木春菊  [託す] 45 | シンイ二次小説でんべのブログ

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倭寇総大将の頚を撃ち取ったことで
戦は戦捷で終わった・・・。

「流石はチェ家の嫡男」

誰もがそうソマン武功を褒め讃えた
だが…とうのソマンは複雑な心境を
覗かせていた。

『兄上!父上は口にするなと
兄上の武功として・・・いやそれでは
チェ家の恥・・・王様にすべて
お伝えした方が・・・』

『ヒヨン…おれもそう思う
この場はこれで収め王様には
自分の口から伝える』

『そういたしましょう…』

禁軍上護軍率いる隊列は勝鬨をあげ
帰路につこうとしていた。
だが…この禁軍上護軍どうにも
ヨンに切り落とされた髷が
気になるようで一向に出立する気配を
見せない。皆がいらいらとし出した頃
徐にソマンが口を開く。

「上護軍。王宮に早馬を遣わしても
構いませんでしょうか?。それと
亡骸を埋葬してやりたいと
思うのですが・・・」

「あっ?そのような事をする必要が
あるのか!命を落としたのは
己が未熟ゆえそうであろう・・」

「恐れながら上護軍…仲間でございます
迂達赤は幸いなことに怪我程度で
すみましてございます。ですが
禁軍兵士が多数命を落として
おります。亡骸をこのまま捨て置けと
申されるおつもりでございましょうか」

「そうだ!いずれ地にかえろう
そのままでよいと申しておる!」

「・・・分かりました。上護軍は先に
お戻りくださいませ。我れら迂達赤が
埋葬しすぐに追い付きますので」

「好きに致せ!禁軍龍虎軍出立!!」

上官に歯向かうことあらば
それは反逆罪即ち己の命もそこで
終わるか、流刑に処され二度と都へと
戻ることは叶わないのである。
苛立つ、ハヌルやヒヨンを
ソマンは力ずくで制し出立を見送った
そして亡骸をひとところに集め
大きな穴を掘りそのこんもり盛った
土墓にソマン隊長始め迂達赤は
静かに頭を垂れる。
すでに、出立から一刻のときが
流れていた。遅れを取り戻すべく
先を急いだのである。
だがその方角は・・・・。
そのすべてを物陰より見聞きした
現地のスリバンがひそかに都へ
鳩を飛ばしていた。



「こんな田舎の街に御殿とも思える
屋敷…暫く逗留できそうだぞ
まったくよ。こうも呆気なく
大将の頚が落とされるとはな…
鬼神は隠居したんじゃないのか!」

「ああ。そう確かに聞いたぞ
鬼神のおらぬ高麗軍など赤子の手を
捻るも当然だと・・・だけどよ~
鬼神は現れるわ、嫡男はおるわで
どこが赤子なんだよ!」

こんな会話を繰り返しながら
勝手口を「ぎぃ~」っと押すが
びくともしないのであった。

重厚な門壁の上からチュンソク
トクマン、ソウがひらりと飛び降りて
くる。

屋敷の中庭では、アル、ヘジンと
密かに持参していた剣を片手に
何人たりとも屋敷内には
踏み入らせないとばかりに
睨みを利かせていた。チェ尚宮に武芸を
叩き込まれた元武閣氏である二人
身体で覚えたその武術を
目覚めさせるには時間はいらない
ようであった。

居間の前では、チョンスから譲り受けた
剣を片手に、イルムが睨みを利かせ
居間の中ではウンス、サム、トギ
ポンが肩を寄せ合い震えていた。
サンミは小刀を手に、四人の前で
仁王立ちしていた。

「大丈夫でございます、奥方様
みなおります。現役を退き隠居して
いても身体で覚えております!」

「ええ…でもあの人大丈夫かな・・・
何にも言わず行くんだもの…かえって
きたら、うんっと叱るんだから」

「ウンス…いまは自分の身の安全が
先よ。上護軍様も江華島だから
行ったのよ・・・目と鼻の先ですもの
そうでしょう」

「うん・・・わかってる・・
でも鎧もなしで平装のまま行った
みたいで・・・閨から抜けだした時
気づいていたのよ…わたし・・
でも止めも無駄なことはわかって
いたから・・・あの人は私に危害が
及ぶと思う時はずっとそうして
きたから・・無事を祈って
送り出したの…」

「それで声を掛けた折、既に着替えて
飛び出してきたのね・・・」

「・・・」


「この屋敷に何用ぞ!」

「いやいや…通りすがりの者に
すぎませんです・・暫く逗留を
お願いできないかと」

「断る!お前ら倭寇の残党であろう
俺らと鉢合わせしたのが、その方ら
の運も尽きたと言うこと・・だ!」

チュンソクは剣を抜き
トクマンは槍を構え、ソウは手裏剣を
片手に倭寇残党と門前にて対峙する。

ソウの手裏剣が
見事に敵の頚もと目掛け突き刺さる。
その早業になすすべもなく
倒れ込む男ら。

「お前も槍を使うのか?槍の正しい
扱い方おまえは知っているのか」

「貴様ら何奴!その風体ただ者では
ないだろう!」

「知りたいか!!俺らは王様の剣!
チェ・ヨン上護軍に叩き込まれた
元迂達赤護軍、ぺ・チュンソク様と
俺はプジャン、トクマン様だ!」

特に必要とは思えない口上を吐くと
トクマンは、やりと口の端をあげ
残党の軍勢の中に突進するのであった



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