木春菊  [託す] 38 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「明日には着きそうかしら
馬車ばかりで疲れて・・・」

「宿で休んでおると言うに・・・」

「だって貴方が離してくれない
じゃない・・・?だから余計
疲れるんだから…」

日が落ちると宿の手配をイルムと
サンミが付け五日は宿で眠る事ができた
外湯言わいる温泉にゆっくり浸かる
ことはかろうじてできたが
そこは激務であった上護軍と言う職
そこから解放されたヨンのウンスに
対する執着は半端ないといえよう。

厠に立つにも、湯殿に浸かるにも
己の膝のうえに座らせ、事に及ぶ
まではいかずとも
いちゃいちゃしたがる。衣の着替えも
すべてに手を出す始末・・。

「ソマンやヒヨンが生まれ
俺は父であり、あやつらが慕う
上官であった。だがいまは違う
父であることに変わりはないが
「サランへ」といえる貴女と二人きり
わがままな俺はいやか?」

「・・・いやじゃないわよ。でも・・
私も若くはないんだし
身体が持たないわよ・・」

「ならば厠は手をひこう
湯殿と着替えは譲れぬ・・・」

「手をひこうって・・・別に一人で
できるわよ。まぁ…足腰が弱り
自力歩行が無理になれば手を貸して
欲しいけど・・・」

「そのおり俺が抱えて運ぶゆえ
案ずるでない。ウンスのそばには
これからは常に俺がおる。戦で離れる
ことももうない。」

「職を辞したこと後悔してない?」

「後悔などするわけがない…十分な
ほど、国と王様と民を護り俺なりに
尽くしてきたつもりでおる。
いま、例え職を辞することなく
戦場に立てば負けていたやも知れぬ
俺とて六十を回った老いぼれ過ぎぬゆえ
百戦錬磨の上護軍チェ・ヨンでは
もうおれぬ…ソマンとの初陣であやつの
手を借りた・・そのおり痛感して
おったのだ・・・」

「そう・・・ソマンの手を・・・
でもヨンはすごい人よ。それを恥なんて
思わないで欲しい・・私を護り
仲間を護り、頑張ってきたじゃない
これからは私の旦那様に戻り
胸を張って生きていって欲しい」

色々話をし互いを見つめ直す
よい道中である。現役の時はあまり
役目に口を挟むことを、ウンスは
よしとしなかった。ヨンとて
口にすることを避けてきた。
役目を解放されたからとぺらぺらと
話す男ではないが、ぽつりぽつりと
口にすることが、ウンスには
いとおしいと思えるのである。



「アル。追い付くぞ」

「もうトクマン様は急なんだから
役目を辞して大丈夫なの?」

「ソマン隊長なら大丈夫だ。俺なんか
居なくてもなんとでもなる・・
上護軍に育てられ護軍に蹴られ
俺でいれたんだ・・・その二人の陰も
形も匂いも兵舎にはないんだ
上護軍の執務室を開ければ、あの
むすっとした顔がソマン隊長なんだ
そっくりだけど・・・違うんだ
少なくても俺にはそう感じた」

「・・・寂しかったのね・・」

「そうだ…泣きそうなくらい寂しく
感じた・・・それにハウンが
背中を押してくれた。「父上の性格を
おれが継ぎみなを笑わせます」って」

「それは褒めてるのかしら?」

「・・・深く考えない事にした
アルがそばにいればそれでいい」

荷馬車を先に鉄原へ運びだし
トクマンとアルは、馬に跨がり
先を急いでいた。アルは武閣氏を
辞していたため、自由に動ける身
ゆえに行動がはやかったといえる。


「おかしいな・・・」

「何がです?」

「どこかで上護軍を追い抜いたのかも
知れぬ・・・あそこに見える屋敷が
鉄原のチェ家の屋敷のはず・・・」

道中宿も取らず馬車で過ごした
チュンソクとサム、日がのぼれば
先に進み、それを繰り返してきた
宿に泊まる二人とはどこかで
追い抜いたのであろうチュンソクは
そう思えた。

田舎町にそぐわない広い屋敷が
サムの目に飛び込んでくる。

「す、すごい!あの屋敷がチェ家?」

「田舎ゆえ広い屋敷ではあるが
それだけ名家でもあると言うことだ
王族と婚姻できる貴族の家柄ゆえ」

「それは父上がよく言って
おりましたが・・・改めてすごい
お方に、チュンソク様は仕えて
おられたのですね」

「そう言うことだ・・・」

チュンソクは腹を据え
鉄原のチェ家の門を潜る
そこに顔を出したのは
むろんテマンであった。


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