木春菊  [託す] 32 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

笑いの絶えない披露宴である
みなが酒を飲み、ご馳走に
かぶりつき、アルは舞を披露し
ウンスはその舞に合わせ
調子外れの歌を披露する。
だが…少しでも笑ったならぎろりと
睨む上官がそばにおる為
みなは、口を一文字に結び
ぐっと堪え、あちらこちらで
必死に肩を揺する姿が見られる。

「天界のうたなのか?」

「そうね…婚儀を終えこうして
披露宴を催す時新婚さんに捧げる
定番かしら…ふふふ」

「心の籠ったよいうたであった。」

『父上・・欲目が・・・クック』

「なあに?ヒヨン・・これはちょうど
私がこの地に来たとき、流行って
いたんだから…題名はえっと
サランへだったわ。この指輪の裏にも
掘ってあるんだからね…ふふふ」

長い月日苦楽をともに過ごした二人
それでも色褪せることなく
初老の域に達したいまでも互いを
離すことなく常に寄り添い
慈しんでいるのであった。

「ん?・・・はあっ~・・
迂達赤!お迎えせよ。王様のお越し
ゆえ」

ヨンは盛大にため息を吐くと
迂達赤に激を飛ばすと
一斉に隊列を組み跪いた

「邪魔をするぞ」

突然現れたのは・・なんと・・
市中視察と言う大義名分の名の元
王様がアンジェ護軍ら禁軍を従え
チェ家門を潜ったのであった。

「王様・・またこのような事を
なされて・・・」

「うむ。されど上護軍。此度は
市中視察ゆえのぅ…民の暮らしぶりを
この目で確かめるのも、王の役目と
余は思うておるゆえ、気にせずとも
よい。」

「恐れながら王様…それでしたら
なにゆえ禁軍の装いを?」

「ゴッホン・・ゆえに、気にするなと
申しておろう・・・」

王様はそれを言うでないとばかりに
罰が悪そうに咳払いをされ
辺りを見回され話をそらされ
言葉を繋ぐ。

「そうじゃ!余は喉が渇いておった
のじゃ…医仙殿。茶を淹れては
貰えぬか?」

「あ、はい…すぐに・・・」

ウンスの目配せでイルムとサンミは
厨房へと走り、盆に乗せた湯飲みを
大事そうに、尚且つ粗相のないように
と、慎重に運び戻ってくる。

「王様…王妃様はお留守番でしょうか
きっとお耳に入れば、臍をお曲げに
なると思いますが・・・」

「余は視察ゆえ・・・なにやら
屋敷街から賑やかな気を感じてのぅ
寄ってみたまでのこと・・よからぬ輩
でもおれば一大事であろう?」

「・・・恐れながら王様?王様も
気を感じる事ができるのでありますか
某は、プジャンの立場にありながら
まだそこまでは感じ取れません
はぁ~~。」

トクマンは至極真面目な顔をさせ
王様に問うてみるが
当の王様は、返す言葉が見つからず
眼をきょろきょろと、不自然に泳がせていたのだった・・・。

『プジャン!口実に決まっています』

だれもが腹の底でそう思っては
いた。そしてそれに気がつかぬのは
トクマンだけである。

差し出された茶を一気に飲み干し
王様は、ソマンとスンジャのそばまで
歩みより祝いの言葉を述べられる。

「先の世を託せる若き二人が
こうして結ばれたこと、余は嬉しく
思う。王子の一番の民であり友である
チェ・ソマン…医仙殿の天の医術を
受け継ぐべく励んでおると聞く
ぺ・スンジャ・・祝いを申す」

「はっ!王様・・・誠にありがたく
恐悦至極に存じ上げます。
国の為、王様の御ため邁進する
所存であります。」

「うむ。頼りにしておるぞ」

王様は満足そうに頷かれる。
そして・・・「邪魔をしたのぅ~」と
アンジェ率いる禁軍を従え
屋敷をあとにするのであった。

「「「・・・」」」

あまりの素っ気ない素振りに
だれもが、王様の意図を掴めず
口をあんぐりあけて見送るのであった

「随分あっさりお帰りになられたのね
・・どこか具合でもお悪いのかしら」

「いや…王妃様がおらぬゆえ
さみしいと感じられたのではないか
以前は、お二人で見えられたであろう
・・されど・・
王様の行動力の広さには
俺も頭があがらぬ・・・」

「ふふふ・・そうなのね・・・。
でも日が暮れたら今度は王妃様を
連れ戻ってくるかもよ」

「ウンス。それやも知れぬぞ
王様があのような素振りをされるなど
いままでなかったこと・・
急ぎ王宮に戻り
王妃様をお連れするやもしれぬ
・・・私が戻るとしょう
さすれば、宴は終わったと
諦めも付くであろう」

「でもそれじゃ叔母様が楽しめない
じゃないですか・・ねえヨン?
お二人が、お忍びで来られるのは
よくないと思うわ。みんなも酔って
いるし、まともな警護もできないはず
なら、いっそのこと
ソマンのトルチャンチの時のように
典医寺で続きをやれば良いのよ
どう?良いと思わない。」

「はぁ~・・・。相分かった
お忍びで来られるよりよかろう…
テマン? 典医寺に走り仔細を伝え
侍医の許しを請え、そしてアンジェを
探し、王様のお許しをもらうよう
言伝てせよ」

「はい。」

テマンは一礼すると
王宮へと屋根伝いに姿を消した。

「はやっ…もう陰も形もないわよ
ふふふ…テマンは相変わらずなのね」

みなは一斉に荷を纏め王宮へ向け
市中を練り歩く。
流石にお-ぷん馬車は抵抗が
あると言う事で、ソマンの愛馬に
二人で跨がる。
ヨンとウンスもチュホンに跨がり
若い二人に負けじとあつあつぶりを
民に見せつけていた。

典医寺ウンスの私室の戸口付近から
漂う香り・・・。

私室の寝台を取り除き
色鮮やかな敷物が敷詰められ
そこにはたくさんの贅を尽くした
祝膳が並び、王様、王妃様、王子様
公主様の姿までみえる。

「王様・・・」

「そなたらが遅いゆえ…もう始めて
おったのじゃ…はよう座られよ」

誰もが決して口にしてはいけない
言葉を頭の中に思い浮かべた。

『王様がそれを仰るのでしょうか』と
・・・。

だが…屋敷では絶対お目にかかる
事のない玉子料理の数々に瞳を
輝かせ飛び付いたのはウンスと
ヒヨンであった・・・。

「王様…玉子をご馳走して下さる
んですか?すごく食べたかったんです
ふわふわでとろっとして・・・」

「これ!ウンス・・」

「でも…叔母様~。今日だけは
硬いこといいっこなしで・・・
お願いします~~。玉子は栄養が
とっても高いんですよ。」

「チェ尚宮。めでたき日に、小言は
ふようじゃ…さあみなも掛けるが
よい。今宵は無礼講じゃ
王子もソマンの婚儀を祝いたいと
申してのぅ同席を許したが
構わぬか?」

「はっ!身に余る光栄に存じ上げます」

ところ狭しと身体ばかり大きい
迂達赤がどかりと腰をおろす。
その傍らで、嬉しそうに
玉子料理を頬張るウンス・・・。

「うんぅ~~。この滑らかな舌触り
とろっと舌に絡み付くなんとも
言えない食感・・・はぁ~~美味しい」

「うふふ、義姉様…そのように好物
だったとは妾としたことが・・・
次回手に入れたおり
屋敷に届けさせますゆえ堪能して
くだされ…」

「ほんとうですか 王妃様・・
でも玉子は高級品なんですよぬ?
市井でも滅多に見かけないですから」

言葉は、遠慮がちではあったが
そこはウンス…身を乗りだし
瞳を輝かせ まるで菓子をまつ
幼子のようであった。

「母上・・・ぼくも・・」

固唾を飲みお預けを食らっていた
ヒヨンが、王様をちらちらと
盗み見ながら遠慮がちに口にする。

「おお~~。すまぬのぅ~、ヒヨン殿
召し上がれ…うふふ」

「さあ…みんなも頂きましょう
冷めてしまったら玉子は、固くなるし
・・貴方…貴方が口をつけないと
誰も箸をだせないわよ。ほら
はやく~」

「・・・さすれば、王様馳走に
なります」

「うむ・・・。」

ヨンが箸を持ち
口に含む一挙手一投足を誰もが
じっと見つめている。
口に含むと皆に目配せをするヨン

それを合図に一斉に箸を伸ばし
舌鼓を打つ。

「エギョン。イルムもサンミも
チョンスもほら遠慮しないで
サルム姐さんもソウもマンボ姐さんも
師父さんも・・・ほら」

隅っこで、遠慮がちに固まる
使用人にも、ウンスは気配りを忘れず
声を掛ける。

それから色々話に花が咲き
皆が帰路に着いたのはどっぷり
日も暮れ、月明かりだけが
夜道を照らしている時分であった。




本日20時に[木春菊]最後の別館です
よろしければお寄りくださいませ。
(別館をと告知をしますとアメンバー
申請が増えますが、1  性別(成人女性で
あること)  2  年代(ざっくりで構いません)以上を添えてコメント欄か
メッセージを頂けますよう
宜しくお願い申し上げます)



ポチっとして下されば嬉しいです