木春菊  [託す] 46 | シンイ二次小説でんべのブログ

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多勢に無勢
まさしくこの事を言うのであろう
されどチュンソクは剣を振り下ろし
続け、トクマンは槍を振り続けた。

蹄の音が外の騒がしさに紛れ
近づいてくる。

「大事ないか!」

ヨンが間に合ったようである。
肩であらく息をする二人を目の当たり
にすると、ヨンはチュホンから飛び降り
軽功を身に纏い空を舞う竜の如く
軍勢の中に飛び込む。
テマンもしかり。

斬り離された身体の一部が
あちらこちらに転がる頃
ソマン隊長率いる迂達赤が
到着したようであった。
残党が逃げ惑う中、迂達赤が
一斉に回りを取り囲む

蟻の子一匹逃がしやしない
そんな勢いであった。

「ソマン!あとは頼んだ!
後始末をしたなら寄れ!」

「父上!お任せください」


「へ?ソマン?いまのあの人の声よね
ソマンもいるの?ヒヨンも無事なのね
良かった・・・」

「みなご苦労であった」っと
ヨンは中庭のアルとヘジンを労う
そして縁側から居間へと
脚を踏み入れ、サンミの背にいる
ウンスを見つけるとその胸に囲う。

「大事ないか・・」

「ええ・・みんな守ってくれたわ
貴方の方こそ鎧もなくて・・
怪我していない?」

ウンスは黒曜石の瞳を覗き込む
そして、ヨンの身体の隅々まで
瞬時に瞳を走らせる。
切り傷ひとつも見逃すまいと・・
この時代刀傷ひとつでも
大事になりかねないのである。

「イルム!ご苦労であった
後始末は迂達赤が到着しておるゆえ
大事ない。トギ、ポン迂達赤に
投薬を頼めるか?」

「はい。上護軍様お任せください」

「サンミ、茶とあまい菓子があれば
用意してやってくれぬか
みな疲れておるゆえ…頼む」

「はい。旦那様・・すぐに
ご用意致します」

それぞれが己の役目を果たすべく
散り散りに走り去る。
サムとヘジンはチュンソクとテマンの
もとへ、アルはトクマンをにっこり
笑顔で出迎える。

「ご活躍、この目で
みとうございましたが…仕方ありません
でも…流石はトクマン様・・・
槍の名手でございますね」

「そ、そうか・・・俺でも
遣るときはやるんだ!だから
数々の戦を生き残りここにいるんだ
先に逝った仲間の分も
長生きしないとな・・・黄泉の国に
逝ったとき顔向けできないや・・」

「そうでございますとも・・・
ですが・・・普段をもう少し・・
お気張り下されば嬉しいのですが」

アルはちくりと釘を刺すのも
忘れなかった。


「父上!母上!・・後始末を
終えましてございます」

ヨンの言う後始末とは亡骸を埋葬する
までの事を指しているようである。
それを心得ているソマンとハヌルは
屋敷から離れたところに埋葬し
屋敷前も跡形も残さぬよう清掃し
声を掛けていたのである。

愛しい我が子の声にウンスは
ヨンの腕からするりと抜け出し
一目散に外へと飛び出す。

「ソマン!ヒヨン!元気だった?
怪我はないの?」

いまにも抱き合う、そんなウンスと
子らの間に、眉間に皺を刻むヨンが
割って入ったのは言うまでもない。

「もう~。他人じゃないんだから
我が子なのよ!いいじゃないのよ!」

「・・・我が子であろうともうすでに
立派なおのこ!ならぬものはならぬ!
ウンスは俺だけに抱き付けばよい。」

そんなやり取りを嬉しく思う
ソマンとヒヨンであった。
本願である鉄原に隠居した二親では
あったが、母を恋い慕う父の姿が
いつまでもかわりなく、我々子らでも
こと母に対してはまったく
妥協を許さない・・・そんな父の
姿に安堵していたのである。

「あがれ。みなも・・茶と菓子くらい
しかないが、疲れた身体に
少しばかりは骨休めになろう」

「はっ!」

ハヌルが嬉しそうに短い返答を返し
屋敷へと上がり込む。
かと言って、すべてがあがれるはずも
なく、一部は中庭へ回りどかりと
腰をおろす。
茶と菓子を盆にのせ、忙しなく
イルムとサンミは動きまわる
サム、ヘジンも手を貸していた。

トギとポンは持参した煎じ薬を
煮出し、迂達赤へと飲ませて回る。

「はい、はい…苦いけど人参が入って
いるからすぐに元気になるわよ
はい、そこの人飲まなきゃ
菓子はお預けよ!」

「ポン…手厳しいわね~ふふふ
ソマン。ヒヨン。元気でいたの?
スンジャも孫らも変わりない?」

「はい。母上・・みな変わりなく
慎ましく暮らしております。
お祖父様の教えである「黄金を石ころと
思う人間となれ」しっかりと
守っております。」

「そう・・・良かったわ・・
父上がこっそり閨を抜け出し
きっと手を貸しに行ったって
思っていたけど・・・みんな無事で
良かったわ。」

「気配は感じておりましたが
父上の手助けがなければ・・おれは
・・・危ういところでした・・
父上。申し訳ございませんでした」

ソマンは椅子から立ち上がり深々と
頭を垂れる。

「ソマン…命を粗末にしてはならぬ
都で無事の帰還を待ちわびる
スンジャや、子らの事を忘れては
ならぬ・・・。内功を用いる折も
気を張り巡らしておらねば
先ほどのように一瞬の隙を突かれる
よいな?」

「はい。父上・・・肝に命じ
鍛練に邁進して参ります・・・。」

「ふふふ…もう難しい話はおしまい
さあ~冷めないうちに飲んで
摘まんでちょうだい・・泊まれれば
良いんだけど・・無理な話よね
わかっているわ・・ふふふ」

こうしてそれぞれが元上官・・
いや…いまでも上官と呼べる方は
チェ・ヨンただ一人と胸に秘め
帰路についたのであった。


はぁ~~明日から8日まで長い休みに
入りますえーんそれでもって大晦日
元旦と一泊二日で旦那の実家(大阪)
で、泊まりますガーン
生きて帰れるでしょうか・・・
私次男の嫁ですが、長男の嫁は
ふんぞり反りムキーむかつくこと
この上ないのですプンプン・・・・雷



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