木春菊  [偕老同穴] 108 | シンイ二次小説でんべのブログ

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数日後のこと

腹の子はおのこであると
兄となるソマンがそう口を滑らせた
と、トクマンの口から
王宮内重臣から女官まですぐ様
広がりヨンとチェ尚宮は
火消しに動きまわる。
ソマンが神童と噂が広まり
狙われた事が教訓となっていた
からである。
王様の耳に届き王妃の腹の子は
わからぬか?などと戯れ言を言い出す
始末・・

「まったく!プジャンたるもの
そう口が軽くて如何する!
アル?そう思わぬか?」

「はあ・・・すみません・・・
戻り次第きつく叱りつけます・・」

アルは肩身が狭くなり徐々に
背が丸くなってしまう。

「アルを攻めておるのではない
・・腹の子にさわる…すまなかった
顔をあげよ」

「いえ…チェ尚宮様の仰ることに
誤りなどあるはずがございません
若様が狙われた時どれ程
案じたことか・・・凝らしめて
やります!」

「無理をするでないぞ・・
もはや独り身ではないのだ
赤子のことも考えてやらねば
プジャンが言っておったぞ・・
赤子はまた望めばよいが
アルの身によからぬ事があってはと
案じておった・・・。
その心根に偽りはなかろう」

「・・はい。ありがとうございます
以降気をつけます・・ふふ」

幸か不幸かちょうど産休に
入っているアルが、チェ尚宮の元を
訪れていた。散々夫である
トクマンの失態を聴かされ
アルは、穴があったら入りたいと
思うほどであった・・・が・・
沸々と怒りがこみ上げてくる


その頃典医寺へは、数人の重臣が
顔を揃えウンスの元を訪れていた。
ウンスも安定期を過ぎ
以前のように役目に邁進している。

「医仙殿少し宜しいか?」

「え?…あの~どなた様ですか?
私…患者さん以外覚えるのちょっと
苦手でして・・すみません。」

「これは失礼致した。某従一品
キム・イギョンと申すもの
単刀直入に申しあげる。
腹の子が生まれたなら、当家の養子と
して迎え入れたいのだが
どうであろう?当家はチェ家より
格上にて申し分なかろう」

「はぁい??なんで貴方の家へ養子に
やらなければならないの?
意味が分からないわ。」



「若様??どうしたんです」

私室の庭にて、イルム、サンミと
こま遊びをしていたソマン
その手が止まり、そわそわし始める

「し~し~?」

小首を懸命に振り違うと訴える

「おとうとよんでる…あにじゃ
たすけてといってる・・だから
ソマンたすけにいく~。」

「・・・イルム。奥方様が
仰っておられた内功かも知れない
だとしたら奥方様の身に、何か
よからぬ事が・・・」

「んだべが(そうかな)だども(だけど)
行ってみるべ。」

先を駆けるソマンの後を追い
イルムとサンミも駆けだす。

(とと?とと?とと----)

ソマンは読功を用い、ヨンに
呼び掛けながら階段も一気に登る
その素早さに
イルムでさえも舌を巻く。



「なんと!キム・イギョン殿が
何故典医寺を訪れる。今朝拝謁の折
お見かけしたが
ご加減が悪いようには見えなんだが」

「俺も分かりません。奥方様の警護を
していたらぞろぞろと現れ
知らせた方がいいと思い飛んで
来たんで話までは聞いていません」

「参るぞ…」と兵舎私室を出た所で
ソマンの声を聴いた。

「ソマン!!」と呟くと
一気に駆け出す。



「キム殿。立ち話もなんですし
医仙殿も身重の身ですゆえ
奥の卓の方へ
お越しくださいませぬか」

「侍医すまぬ。そうさせてもらおう」

イム侍医がとりなし
皆は診療棟奥の卓へと向かう

そこへ、だだだ~っとけたたましい
足音を響かせソマンが飛んでくる

「かか~~~。」

「ソマン!どうしたの?」

ウンスの足元に凛々しく立ちはだかると
ウンスと腹の子を守るように
背に庇い、眉を潜めキム・イギョンを
睨みつけるソマン。

ウンスはソマンの耳元でひそひそと
何かを問う。
どれ程疎いウンスでも
大事な我が子を養子になどと
ふざけたことを言う重臣に
ソマンの読功を知られる訳にはいかない
ましてや、腹の子も内功使いと
くれば尚更だ。
ソマンもそれに答えひそひそと返す。
駄目押しかは定かではないが
重臣らをぎろりと睨み

「とと…もうそこ」と付け加えた。

「そう、あの人も来るのね
ドキ?お茶お願い出来るかしら。」

『ふんっ!こんな奴に』

そう忙しなく指を動かすと
奥へと消える。ポンが己の胸を
ぽんっと叩きその後を追う。

「どうぞ。お掛けになって」

ウンスが卓へと、手をかざすと
椅子を引き腰を降ろすキム・イギョン

対面のウンスが腰掛けると
ソマンを膝の上に抱く。

「ソマン。おもい…だから
ここ…いまだけ」

ソマンなりにウンスを守ろうと
卓の上をどんどん叩く。

「行儀悪いから駄目よ。ここは
みんながまんまを食べる所
分かった?」

「いやいやいまだけ!」

「もう仕方ないわね・・侍医
構わないかしら行儀悪くて
ごめんなさい」

「構いません。幼子のすることです
から…ソマン殿いまだけですよ。」

侍医の言葉にこくりと頷くと
自ら卓の上によじ登り
イギョンと同じ目線となることが
できたのだった。

「で、どうして貴方この子を
養子にやらなければならないんです?
意味が分かりませんが」

「当家は跡継ぎがおらぬのだ
わしの代で、家名を潰す訳には
参らぬのじゃ…チェ家には立派な
嫡男がおるではないか
それに噂を小耳に挟んだのだ
腹の子はおのこだと…
大護軍の血筋なら文武両道に強いでて
おるに違いないとふんだのじゃ
失礼ながらそのお歳で
二人を育てるのは難しかろう?」

「はあ?」

ウンスの中で何かが「ぷちんっ」
と、切れた。だが・・・

(かか…?め!め!)

その声に、卓の上のソマン見つめると
尻を付き座っていたソマンが
徐に立ち上がると小さな指先から
ぱちぱちと雷功か溢れ出ている。

「ソマン!止めよ!」

ひらりと舞うように現れたヨンが
ソマンを胸に抱きあげ包み込む

「つぅ---。ソマン落ち着け
母が怪我をするであろう
それでもよいのか?」

「はあ…はあ…かかいじめる
ソマンやっつける!」

息を切らし、つぶらな瞳をヨンに向け
懸命に訴えるソマン。

「もうよい。母を守ろうとしたのだな
よくやった・・あとは父に任せよ」

ぽんぽんと頭を撫でられ怒りが
消えたのか、ソマンの雷功は鳴りを
潜め消えていった。

「い、今のはなんなのだ?」

「・・・倅ソマン無礼の段、何卒
お許しくだされ…されど高官のキム殿が
医仙に、何用がおありで参られたのか
お聞かせ願いたい」

ヨンは、ソマンを抱きぎろりと
キム・イギョンを睨みつけるのだった




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