげましょう」

思いもよらず次男ヒヨンの婚儀に
出席し、贅を尽くしたご馳走を
頬張ることができたせいか
茶と簡単な膳での晩餐となった。

「義母様…学舎の方も今年の春に
試験に合格する者が出たのですよ」

「ほんと?嬉しい・・流石スンジャ
貴女の教えがいいからよ
チュンソクさん、サム?ほんとうに
素直ないい子に育ててくれたわ
ありがとう」

我が子を誉められ悪い気のする親は
いない。チュンソクもサムも嬉しそうに
見つめ合い微笑みを浮かべていた。

「話は変わるけど、アル?ハウンに
会ってきたの?」

「はい。奥方様…例の元上護軍を
顎で使ってる姿を覗き見ることができ
笑えました。そこにトクマン様も
加わり、拭き掃除に腰が入っておらぬ
と、蹴りを入れる姿がなんとも
滑稽でございました。」

「そうなのか?トクマン」

「彼奴の根性を叩き直さないと
これからの迂達赤は一枚岩では
なくなりますからそうでしょう
護軍?上護軍が鍛え護軍が
育て基礎を築いたようなもの
俺も廃れていく迂達赤など
見たくもありませんから」

「トクマン・・・」

たまにはまともに
真面目なことを言うトクマンに
みなは嬉しくなる
ぽつりと名を呼ぶチュンソクなどは
拳を握り目をごしごしと擦り
若かりしトクマンを知っている
トギなどは、口をぽかりと開き
婚儀の折悪いものでも食べたのか
と、そんな顔をしていた。
トギが話せたなら
きっとそんな言葉が口から出たに
違いない。

「ふふふ…トクマンさん
みんな驚いているじゃない…
この人や、チュンソクさんにすれば
最高の褒め言葉で嬉しいはずよ
まぁ~この人もチュンソクさんに
役目を丸投げし、迷惑掛けてきた
一人だと思うけど・・・」

「ウンス。俺はだな…丸投げでは
なくてだな・・・チュンソクが
いずれ・・・はぁ~もうよい」

ことウンスに関しては滑舌に
回るヨンの口も、それ以外には
どうにもならないようである。

思うに、戦場に立つ身である為
いつ命を落とすこともあるやも知れぬ
己がおらぬようになった折
事が、うまく運べるようにと
丸投げしておったと言わんとして
いたのかも知れないが・・・
誰もが思う…奥方のそばに・・・と

「父上…らしくありません
母上のそばに一刻もはやく戻りたいが
ためにでしょう?」

「な、なにを言う・・ヒヨン!
親をからかうものではないぞ
・・よし!ソマン、ヒヨン
お前らの腕を確かめるとするか
中庭へ参れ!稽古をつけてやる」

「だめよ!ヨン!もう歳なんだから
無茶しないでよ。歳とともに治りも
悪くなるのよ。これは貴方の主治医と
しての命令なんだから聞いてる?」

「・・・倅の腕を見極めたい・・
それだけゆえ…無茶はせぬ…ん?」

「じゃあ、これ以上は無理と主治医の
私の判断で止めるけど
それでも構わないならやっても
いいわ。どうする?」

「相分かった…ソマン、ヒヨン
母上の許しが貰えたゆえ
参るぞ。テマン木刀を・・・」

客間でヘジンとおる筈のテマンが
すっと現れ、その手には
木刀が握られていた。

みなが固唾を飲み見守る中
辺りは、既に真っ暗闇ではあったが
国境から今日着いたばかりである
長旅の疲れもあるだろうに
ヨンの瞳は輝きを
増しているのであった。

「もう~なんだか嬉しそうな顔をして
いるわ。」

「兄上は、ソマンとヒヨンの
腕を確かめたいんです。これから
この地を任せる二人ですから」

テマンがぽつりと呟く。

「どちらが先だ?・・・面倒ゆえ
二人纏めてでも構わぬが・・」

「父上・・・ご無理はされますな
おれらも腕をあげました…そう容易く
やられはしませんよ」

「ほう~口だけはなんとでも言える
ものだな・・クック」

ヨンの口の端がにやりとあがった。


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