木春菊  [託す] 49 | シンイ二次小説でんべのブログ

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翌日のこと。秋の雲が天高く悠々と
浮かんでいる、小春日和まさしく
その言葉に相応しい季節
頬に触れる風も心地いい日であった。

恭愍王と魯国大長公主をお連れし
ヨンとウンスは釣りに出かける
ことにした様子で・・・

「妃よ。基本自分の飯は自分で
用意せねばならぬようじゃ・・
チェ家の決まり事ゆえ、余に任せて
おけばよい。」

「王様・・・」

「思い出すのぅ~チェ・ヨン
その方があの折
王宮を下がり、釣りでもしながら
静かに暮らしたいと申して
おったのを・・
漸く願いが叶ったと言うことじゃな
長らく苦労をかけた・・・」

「王様…お止めくだされ・・・
某が最後にお仕えできたのが
恭愍王で、某は幸せ者でございました
いついかなる折も
民を一番にお考えくださり
紅巾が十万の軍勢で押し寄せ
都を奪われた折、避難先より
わずか数ヶ月でお戻りくだされた事
某は忘れも致しませぬ。
王様のお戻りで、我ら高麗軍の士気が
上がりましてございます。」

「そのようなこともあったのぅ~
がむしゃらであった・・・余の民が
苦しんでおると言うに
遠い福州で生き長らえて如何する
ともに泣き、ともに苦しむのが
上に立つものの役目と余は
思うておる。」

じっと垂れる竿先がぴくん揺れる

「チェ・ヨンよ…これは釣れたのでは
ないのか」

「そのようにございます…しかりと
食いついたと手応えを感じれたなら
竿をおあげくだされ」

「相分かった!妃よ…今宵の魚じゃ
じっと指を咥え見ておらずに
済みそうじゃ・・・」

「はい。ようございました…うふふ」

筋が良いようである。
トクマンとは違いすんなりと
川魚は川緑に打ち上げられた。
手を控えめに叩き大喜びする
 魯国大長公主…ウンスもつられ
笑みを浮かべる・・・。

とうのウンスの篭には魚の姿が
見当たらず・・やはりウンスには
不向きのようである。
騒がしい気が魚を寄せ付けないのか
じっと垂れた竿はぴくりとも
動いてはくれないようであった。

「・・・う~ん!!どうしてかしら
私だけ釣れないなんて・・・」

ふと目をやれば
隣に腰掛けるヨンの篭は十匹程釣れて
いる。少し離れたところに愛娘と
腰掛けるチュンソクの篭は
これまた十匹程と、大漁である

「いじけるんですけど・・どうして
よ~~。」

「母上お静かになさらないと
魚が逃げてしまいます…釣りとは
気を集中させる鍛練にもなるんです」

恭愍王の警護をしているソマンが
耳もとで小声で話す。

「そうなの?・・でも釣りたいわよ
ソマン…川に入って魚が
こちらにくるように追いかけてよ」

「母上・・・そのようなわがままを
みなの魚が逃げてしまいます」

「ふ~ん。ソマンは母が大好きよね
・・・チェ家の掟は己の飯は
己で支度するよ。母がひもじい
思いをして指を咥えて見てても
いいんだ~。ふ~ん・・・」

ウンスはソマンをちろりと
睨む真似をする。

「・・・ウンス?貴女の魚は
俺が数に入れておるゆえ・・ソマンを
困らすでない・・・。」

「奥方?変わらぬのぅ~。隊長の困り
顔が愉快じゃ…あっははは」

「王様…分かっているんですよ
たまにあったものでつい・・・」

立派に成長した息子とウンスは
目一杯戯れたかったのだ・・
恭愍王と魯国大長公主が都へと
お戻りになれば、当分会うことは
叶わないのである。
冬になれば真っ白い雪の壁に囲まれる
極寒の地・・・屋敷から一歩も
出歩けないかもしれないのだ。
若い息子が訪ねてくるのを
阻む、恨めしい雪の壁である。
かと言って、愛する夫とともに
この地に隠居したのは決して後悔は
していない。

一刻ほど釣りを楽しみ
釣果も思いの外あり、屋敷に戻ると
この季節干物にすればよいと
サムとソウに教えられ
すぐに支度にかかるイルムとサンミ。


「その方らがおらぬ都はつまらぬ・・」

恭愍王は、夕餉をつまみながら
ぽつりと呟く。
本音であろうと皆が思う。

「なれど…みなの顔もみれたゆえ
余も安堵致した・・。肌の色艶もよく
都におった折より、笑みが増えた
ような気がするぞ」

「妾もそうおもいます・・・
もと武閣氏であったアル、ヘジンの
顔も義姉様のお顔も見れまして
ございます・・・しばらくは
今日の日を励みに王宮にて
愛しい恭愍王と二人寄り添い
生きて行けます・・・うふふ」

「王妃様も仰るようになられましたね
・・・ふふふ。それに春になれば
こちらから会いにいきます
ねぇ~貴方構わないでしょう
あちらこちらと旅もしたいし・・ね」

ウンスは顔の前で両手を合わせ
漆黒の瞳で見上げる。

この仕草とこの瞳で懇願され
断れる男がいるなら会ってみたい
そう思うヨンの姿がそこにはあった。



皆様こんにちは

いつもお寄り下さり誠にありがとう
ございます。

新年明けましておめでとうございます
昨年中は当ブログに脚を運んで頂き
誠にありがとうございました。
皆様の御多幸、御健勝をブログ上では
ありますがお祈り申し上げます。
本年も宜しくお願い申し上げます。

でんべ


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